2 子ども・子育て応援プランの概要

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(子ども・子育て応援プランの策定)

 少子化社会対策大綱の具体的実施計画(子ども・子育て応援プラン)は、少子化社会対策基本法の趣旨や少子化社会対策大綱の内容に加えて、前述したようなこれまでの施策の課題も踏まえつつ、次世代育成支援対策推進法に基づき、市町村と都道府県、従業員301人以上の企業等に対して次世代育成支援に関する行動計画の策定等が義務付けられたことと関連づけて策定された。
第1‐2‐3図 地方公共団体の行動計画の推進

(幅広い総合的な計画)

 子ども・子育て応援プランは、少子化社会対策大綱の掲げる4つの重点課題に沿って、国が、地方公共団体や企業等とともに計画的に取り組む必要がある事項について、2005(平成17)年度から2009(平成21)年度までの5年間に講ずる具体的な施策内容と目標を掲げている。これまでのプラン(エンゼルプラン及び新エンゼルプラン)では、保育関係事業を中心に目標値が設定されていたが、子ども・子育て応援プランは、少子化社会対策大綱に基づき、若者の自立や働き方の見直し等も含めた幅広い分野で具体的な目標値を設定している。
 また、子ども・子育て応援プランでは、サービスの受け手である国民の目線も取り入れることによって、国民の側からみて、「子どもが健康に育つ社会」、「子どもを生み育てることに喜びを感じることのできる社会」への転換がどのように進んでいるかわかるよう、概ね10年後を展望した「目指すべき社会」の姿を提示している。
 子ども・子育て応援プランに盛り込まれた目標値については、策定当時、全国の市町村が策定作業中の次世代育成支援に関する行動計画における子育て支援サービスの集計値を基礎において設定されている。全国の市町村の行動計画とリンクしたものとすることにより、子ども・子育て応援プランの推進が全国の市町村行動計画の推進を支援することになる。
 今後、夢と希望にあふれる若者がはぐくまれ、家庭を築き、安心と喜びを持って子育てにあたっていくことを社会全体で応援する環境が整ってきたという実感のもてるよう、政府をあげて子ども・子育て応援プランの着実な実施に努めていくこととしている。
第1‐2‐4図 「子ども・子育て応援プラン」の概要

(子ども・子育て応援プランの内容)

 少子化社会対策大綱の掲げる4つの重点課題に沿って、5年間に講ずる具体的な施策内容と目標を掲げているので、以下では、子ども・子育て応援プランの内容について、重点課題ごとに整理をして解説する。

(1)若者の自立とたくましい子どもの育ち

 全年齢平均値よりも高い若者の失業率(2004(平成16)年では、15~24歳9.5%、25~34歳5.7%)や、フリーターの増大(2004年では推計213万人)、ニートの増大(2004年では推計64万人)といった若者の就労問題からくる経済的不安定が、「結婚できない」という未婚化現象を通じて、出生率の低下につながっているおそれがある。
 また、少子化問題とは別に、そもそも若者が、自己実現や社会への参画を目指して、就職や、結婚、出産、子育てに積極的にかかわっていくことは、自立した社会人となる上で非常に大切である。
 そのため、若者が意欲をもって就業し、経済的にも自立できるよう、「職業体験を通じた初等中等教育段階におけるキャリア教育の推進」、「若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)における支援の推進」等の施策を盛り込んでいる。中でも、「若年者試行雇用の活用」については、常用雇用移行率を80%にするという目標(2006(平成18)年度までの目標)を掲げている。これらの施策を総合的に実施することで、フリーターや若年失業者、無業者それぞれについて、低下を示すような状況を目指すとしている。
 また、教育を受ける意欲と能力のある学生が経済的理由で修学を断念することがないように、日本学生支援機構奨学金事業において、基準を満たす希望者全員に貸与できるよう努めることとしている。
 さらに、子どもが自立した若者へと成長していくためには、自然や人と直接ふれあうことによって、心豊かにたくましく育ち、生活や社会、自然とのかかわりを学び生きる力を発揮できるようにすることが重要である。そのため、各種体験活動の機会を充実させ多くの子どもが様々な体験を持つことができ、また、確かな学力や豊かな人間性などの生きる力をはぐくむことができる学校教育を推進していくことを目指している。
第1‐2‐5図 4つの重点課題〔1〕:若者の自立とたくましい子どもの育ち

(2)仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し

 結婚や出産をためらわせる障壁を極力取り除き、子育ての不安や負担を軽減するため、結婚や出産、子育てをしやすい環境整備を進めることとあわせ、職場優先の風土を是正する働き方の見直しを課題とし、家族の時間や私的活動の時間を大切にできる職場風土をつくることが求められている。
 そこで、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主の行動計画の策定及びその実施を支援するとともに、育児休業制度を就業規則に規定している企業の割合を5年後に100%(2002年度時点では61.4%)にすることや、次世代育成支援対策推進法に基づく認定企業数の割合を計画策定企業の20%以上にすること、長時間にわたる時間外労働を行っている者を1割以上減少すること、年次有給休暇の取得率を55%以上にすること等の目標を設定している。これらにより、希望する者のすべてが安心して育児休業等を取得できる職場環境の整備や、男性も他の先進国並に家庭でしっかりと子どもに向き合う時間を持ち、男性の子育て参加の促進を図ることをねらいとしている。また、育児等のために退職し、将来就職を希望する人に対しては、円滑な再就職に向けた準備支援・職業訓練等を推進することとしている。
第1‐2‐6図 4つの重点課題〔2〕:仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し

(3)生命の大切さ、家庭の役割等についての理解

 家庭は、子どもが親や家族との愛情によるきずなを形成し、人に対する基本的な信頼感や倫理観、自立心などを身に付けていく場である。しかし、職場優先の風潮などから子どもに対し時間的・精神的に十分向き合うことができていない親、無関心や放任といった極端な養育態度の親などの問題が指摘されている。家庭において夫婦が子育ての喜びを共有することで、親から子へ子育ての喜びや楽しさが伝えられることにもつながる。
 人々が自由や気楽さを望むあまり、家庭を築くことや生命を継承していくことの大切さへの意識が失われつつあるとの指摘もある。学校教育や地域社会など様々な社会とのかかわりの中で子育ての楽しさを実感し、自らの生命を次代に伝えはぐくんでいくことや、家庭を築くことの大切さの理解を深めることが求められている。
 このため、保育所、児童館、保健センターにおいて中・高校生が乳幼児とふれあう機会提供を拡大することや、生命の大切さや家庭の役割等に関する学校教育の充実、地域住民や関係者が参加して子育て支援についてともに考えるフォーラム等を全市町村で実施することとしている。
第1‐2‐7図 4つの重点課題〔3〕:生命の大切さ、家庭の役割等についての理解

(4)子育ての新たな支え合いと連帯

 子育ては次代の担い手を育成する営みであるという観点から、子どもの価値を社会全体で共有し、子育て家庭が安心と喜びをもって子育てに当たれるよう社会全体で支援することが求められている。
 近年、核家族化、地域社会の変化など、子育てをめぐる環境が大きく変化したため、家庭のみでは子育てを負い切れなくなってきており、さらには虐待などが深刻な問題となっている。祖父母などの親族や、近隣など身近な地域社会での助け合いのネットワークが有効に機能することが望まれる。また、社会経済の変化や少子化に伴い、妊娠、出産から子どもの健全な育ちにかかわるニーズは大きく変化してきており、小児医療、母子保健などの多様なニーズに対し、適切な対応が求められている。
 そこで、地域での子育て支援として、全国どこでも歩いていける場所で気兼ねなく親子で集まって相談や交流ができるよう、つどいの広場・地域子育て支援センターの実施箇所を拡大することとし、2004(平成16)年度に2,954か所である拠点の箇所数を5年後までに6,000か所にするという目標を掲げている。
 また、全国どこでも保育サービスが利用でき、就業形態に対応した保育ニーズが満たされるよう、待機児童ゼロ作戦をさらに展開し、受入児童数を2009(平成21)年度までに、約12万人増やすとともに、多様な保育ニーズへの対応として、延長保育(2004年度12,783か所→2009年度16,200か所)、休日保育(同666か所→同2,200か所)、夜間保育(同66か所→同140か所)、病後児保育(同507か所→同1,500か所)等の実施箇所数を大きく増加させることとしている。
 さらに、全国どこでも養育困難家庭の育児への不安や負担感が軽減される支援を受けられるよう、児童虐待防止やその適切な対応として、虐待防止ネットワークを2009年度までに全市町村で整備するとし、障害児やひとり親家庭などの多様なニーズへの対応を図り、特に支援を必要とする子どもとその家庭に対する支援を推進するとしている。
 周産期、乳幼児期の安全を確保し、子どもが病気の際には適切に対応できるよう、周産期医療ネットワークや小児医療体制の整備を推進するとともに、妊婦、子ども及び子ども連れの人に対して配慮が行き届き安心して外出できるよう、子育てバリアフリーや安全・安心なまちづくりを推進することとしている。
第1‐2‐8図 4つの重点課題〔4〕:子育ての新たな支え合いと連帯

(5)検討課題

 最後に検討課題として、社会保障給付については、大きな比重を占める高齢者関係給付を見直し、これを支える若い世代及び将来世代の負担増を抑えるとともに、社会保障の枠にとらわれることなく次世代育成支援の推進を図ることとしている。
 また、併せて、我が国の人口が転換期を迎えるこれからの5年間が重要な時期であるとの認識のもと、社会全体で次世代の育成を効果的に支援していくため、地域や家族の多様な子育て支援、働き方に関わる施策、児童手当等の経済的支援など多岐にわたる次世代育成支援施策について、総合的かつ効率的な視点に立って、その在り方等を幅広く検討することを盛り込んでいる。

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