2 地方自治体における独自事業の具体的内容

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 地方自治体の独自事業の内容は、地域のニーズやその自治体の少子化対策に対する姿勢を反映して、実に様々である。ここでは、調査対象とした事業分野の中から、「地域子育て支援」、「保育サービス分野」、「幼児教育分野」、「各種手当の支給」、「母子保健」、「医療」について、具体的に紹介する3
3 本章では、地方自治体の独自事業の具体例を掲載しているが、実際の事例は数多くあり、詳細については、内閣府「地方自治体の独自子育て支援施策の実施状況調査報告書」(2005年3月)参照。

(1)地域子育て支援

 地域子育て支援センター事業4は、都道府県及び市町村とも、ほとんどが国の基準どおりに実施している。なお、市町村での実施割合は60.4%(1,020団体)であり、4割の市町村では事業が実施されていない。類似事業として、都道府県または市町村の単独事業として行われているものがある。市町村の類似事業の名称としては、「子ども家庭支援センター」「~広場」「~サロン」「~クラブ」等の名称が多い。
 また、つどいの広場事業5についても、ほぼ国の基準どおりに実施している。ただし、事業を実施している市町村は全体の6.2%(105団体)と、まだ少ない状態にある。国の補助基準に対する地方自治体独自の上乗せ措置としては、子育てアドバイザーの加配や一時預かり等の機能の拡充がみられる。
4 保育所等において、専業主婦等が育児不安について専門家に相談したり、地域の育児サークル活動を行うことができる事業。2004年度では全国2,783か所。
5 子育て中の親子が相談、交流、情報交換できる身近な場所。2004年度では、全国171か所。

第1‐3‐4表 市町村における地域子育て支援センターの類似事業の事業内容(複数回答)
事業内容
団体数
割合(%)
総数
235
100.0
 子育てに関する相談
235
100.0
 子育てサークル等の育成・支援
141
60.0
 親子の交流、集いの場の提供
202
86.0
 一時保育
42
17.9
 ショートステイ
26
11.1
 被虐待児童、障害児等、要保護児童のケースマネジメント
53
22.6
 子育てボランティア・NPO等の育成・支援(講習の実施等)
51
21.7
 子育てに関わる情報提供
235
100.0
 ファミリー・サポート・センター事業の運営
35
14.9
 その他
30
12.8
 無回答
資料: 内閣府「地方自治体の独自子育て支援施策の実施状況調査」(2005年3月)による。
 注: 「地域子育て支援センターの類似事業を実施している」と回答した市町村235団体の状況。


(事例)
埼玉県川口市「アドベンチャープレイ事業」
 市内のある児童公園に職員と地域ボランティアプレイリーダー登録者を配置して、子どもの遊び指導や遊具の貸し出し、プレイリーダー養成講座やわんぱくスクール、まつりなど各種イベントを実施。春・夏休み期間中にはアルバイトも参加。2004(平成16)年度の利用者数は、36,390人。

(2)保育サービス分野

 認可保育所6がある市町村は97.3%(1,645団体)であり、ほとんどすべての市町村に認可保育所が設置されている。また、保育サービスの実施にあたっては、保育料の軽減や職員の加配等の措置で、様々な独自事業が実施されている。
 まず、保育料については、国によって徴収基準額表が示されているが、これに準じている市町村は10.6%(175団体)にすぎず、独自に保育料徴収基準を設定している市町村は87.7%(1,443団体)となっている。独自に設定している所得水準による階層区分は、平均で11.2階層となっており、国の7区分よりも細かくなっている。東京都23区では、26区分と大変細かなものとなっている。階層区分を細かく設定することにより、同じ所得水準の場合でも、国基準よりも保育料水準が低くなるなど、利用者の負担軽減となっている。
 保育料の減免措置も多くの区市町村で実施されている。その具体的内容としては、「二人以上の入所児童がいる世帯の減免」が90.3%(1,486団体)で最も多く、次いで「母子世帯の減免」が77.4%(1,273団体)となっている。その他には、「災害・犯罪による損害や高額医療費の支出があった場合の減免」、「父子世帯に対する減免」等が多く、また、「入所児の病休」、「小学生の兄姉がいる場合」、「転入世帯の減免」もある。
 職員の加配補助7についてみると、市町村の独自事業による職員の加配の実施状況は、公立保育所に対して行っている市町村が全体の40.4%(665団体)、私立保育所に対して行っているものが16.8%(277団体)となっている。また、都道府県事業でみると、23都道府県が認可保育所の職員加配について補助を実施している。
6 児童福祉法に基づく施設の設備・人員配置に関する最低基準を満たして、都道府県知事から開設の認可を得た保育所を、一般に「認可保育所」と呼んでいる。認可保育所であれば、運営にあたって、地方自治体から児童福祉法に基づく運営費補助を得ることができる。
7 認可保育所の基準では、0歳児3人につき保育士が1人、1・2歳児6人につき同1人、3歳児20人につき同1人、4.5歳児30人に対して同1人という保育士の配置基準が定められており、この基準よりも保育士を多く配置する場合を、「職員の加配」と呼んでいる。

第1‐3‐5図 市町村における保育料の設定基準など



 各種保育サービスについては、都道府県独自事業として国基準への上乗せ補助を行っているものは、障害児保育が57.4%(27団体)と最も多く、次いで延長保育(通常保育の限度である11時間を超えて行う保育)及び休日保育が10.6%(5団体)となっている。市町村では、延長保育(11時間超保育)が65.4%(1,076団体)と最も多く、次いで障害児保育64.1%(1,055団体)、一時保育63.2%(1,039団体)となっている。

第1‐3‐6表 保育分野で地方自治体で行っている主な上乗せ事業の実施状況
  
制度の概要(国制度)
都道府県
市町村
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
延長保育 ・11時間の開所時間の前後に、さらに概ね30分以上の保育を行うこと
・保育士を2人以上配置
5
10.6
1,076
65.4
休日保育 ・日曜日、国民の祝日等を含めて年間を通して開所する保育所を指定して行う事業のこと
・休日等において保育に欠ける児童を対象
・保育士を2人以上配置
5
10.6
298
18.1
障害児保育 ・保育に欠ける障害児(児童特別扶養手当の対象障害児童)に対して行う保育
・障害児の保育について、知識・経験等を有する保育士を配置
・必要な設備を備えていること
27
57.4
1,055
64.1
一時保育 ・保護者の傷病・入院、断続的勤務、短時間勤務、育児疲れ解消に対応して行われる一時的保育
・担当の保育士を配置
・専用の部屋を確保すること
2
4.3
1,039
63.2
夜間保育 ・概ね午前11時からおおよそ午後10時頃までの保育
1
2.1
57
3.5
資料: 内閣府「地方自治体の独自子育て支援施策の実施状況調査」(2005年3月)による。
 注: 市町村は「認可保育所がある」と回答した1,645団体の状況


 認可保育所以外の保育サービスに対する補助の実施状況では、補助を実施している都道府県は63.8%(30団体)、市町村では22.1%(374団体)となっている。「認証保育所」への補助について、補助を実施している都道府県は6.4%(3団体)、市町村は4.8%(81団体)である。「保育ママ8」について、補助を実施している都道府県は4.3%(2団体)、市町村は3.7%(62団体)となっている。
8 保育ママは、保育士や看護師等の資格を有し市区町村等からの認定により登録される保育者であり、国の制度では家庭的保育事業における保育者として位置づけられる。同制度は、増大・多様化するニーズに合わせた保育サービスを提供するため発足し、事業を実施する市区町村に対し、国または都道府県が必要な経費の補助を行う。運営体制の詳細は市区町村によって様々であるが、保育ママの居宅において、保育ママ1人あたり基本的に3人以内の3歳未満の乳幼児を保育する制度である。

 ┌── 認可保育所
 └── 認可外保育所
   ├── 認証保育所
   ├── 事業所内託児所
   └── その他の認可外保育所

第1‐3‐7図 認可保育所以外の保育サービスへの補助を実施している自治体の割合



(事例)

(1)東京都の認証保育所や横浜保育室、せんだい保育室

 認可外保育所の中には、東京都の認証保育所や横浜市の横浜保育室、仙台市のせんだい保育室のように、地方自治体が独自の基準を設け、運営費等について単独の補助を行っているものがある。これらは、「産休明けから0歳児を預けたい」、「残業している時間も預かってほしい」、「送り迎えが便利な場所に預けたい」など、多様化する保育ニーズに的確に応えるため、定員や面積、開所時間等の国が定める認可保育所の基準を弾力化するかたちで実施しており、たとえば東京都の認証保育所と国の基準による認可保育所を比較した場合、次のとおりである。

第1‐3‐8表 国の基準による認可保育所と東京都の認証保育所との設備等基準の比較
 
国の基準による認可保育所
東京都の認証保育所
(A型:駅前基本型)
(B型:小規模、家庭的保育所)
定員 60人以上(小規模保育所の場合は20人以上) A型 20人~120人
B型 6人~29人
対象年齢(0歳児保育の有無) 0歳~小学校就学の始期まで(0歳児保育を実施していない保育所もある) A型 0~5歳児(0~2歳児が1/2以上)
B型 0~2歳児
面積 ほふく室の場合、2歳未満児1人当たり3.3m2以上 ほふく室の場合、2歳未満児1人当たり3.3m2以上(2.5m2まで弾力化)
開所時間 11時間が基本 13時間が基本
 注: 「ほふく室」は保育所における設備で、満1歳に満たない乳児の成長発達に不可欠な遊びや活動(寝返り、ハイハイ、伝い歩き等)のためのスペースを指す。


 東京都の認証保育所の場合、保育にかかる経費(国基準保育所運営費相当額)の負担の考え方は、適正な利用者負担となるよう、都と区市町村とが合わせて2分の1を負担している。2005(平成17)年8月現在で、都内における認可保育所の設置数は1,637か所、認証保育所の設置数はA型205か所、B型73か所となっている。また、利用に当たっては利用者と施設との直接契約方式であり、保育料は基本的に国の基準を上限として施設が自由に設定している。
 いずれも利用者への公正な情報提供や保育水準の維持・向上を確保するための措置として、事業者に対して利用者等向けのサービス内容の説明や情報提供の実施が義務付けられている。

(2)江戸川区の保育ママ事業

 江戸川区は、乳児期は家庭的な愛情と環境が欠かせない人間形成にとって大切な時期との考え方に立ち、生後9週目(57日目)から1歳未満の乳児について、保護者の家庭保育に代わって「保育ママ」が保育を行うサービスを昭和44年度から継続して提供している。
 同区は、保育士等の有資格者又は育児経験があること等を要件に、2004(平成16)年度で約200人の専業の保育ママを認定し、必要な経費の補助を行っている。2004年度末における区内の0歳児約6,700人のうち、家庭保育が88%(約5,900人)、私立保育所等の利用が6%(約400人)で、保育ママの利用は6%(約400人)の状況である。
 保育時間は、基本時間が午前8時30分から午後5時、時間外保育を含めると午前7時30分から午後6時までであり、保護者の負担については、基本保育料と雑費で月額1万7千円、時間外保育を利用する場合は1時間当たり400円となっている。

(3)幼児教育分野

 幼稚園(公立・私立)がある市町村は76.4%(1,291団体)であり、8割近くの市町村に幼稚園が設置されている。幼稚園の運営にあたっては、経常経費への補助や預かり保育の実施、職員の加配のほか、授業料等の負担軽減措置などの独自事業が実施されている。
 まず、経常経費への独自の補助については、公立幼稚園では都道府県がわずか2.1%(1団体)の実施に過ぎないが、私立幼稚園では都道府県の76.6%(36団体)、市町村の39.3%(508団体)が実施している。私立幼稚園の経常経費への独自の補助の内容としては、都道府県では「障害児教育の補助」が最も多く77.8%(28団体)、次いで「預かり保育への補助」が52.8%(19団体)となっている。市町村では「職員の研修・教育費用の補助」が最も多く41.5%(211団体)、次いで「教材費の助成」が36.4%(185団体)となっている。
 経常経費の独自補助が私立幼稚園に対して手厚くなっているのに対し、公立幼稚園では、市町村において、預かり保育26.3%(339団体)、障害児支援を主とする職員の加配22.5%(291団体)などの内容で実施されている。
 授業料等の負担軽減措置については、都道府県で27.7%(13団体)、市町村で23.3%(301団体)の実施にとどまるが、その内容は、幼稚園就園奨励費補助金9対象外世帯への一定額補助や第3子以降に対する追加補助、きょうだい同時在園の場合の補助などがある。
9 幼稚園就園奨励費補助金は、幼稚園に就園する子のうち、所得水準が一定以下の世帯に対する入園料及び保育料の補助を行う市町村に対する国の補助事業であり、所得水準や同時就園している子弟数に応じて、補助する仕組みである。(負担割合は、おおむね国1/3、市町村等2/3である。)同補助金制度により、幼稚園教育の振興と保護者の経済的負担の軽減を図っている。

第1‐3‐9表 私立幼稚園への経常経費補助の内容
  
都道府県
市町村
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
障害児教育の補助
28
77.8
83
16.3
預かり保育の経常経費補助
19
52.8
61
12.0
職員の研修・教育費用の補助
15
41.7
211
41.5
教材費の助成
14
38.9
185
36.4
資料: 内閣府「地方自治体の独自子育て支援施策の実施状況調査」(2005年3月)による。
 注: 「私立幼稚園への経常経費補助を実施している」と回答した都道府県36団体、市町村508団体の状況(複数回答)

(4)各種手当の支給

 児童手当や児童扶養手当は法律に基づく全国統一的な制度であるが、地方自治体では、これらの制度以外に各種手当の支給事業が実施されている。
 独自事業により各種手当の支給事業を実施しているところは、都道府県では19.1%(9団体)、市町村では48.9%(827団体)である。市町村においては、人口規模の小さい自治体で実施割合が高く、町村部では過半数を占めている。
 事業内容としては、都道府県の事業では目立ったものはみられないが、市町村の場合、「出産祝い金」の支給が最も多く、25.5%(431団体)と市町村の4分の1で実施されている。また、「出産祝い品(記念品の贈呈等)も13.3%(224団体)と1割を超えている。次いで、「入学祝い金」が7.6%(128団体)、「入学祝い品(文具や記念品の贈呈等)が5.6%(94団体)、「育児手当」が3.5%(59団体)となっている。

第1‐3‐10表 特色ある各種手当の支給の実施状況
  
都道府県
市町村
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
出産祝い金
1
2.1
431
25.5
出産祝い品(記念品の贈呈等)
1
2.1
224
13.3
育児手当
1
2.1
59
3.5
入学祝い金
3
6.4
128
7.6
入学祝い品(文具や記念品の贈呈等)
2
4.3
94
5.6
その他
2
4.3
229
13.6
資料: 内閣府「地方自治体の独自子育て支援施策の実施状況調査」(2005年3月)による。


(事例)

 愛知県名古屋市の「子育て支援手当」の例
 愛知県名古屋市では、「名古屋市子育て支援手当」として、3歳未満児を含む児童を3人以上養育している人に対して、3人目以降の3歳未満児1人につき月額2万円を支給。2004(平成16)年度から実施。所得制限を児童手当と同額に定めており、対象児童が保育所入所の場合は保育料を無料化することで対応する。2005(平成17)年9月末現在、受給児童数は4,404人。

(事例)

 福島県天栄村の「出産祝い金」及び北海道泊村の「入学祝い金」の例
 自治体が独自に「出産祝い金」を支給する場合、第1子から支給対象とするケースは少なく、第2子よりも第3子、第3子よりも第4子と、子どもの順位に応じて支給額が多くなり、多子世帯をより支援する傾向がある。そのケースとして福島県天栄村では、第2子で10万円、第3子で20万円、第4子で30万円、第5子以降で50万円を支給している。
 入学祝い金のケースでは、北海道泊村にみられる小学校と高校入学時に10万円を支給という比較的高額なケースもある。

(事例)

 福島県矢祭町の「出産祝い金」の例
 独自に「出産祝い金」を支給する自治体の中でも、福島県矢祭町は、第3子以降の子どもが誕生するたびに祝い金として100万円という破格の金額を支給している。同町は人口6,993人(2,049世帯)(平成17年9月1日現在)であるが、自立していくための策として人口1万人以上を目標にしていることが背景にあり、同祝い金支給制度を平成17年4月から始めた。同祝い金は第3子出産の3か月後に50万円、その後、2歳から11歳までの10年間に毎年5万円ずつというかたちで支給される。

(5)母子保健

 妊産婦健診や乳幼児健診について、都道府県独自に実施している健診がある都道府県は23.4%(11団体)、市町村が独自に実施している健診がある市町村は57.9%(978団体)である。独自事業としての健診は規模が大きい市町村の方が実施割合が高い。
 母子保健関連の事業として、様々な独自事業が実施されている。都道府県では、母親向けとしては妊産婦健診の回数追加や産後のうつ病対策、HIV抗体検査などが特徴的であり、子どもと家庭向けとしては障害の早期発見のための検診にかかる上乗せ補助、アレルギー・アトピー性疾患対策、思春期対策及び児童虐待防止対策などが行われている。
 市町村レベルにおいても、妊娠から産後までの母親支援、健診、栄養、運動、歯、心、子どもの生活習慣病、虐待対応など、様々なテーマについて、意識啓発、情報提供、健康教育、実践指導、仲間づくりなどを目的とした事業が行われている。

(事例)

(1)熊本県「母親の心のケア推進事業」
 保健師等の新生児・乳児訪問や医療機関で実施される1ヶ月健診などの際に、産後うつ病や育児不安など支援の必要な母親を早期に発見し支援を開始することにより、病状などが深刻化する前に対応し、良好な母子関係を促すための事業。保健師や医療機関等向けのマニュアルの作成や研修会の開催、関係機関の連携システムづくりを行う。
(2)秋田県「母体健康増進支援事業」
 市町村が妊婦に対して、妊婦一般健康診査(妊婦1人1回につき5,000円以内、4回を限度とする)及び妊婦歯科健康診査(妊婦1人につき4,000円以内、1回を限度とする)の無料交付券を交付する場合に、その費用の2分の1を助成する。
(3)栃木県「父子手帳」
 栃木県では、父親に対し、妊娠・出産・育児に関する知識や母親へのサポート方法などを提供することにより、父親も子どもの育児に積極的に関与するように、母子健康手帳とは別に、父子手帳を交付している。

(6)医療

 乳幼児医療費助成事業は、地方自治体の独自事業としては全国的に普及している制度である。平成17年4月1日現在で、すべての都道府県が実施している。
 その実施方法は、都道府県の制度を市町村が実施したり、市町村が都道府県事業に加えて独自の給付を行ったりする場合がある等、多様である。各都道府県の乳幼児医療費助成事業の実施状況については表(第1‐3‐11表)のとおりである。

第1‐3‐11表 各都道府県における乳幼児医療費助成事業の実施状況
平成17年4月1日現在
都道府県名
対象年齢
所得制限
一部自己負担の有無及び内容
通院(歳未満)
入院(歳未満)
通院
入院
有無
内容
1 北海道 未就学 未就学 ・3歳未満児及び住民税非課税世帯初診時のみ医科580円、歯科510円
・住民税課税世帯~総医療費の1割(月額上限:入院40,200円、通院12,000円)
2 青森県 4 未就学 4歳~未就学(入院)のみ1日500円
3 岩手県 未就学 未就学 1レセプト当たり、通院1,500円、入院5,000円を限度
※ただし、3歳未満及び住民税非課税世帯は自己負担なし
4 宮城県 3 未就学  
5 秋田県 未就学 未就学  
6 山形県 未就学 未就学 所得税課税世帯については、入院1日1,200円、通院1日530円(月4回まで)
7 福島県 未就学 未就学 1レセプト当たり1,000円
8 茨城県 未就学 3 通院医療機関ごとに1日600円、月2回限度、入院医療機関ごとに1日300円、月3,000円限度 ※平成17年11月改正
9 栃木県 未就学 未就学  
10 群馬県 3 5  
11 埼玉県 5 未就学 入院1日1,200円、通院1月1,000円(市町村民税非課税世帯は免除)
12 千葉県 3 未就学 通院1回、入院1日につき200円。ただし市町村民税均等割のみ課税世帯は免除
13 東京都 未就学 未就学 (注)入院時食事療養費標準負担額は自己負担
14 神奈川県 3 中学卒  
15 新潟県 3 4 入院1日1,200円、通院1回530円×4回
(注1)食事療養費については、標準負担額減額認定証交付者のみ対象(ただし0歳児のみ)
(注2)0歳児は、通院・入院の所得制限なし
16 富山県 4 未就学 1歳児~入院1日1,200円、通院1日530円(月4回まで)
17 石川県 4 未就学 月1,000円
18 福井県 3 3 (注)子供3人以上については、未就学前まで全員対象
19 山梨県 5 未就学 月700円
20 長野県 4 未就学 1レセプト当たり300円
21 岐阜県 3 未就学  
22 静岡県 未就学 未就学 入院1日500円、通院1回500円(1月4回2,000円限度)
23 愛知県 4 4  
24 三重県 4 4  
25 滋賀県 4 未就学 通院1レセプト当たり500円、入院1日1,000円、上限月14,000円
26 京都府 未就学 未就学 入院、3歳未満通院:1月、1医療機関200円
3歳~就学前通院:1月8,000円
27 大阪府 3 未就学 1医療機関あたり入通院各500円/日(月2回限度)
28 兵庫県 未就学 未就学 〃? ・通院の場合、自己負担額の1割(5,000円限度)
・0歳児は所得制限なし
29 奈良県 3 3 1~2歳児(老人保健法の外来一部負担金に準拠(医療費の1割または高所得者の場合2割))
30 和歌山県 3 未就学  
31 鳥取県 5 未就学 入院1日1,200円、通院1回530円(月4回まで)
32 島根県 3 未就学 3歳未満(医療機関ごとに1,000円/月)、3歳~就学前(医療機関ごとに医療費の1割/月(上限15,000円/月))
33 岡山県 3 未就学 自己負担分の2割
34 広島県 未就学 未就学 1医療機関につき500円/日(入院月14日・通院月4日を限度)
35 山口県 未就学 未就学  
36 徳島県 3 6  
37 香川県 6 6  
38 愛媛県 3 未就学  
39 高知県 1 未就学 (注)平成17年10月1日改正
40 福岡県 3 未就学 初診料、往診料の自己負担分相当額
41 佐賀県 3 3 1レセプト当たり300円
42 長崎県 3 6 1日800円、月上限1,600円
43 熊本県 4 4 月3,000円(市町村民税非課税世帯は、入院2,040円、通院1,020円)
44 大分県 3 未就学  
45 宮崎県 3 3 1レセプト当たり300円
46 鹿児島県 6 6 月3,000円(市町村民税非課税世帯を除く)
(注)歯科は、通院、入院とも4歳未満まで
47 沖縄県 3 5 3、4歳児のみ入院時1日700円
資料: 内閣府調べ


 都道府県レベルでは、外来においては「6歳未満もしくは小学校就学時まで」が29.8%(14団体)、「3歳未満まで」が44.7%(21団体)、入院においては「6歳未満もしくは小学校就学時まで」が70.2%(33団体)、「3歳未満まで」が8.5%(4団体)となっている。
 市町村レベルでは、都道府県の制度を基に「上乗せ補助」により給付対象を拡大しているところが多くみられる。外来においては「小学生以上」も対象にしているところが3.1%(51団体)、入院では5.1%(84団体)となっている。

第1‐3‐12表 乳幼児医療費助成の対象年齢
 
都道府県
市町村
外来
入院
外来
入院
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
3歳未満まで
21
44.7
4
8.5
358
21.7
85
5.2
6歳未満もしくは小学校就学時まで
14
29.8
33
70.2
940
57.1
1,314
79.8
小学生まで
0
0.0
0
0.0
30
1.8
34
2.1
中学生以上も対象
0
0.0
1
2.1
21
1.3
50
3.0
その他
12
25.5
9
19.1
308
18.7
170
10.3
無回答
0
0.0
0
0.0
5
0.3
16
1.0
資料: 内閣府「地方自治体の独自子育て支援施策の実施状況調査」(2005年3月)による。
 注: 「乳幼児医療費助成制度がある」と回答した、都道府県47団体、市町村1,647団体の状況。


 どの程度の助成が受けられるかについてみると、医療費が無料になる(自己負担分を全額助成)のは、都道府県で外来が42.6%(20団体)、入院が38.3%(18団体)となっている。市町村ではそれぞれ54.4%(896団体)、54.6%(900団体)であり、市町村で割合が高い。これに対して、一部が補助されるのは、都道府県では外来、入院ともに57.4%(27団体)、市町村では外来43.7%(720団体)、入院42.9%(707団体)となっている。

第1‐3‐13表 乳幼児医療費助成の基準
 
都道府県
市町村
外来
入院
外来
入院
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
自己負担分を全額助成
20
42.6
18
38.3
896
54.4
900
54.6
自己負担分の一部を助成
27
57.4
27
57.4
720
43.7
707
42.9
無回答
0
0.0
2
4.3
31
1.9
40
2.4
資料: 内閣府「地方自治体の独自子育て支援施策の実施状況調査」(2005年3月)による。
 注: 「乳幼児医療費助成制度がある」と回答した、都道府県47団体、市町村1,647団体の状況。


 こうした助成を受けるときには、所得制限が設けられることがある。助成に際して、所得制限がないのは、都道府県では外来、入院ともに46.8%(22団体)、市町村では外来で63.8%(1,051団体)、入院で63.0%(1,038団体)となっている。

第1‐3‐14表 乳幼児医療費助成の所得制限の有無
 
都道府県
市町村
外来
入院
外来
入院
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
全年齢について所得制限あり
22
46.8
22
46.8
385
23.4
380
23.1
一部の年齢について所得制限あり
3
6.4
3
6.4
190
11.5
194
11.8
所得制限なし
22
46.8
22
46.8
1,051
63.8
1,038
63.0
無回答
0
0.0
0
0.0
21
1.3
35
2.1
資料: 内閣府「地方自治体の独自子育て支援施策の実施状況調査」(2005年3月)による。
 注: 「乳幼児医療費助成制度がある」と回答した、都道府県47団体、市町村1,647団体の状況。


 そして、助成の方法には、「現物給付」(患者は医療機関の窓口では減免された自己負担額を支払うだけでよく、助成分は医療機関に給付される)と「償還払い」(患者は医療機関の窓口でいったん医療費の自己負担額を支払い、後日、市役所等への申請に基づき助成を受け、自己負担額が償還される)がある。

第1‐3‐15表 乳幼児医療費助成の方式
 
都道府県
市町村
外来
入院
外来
入院
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
現物給付
18
38.3
19
40.4
242
14.7
220
13.4
償還払い
14
29.8
13
27.7
446
27.1
488
29.6
現物給付と償還払いの併用
13
27.7
15
31.9
930
56.5
909
55.2
無回答
2
4.3
0
0.0
29
1.8
30
1.8
資料: 内閣府「地方自治体の独自子育て支援施策の実施状況調査」(2005年3月)による。
 注: 「乳幼児医療費助成制度がある」と回答した、都道府県47団体、市町村1,647団体の状況。


 また、不妊治療に関する上乗せ補助については、都道府県では10.6%(5団体)が実施している。その内容は、助成対象とする検査・治療の範囲の拡大が多い。
 市町村では、不妊治療の助成事業を実施している団体は9.8%(166団体)とまだ少ないが、そのうち41.0%(68団体)が上乗せ補助を実施しており、その内容は所得制限の緩和、次いで助成対象とする検査・治療の範囲の拡大となっている。

(事例)

 乳幼児の医療費無料の対象拡大の例
 東京都北区では2004(平成16)年4月から、小学1年生から中学3年生までの入院の医療費を助成(所得制限なし)しており、品川区では2005(平成17)年1月から、小学生の医療費を助成することとなった。また、東京都台東区及び港区では2005(平成17)年4月から、医療費助成の対象年齢を中学3年生(15歳に達した日以降の最初の3月31日)まで拡大し、さらに入院時の食事代についても助成している。また、宮城県大衡村では、村独自に中学卒業時まで引き上げている子どもの医療費助成の対象枠を、2004(平成16)年度から18歳まで拡大している。

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