(1)育児・教育費用負担の重さ

[目次]  [戻る]  [次へ]


(子育て費用負担)

 子育てにかかる費用はどのくらいになるのだろうか。
 厚生労働省「21世紀出生児縦断調査」によると、子どもが6か月児のときの調査(第1回調査:2001(平成13)年度)では、月額で平均4.1万円かかっている。ただし、多いのは1万円(全体の32.0%)及び2万円(全体の28.2%)で、これらで全体の6割を占める。また、子ども1人のみの場合には平均5万円で、2人(平均3.2万円)、3人(平均3.4万円)の場合よりも高い。
 1歳6か月児になったときの同調査(第2回調査:2002(平成14)年度)でも、平均は月額2.8万円である。最も多いのが1万円(全体の39.5%)、次いで2万円(全体の20.8%)となっている。世帯の年収が上がると高くなり、たとえば800万円以上の年収の世帯では、月額5.5万円以上が22.1%の高率となっている。
 保育所を利用するようになると、保育料負担が必要となる。保育料徴収規準額表(2003(平成15)年度)によると、世帯の所得段階により、3歳未満児の場合には月額0円から8万円まで、3歳以上児の場合には月額0円から77,000円まで設定されている。4 厚生労働省「地域児童福祉事業等調査」(2000(平成12)年)によれば、児童1人の世帯における保育料は、月額1万円未満が21.8%、1~2万円が22.1%、2~3万円が32.4%、3~4万円が14.4%、4万円以上が9.4%となっている。また、認可外保育施設を利用した場合には、保育所よりも保育料負担が重く、全体の約6割は月額3万円以上となっている。

4 たとえば、市町村税非課税世帯の割合は、3歳未満児は月額9,000円、3歳以上児は、月額6,000円、市町村民税が年額64,000円以上160,000円未満の場合には、3歳未満児は月額44,500円、3歳以上児は月額41,500円となっている。
第1‐2‐26図 父母の1年前の総収入額別にみた1か月の子育て費用


第1‐2‐27図 毎月の利用料別にみた世帯構成(利用保育施設の種類別)



(教育費用負担)

 子育て費用の中では、教育費の占める割合が高い。野村證券「第8回家計と子育て調査」(2003(平成15)年)によると、教育費は、子育て費用(教育費、医療費、食費、被服費の他、こづかい、子どものための保険など子どものための支出全般)の38%を占めている。母親の年代別にみると、年齢層が上がるほど、教育費の割合が高くなる傾向があり、40代以上では、平均46%となり、子育て費用の半分は教育費となっている。
 具体的な教育費用負担を文部科学省の統計からみると、1年間の教育費(学校教育費、学校給食費、塾や習い事などの学外活動費の合計)は、幼稚園では、公立で約23万円、私立では約52万円、小学校では公立で約29万円、中学では、公立で約44万円、私立で約123万円、高校では、公立で約53万円、私立で約103万円となっている。
 仮に物価水準の変化などを無視して計算すると、幼稚園から高等学校まですべて公立に通った場合では14年間で約511万円、幼稚園と高等学校で私立に通った場合は約720万円、小学校以外すべて私立に通った場合は約959万円かかる。
 これに加えて大学(昼間部)に進学した場合には、大学生の学生生活費(学費と生活費の合計)が、国立で約159万円、私立で約215万円、全平均で年間約202万円かかることになる。大学4年間では、平均で約807万円かかる。
 以上を合計すると、幼稚園から高等学校まで公立で、大学のみ国立に通った場合には、約1,147万円かかる。仮に、小学校だけ公立で、あとはすべて私立とすると、約1,817万円かかることになる。5

5 小学校だけ公立で、あとはすべて私立とし、大学生の時に下宿・間借り等自宅を離れて生活をした場合には、約2,004万円となる。
第1‐2‐28図 子どもの教育費(幼児・児童・生徒1人当たり年額)


第1‐2‐29図 幼稚園4歳から高等学校(14年間)と大学までの教育費等の総額


 厚生労働省「国民生活基礎調査」(2003(平成15)年)によると、18歳未満の児童のいる世帯に生活意識を尋ねたところ、「大変苦しい」が26%、「やや苦しい」が36%、「普通」が34%となっており、6割の世帯が生活が苦しいと認識している。これは、全世帯平均(「大変苦しい」が22%、「やや苦しい」が32%、「普通」が42%)や高齢者世帯(「大変苦しい」が20%、「やや苦しい」が28%、「普通」が48%)よりも、生活が苦しいと認識している世帯の割合が高い。その理由として、前述した子育てや子どもの教育にかかる負担が反映しているものと考えられる。

[目次]  [戻る]  [次へ]