第3節 地方自治体における独自事業の展開

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1 地方自治体の独自事業

(地方自治体の役割)

 子ども・子育て応援プランがねらいとしている「子どもが健康に育つ社会」、「子どもを生み、育てることに喜びを感じることができる社会」へと転換していくためには、国と地方自治体がそれぞれの役割を果たしつつ、緊密に連携しながら少子化対策を推進していくことが重要である。前述したとおり、少子化対策は、国だけがその担い手ではなく、都道府県や市町村(東京都23区を含む。以下同じ)も、国と同様か、あるいは施策によっては国以上に重要な担い手である。
 地方自治体が少子化対策を実施する場合、〔1〕法律等に基づく国の制度を国の基準等に沿って実施する、〔2〕国の制度よりもたとえば給付水準を高くしたり、利用者負担を軽減したりする等のいわゆる「上乗せ事業」として実施する、〔3〕国の制度にはないが、住民のニーズを反映して、地方自治体単独の事業として実施する、という方法がある。本章では、〔2〕及び〔3〕の事業を、その地方自治体の独自事業と位置づけることにする。
 〔1〕の事業については、政府において、その内容や事業規模、予算等を把握できるが、地方自治体の独自事業については、都道府県と市町村を含めると3,000近く(2005年2月時点)の地方自治体に分かれていることもあり、全体の把握はなかなか困難である。しかし、こうした地方自治体の独自事業とは、その地域の実情や住民のニーズを踏まえて、地方自治体が自らの負担で行っている事業であり、少子化対策における地方自治体の責務と独創性を示すものとして重要である1
 内閣府では、2004(平成16)年度の政策研究事業として、地方自治体の協力を得て、「地方自治体の子育て支援独自事業に関する調査」2を行った。そこで、この調査結果を基に、地方自治体の独自事業の現状を紹介する。
1 地方自治体の独自事業の規模については、正確に把握した統計はない。総務省の地方単独事業調べによれば、2002年度の地方単独の児童福祉サービス費(扶助費)は4,088億円となっている。ただし、この数値には、単独事業を実施した職員の人件費は含んでいない。また、保健医療サービスなど他の分野の単独事業も含んでいない。したがって、地方自治体の独自事業の規模は、実際にはこの数値よりも大きいものと考えられる。
2 全都道府県及び全市町村(2005年2月1日現在、2,815市町村。東京都三宅島及び新潟中越地震の激震地区を除く)を対象とし、全都道府県及び1,690市町村から有効回答を得た。

(地方自治体による独自事業の状況)

 地方自治体の独自事業として、〔1〕都道府県による事業と〔2〕市町村による事業がある。前者は、実施主体が市町村である場合を含めて、都道府県が国の制度に給付等の上乗せや、その都道府県独自の事業を創設・実施するものである。後者は、市町村が、国や都道府県の事業に上乗せをしたり、独自の事業を創設・実施したりするものである。
 都道府県による独自事業(前述したとおり、国基準への上乗せ事業または単独事業をさす)の実施状況をみると、「乳幼児医療費助成」については、すべての都道府県で独自事業として実施している。さらに「ひとり親家庭支援」、「私立幼稚園への経常経費補助」、「認可外保育施設への補助」、「放課後児童健全育成事業」、「障害児保育」についても、半数以上の都道府県で独自事業が実施されている。
 一方、市町村では、まず、市町村で行われている子育て支援施策の実施状況をみると、「乳幼児医療費助成」、「認可保育所」、「放課後児童健全育成事業」、「幼稚園」、「延長保育」の順となっている。
 これらの中から、市町村による独自事業の実施状況をみると、「保育料の減免措置」はほぼすべての市町村で実施されており、「保育料の独自徴収基準の設定」も広く行われている。また、「妊産婦健診や乳幼児健診」、「各種手当の支給」、「保育所職員の加配」、「ひとり親家庭支援」などの実施も多い。
第1‐3‐1図 都道府県における各種子育て支援策の国基準への上乗せ事業または都道府県単独事業としての実施状況



第1‐3‐2図 市町村における各種子育て支援策の実施状況



第1‐3‐3図 市町村における各種子育て支援策の国基準への上乗せ事業または市町村単独事業としての実施状況


(都道府県及び市町村における事業費について)

 都道府県における各種子育て支援策の事業費について、補助を実施している団体の平均額でみると、「私立幼稚園への経常経費補助」(1団体あたり平均14億6,700万円)が最も多く、次いで「乳幼児医療費助成」(同13億5,600万円)、「認証保育施設への補助」(同12億3,900万円)、「各種手当の支給」(7億8,700万円)、「ひとり親家庭支援」(同7億3,400万円)等、国による補助がない事業に多くの事業費が投入されている。
 市町村における各種子育て支援策の事業費では、「私立保育所運営費」(1団体あたり平均8億300万円)、次いで「公立保育所運営費」(同7億2,200万円)への支出が他の経費よりも大幅に多くなっている。それ以外の軽費で支出が多いのは、「認証保育施設への補助」(同1億6,000万円)や「ひとり親家庭支援」(同1億1,600万円)となっている。

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