第3節 子育てに対する社会的支援の在り方と今後の方向

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1 少子化対策に関する5つの視点

○本年(2005年)は、終戦から60年目であるが、終戦から2年後には「児童福祉法」(昭和22年法律第164号)が制定され、6年後には「児童憲章」が制定された。これらの背景には、児童すなわち子ども達の健全育成が日本の将来を決することになること、言い換えれば、子どもはこれからの社会の希望であり、未来の日本をつくりあげていく力であるという考え方があったといえるであろう。

○わが国はまもなく総人口が減少に転じ、長い期間にわたって人口減少社会に突入することになる。やがて総人口が半減するような少子化の進行は、日本社会の持続可能性に対して疑問を投げかけている。日本よりも高い出生率を維持している欧米諸国の施策も参考にしながら、総合的な少子化対策を講じ、社会全体で若い世代や子育て世帯を支援することにより、少子化の流れを変えていかなければならない。

○これからの少子化対策を進めていく上で重要な視点は次のとおりである。
〔1〕個別の施策の見直し・改善
 わが国は、子育て支援のメニューはそろったものの、近年出生率が回復傾向にあるフランスやスウェーデン等の児童・家族政策の内容と比較してみると、個々の政策では必ずしも十分な内容に達していないものもある。これまでの施策について総点検をして、財源の問題等も考慮しつつ、見直し・改善等の検討が必要である。
〔2〕多様性と総合性に配慮した支援
 児童のいる世帯の状況をみると、三世代世帯の割合が減少し、母子世帯の割合が増加しているなど、経済社会や家族形態の変化とともに、子育て世帯の状況が多様化している。きめ細かな支援を行うためには、保育所サービスの充実ばかりでなく、家庭保育に対する支援や、仕事と育児の両立支援策、経済的支援策など、様々な施策を総合的に展開していくことが重要である。

第1‐5‐21図 就学前児童の居場所



〔3〕国民的な子育て支援運動の推進
 育児休業を取りにくい理由として、経営幹部や管理職が育児休業に否定的であるなど、社内において育児休業を取りにくい雰囲気があることが挙げられており、制度面だけでなく、意識面においても課題が多いことが指摘されている。2005(平成17)年4月から次世代育成支援のための行動計画が実施されていることも踏まえ、社会や職場の意識を変えるための政府と経済界、労働界が一体となった運動を推進することが重要である。
〔4〕地方自治体における取組の推進
 少子化問題は、国全体の問題であるとともに、地域においてはより切実な問題であり、地方自治体が、多様な保育サービスの展開や地域の子育て支援活動、経済的支援等、様々な施策を展開することにより、全体として「子どもを生み、育てやすいまち」という生活環境をつくることが重要である。
〔5〕子育てに対する社会的支援の充実
 2003(平成15)年度の社会保障給付費の全体84.3兆円のうち、高齢者関係には全体の約7割の59兆円が給付されているのに対して、児童・家族関係給付費は全体の約4%の3.2兆円に過ぎない。一人あたり給付費では、高齢者が約247万円であるのに対し、子どもは約17万円にとどまっている。OECD諸国と比較をしても、対GDP(国内総生産)比でみた家族政策に関する財政支出の割合は小さい。これまでの施策の見直し・改善を図りながら、子育てに対する社会的支援を拡充していく必要がある。
第1‐5‐22図 各国の家族政策に関する財政支出の規模(対GDP比)



2 今後の取組

○2005(平成17)年度の「骨太方針」(経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005)では、少子化対策として、「国民が安心して、子どもを生み、育てることができる社会を構築するため、国の基本政策として少子化の流れを変えるための施策を強力に推進する」とし、「官民あげての国民的な運動として取り組む」ことや、「閣僚・有識者等が連携して取り組む体制を整備」して、「少子化社会対策大綱」や「子ども・子育て応援プラン」のフォローアップと課題の検討を進めることを定めている。
○2005年10月から、少子化社会対策会議の下に関係閣僚と有識者から構成される「少子化社会対策推進会議」を開催し、「少子化社会対策大綱」及び「子ども・子育て応援プラン」のフォローアップや応援プランに掲げられた課題(地域や家庭の多様な子育て支援、働き方に関わる施策、児童手当等の経済的支援など多岐にわたる次世代育成支援施策)について検討を行い、少子化社会対策の戦略的推進を図ることとしている。

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