5 経済的支援(児童手当・税制)

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 子どものいる世帯に対する経済的支援として、現金給付と税制(各種控除制度)を挙げることができる。わが国では、児童手当等の支給の他、所得税制における扶養控除が実施されている。欧州の主要国では、わが国と比較をして、給付水準が高い児童手当制度等の経済的支援策が行われている。

(1)最も手厚いフランスの経済的支援

 欧米の主要国の中で、経済的支援が最も手厚いと言われているのがフランスである。フランスの家族給付は、いわゆる児童手当も含めて30種類もの手当があり、また、生活困窮者や低所得者を対象としたものではなく、一般世帯全体を対象としている。家族給付の管理運営主体は、家族給付全国公庫が担っており、その財源は、企業からの拠出金が最も多く全体の約6割を占め、一般社会税(家族関連給付の財源として1991年に導入されたもので、課税対象は給与、資本収入等で、税率は給与収入等について7.5%)が約2割、国庫からの拠出金が約1割という状況にある。
 こうした幅広い負担により、児童関係手当の制度は非常に充実している。まず、「家族手当」(日本の児童手当に相当するもの)は、第2子以降の20歳未満の子どもに対して支給される。1ヶ月当たりの支給額は、第2子で115.07ユーロ(約1万5千円)6、第3子以降は147.42ユーロ(約2万円)となっている(2005年1月時点)。11歳以上になると、年齢加算があり、11歳から16歳までは月32.36ユーロ(約4千円)、16歳以上19歳以下では月57.54ユーロ(約8千円)加算される。
6 日銀報告省令レート(2005年9月)により1ユーロ=134.4円として換算。これ以降の文章においても同様のレートで換算。

 2004年から従来の乳幼児手当等を再編成したものとして、「乳幼児迎入れ手当」が導入されている。これは、児童手当とは異なり、第1子から手当が支給されるほか、出産先行手当として出産時の給付や、認定保育ママを雇う場合の補助もある。また、「新学期手当」という新学期ごとに給付される手当もある。

第1‐4‐17表 フランスの児童関係手当一覧
分類
種類
内容
支給額等
一般的扶養給付 1.家族手当 基本となる児童手当。第2子以降の20歳未満の児童を対象に支給される養育費補助。 第2子で、月115.07ユーロ(約1.5万円)、第3子以降147.42ユーロ(約2.0万円)。所得制限なし。年齢加算あり:11‐16歳 月32.36ユーロ(約0.4万円)、16歳以上19歳以下 月57.54ユーロ(約0.8万円)
2.家族補足手当 3歳以上の児童を3人以上扶養している世帯に一律支給する。ただし、所得制限あり。 子ども3人の場合、年収26,285ユーロ(約353.3万円)の所得制限あり。3人目以降の子ども1人につき、月149.76ユーロ(約2.0万円)の支給。
3.家族扶養手当 両親の一方または双方を失った遺児等を養育する家庭への補助。 ・両親を欠く場合
子ども1人につき、月107.87ユーロ(約1.4万円)
・片親を欠く場合
子ども1人につき、月80.91ユーロ(約1.1万円)
4.単親手当 単身の妊産婦、または子の養育者への所得補助。 手当額は、家族保障所得額から本人の所得額を差し引いた差額。
出生関連給付 5.乳幼児迎入れ手当 2004年から、従来の乳幼児手当、認可保育ママ雇用手当、養育手当、養子手当を再構成したもので、3歳未満の乳幼児を保育する者に対する給付。
 〔1〕第1子から基礎手当を支給。
〔1〕月収4,100ユーロ(約55.1万円)以下の家庭に、基礎手当として月165.22ユーロ(約2.2万円)を3年間支給。
〔2〕826.10ユーロ(約11.1万円)妊娠7ヶ月目から出産1ヶ月後の間に一括して支給。所得制限あり。
〔2〕出産先行手当として、出産時に支給。
 〔3〕職業活動の停止に対する付加給付(3年間)~子ども1人の場合は6ケ月まで、子ども2人以上の場合は3歳まで、父母のどちらかが職業活動を中断した場合
 〔4〕保育方式による付加給付~託児所に預けた場合に比べ個人の保育ママを雇った場合
〔3〕月347.42ユーロ(約4.7万円)の付加給付。〔1〕と併給可。
〔4〕託児所に預けた場合に比べ個人の保育ママを雇った場合の差額を補填。
特定目的給付 6.特別養育手当 障害のある子どもの養育と教育補助。 障害のある子ども1人につき、基礎額115.64ユーロ(約1.6万円)を支給。障害の程度に応じ、補足額あり。
7.両親在宅手当 重病や障害のある子どもの看護のために保護者が仕事を休職するか労働時間を短縮することに対する手当。所得制限あり。 仕事を休む場合、カップルには月841.42ユーロ(約11.3万円)、1人親には999.19ユーロ(約13.4万円)を支給。
パートタイムで働く場合、カップルには420.73ユーロ(約5.7万円)、1人親には525.90ユーロ(約7.1万円)を支給。
8.新学期手当 9月の新学期に、修学年齢にある6歳以上18歳未満の児童を養育する者に支給される。所得制限あり。 子ども1人につき、263.28ユーロ(約3.5万円)を支給。所得制限は、子ども1人の場合、年収17,011ユーロ(約228.6万円)以下で、1人増えるごとに、3,926ユーロ(約52.8万円)を制限額に加算。
9.住宅手当 家賃生活者で、各種家族関係給付の1以上の受給権を有する者に、その所得から政令に定める最低限度の家賃を支払う者、保健・衛生、居住人数の点で最低限の要件を満たした住居に居住することを要件に支給。   
資料: フランス家族手当金庫ホームページ
注1: 制度、給付額等については、2005年1月現在のものである。
2: 1ユーロ=134.4円として換算(日銀報告省令レート2005年9月分)。
3: 乳幼児迎入れ手当に再編前の手当
  ・乳幼児手当として妊娠4か月目から3歳に達するまでの間、所得制限付で月額165.22ユーロ(約2.2万円)を支給。
・認可保育ママ雇用手当として、自宅で6歳未満の子の保育を行うため、保育ママを雇用する場合に、所得に応じて支給。
・養育手当として、2人以上の子を有する者で、出産または3歳未満の児童の養子縁組に際して、その職業活動を中断し、あるいは勤務時間を短縮して児童を養育する者に支給。
・養子手当として、養子を育てる家庭へ、所得制限付で支給。


 フランスのこれらの制度を前提に、日本とフランスにおける家族給付の規模(年額ベース)を比較すると、図(1‐4‐18図)のとおりとなる。第1子誕生を0年として、2年後に第2子が誕生するケースで考えると、第2子が誕生する2年後には、フランスでは約71万円、日本では12万円と、約59万円の差が生じる。
第1‐4‐18図 日本・フランスにみる家族給付(年額)の比較(第1子誕生、2年後第2子誕生のケース)



 この違いは、フランスでは、3歳未満に給付される乳幼児迎入れ手当(月約2.3万円)と第2子への家族手当(月約1.6万円)という給付があるが、わが国では、第1子、第2子へそれぞれ年額6万円の児童手当の給付となっていることによる。また、12年後以降をみると、日本では、児童手当の給付が小学校第3学年修了時までとなっているので、第2子への手当給付が終了した時点で、給付がなくなってしまう。それに対し、フランスでは、第2子以降の家族手当が満20歳未満であるため、20年後まで給付が行われ、さらに11歳以上では、年齢によって加算もされる。その上、6歳以上18歳未満の児童に対しては、新学期ごとに約3.5万円もの新学期手当という給付も行われる。
 これら各種手当を合計することで、フランスでは経済的支援の水準が極めて高いことが分かる。

(フランスのN分N乗方式)

 また、フランスでは、税制においても独特の制度があり、所得税の課税にN分N乗方式が用いられている。これは、家族を課税の単位と見なし、家族の所得をすべて合計した額を家族係数(大人は1、子どもは2人目までは0.5、3人目以降は1とみなして世帯全員で合計した数値)で割って、係数1当たりの課税額を求め、この課税額に再び家族係数をかけて家族全体の税額を計算する方法である。累進税率が高い場合、こうしたN分N乗方式を用いると、同じ所得の場合であれば、子どもをはじめ家族の数が多くなるほど、所得税負担が緩和されることとなる。
 このほかに、保育費用に関連する控除がある。まず、認定保育ママを雇用した場合に、年間6,000ユーロ(約80.6万円)を限度(扶養する子どもの数に応じて増額あり)として、支払った賃金の50%を控除できる。また、フルタイムの労働者が6歳未満の子どもを自宅外に預けた場合に、預けるために要した費用の25%(子ども一人当たり575ユーロ(約7.7万円)を上限)を控除できる。
 さらに、フランスの年金制度では保険料納付期間、年金支給額の計算に当たって、子どもがいる者を優遇する仕組みも存在している。
 前述した手厚い家族給付とあいまって、こうした税制等での施策が、若い夫婦や子どもがいる家庭に対して、子育てに係る経済的負担を軽減させている。

(2)他の国々の状況

 スウェーデンでも経済的支援は充実しているが、税制による支援はなく、児童手当に一本化されている。原則として16歳未満の第1子から手当が支給されている。手当は所得制限無しで支給されるが、1か月当たりの支給額は第1子、第2子では950クローネ(約1.4万円)、第3子では1,204クローネ(約1.8万円)となっており、子どもが多いほど支給額が多くなる仕組みとなっている。
 イギリスでは、児童税額控除とともに、児童手当の制度が実施されている。原則として16歳未満の第1子からの支給で、1週間当たり支給額は第1子で17.00ポンド(約3,300円)、第2子以降で11.40ポンド(約2,200円)となっている(2005年度)。また、2005年4月からは、貯蓄及び投資の奨励を目的とした政策として「チャイルド・トラスト・ファンド(CTF)」が導入されている。これは、2002年9月以降に生まれた子どもを持つ家庭に政府から子ども1人あたり額面250ポンド(約5万円)の証書を送るもので、家族は子ども名義の口座を開設して運用する。CTF口座で発生する利子や配当は非課税となる。政府は、子どもが7歳の誕生日にも2回目の補助金を支給する予定で、子どもは18歳になればCTF口座の資金を引き出すことができる。
 ドイツでは国の財産としての子どもを国が援助するという理念の下、児童手当が実施されており、児童手当は原則として18未満の者を対象に、第1子から所得制限なしで支給されている。また、第4子以降への加算もある。1か月当たり支給額は第1子から第3子で154ユーロ(約2.1万円)、第4子以降では179ユーロ(約2.4万円)となっており、支給額は他の国に比べ大きなものになっている。なお、児童扶養控除制度も存在し、いずれか有利な方が適用される仕組みとなっている。
 アメリカでは、児童手当はなく、所得税制で子育て支援が行われている。まず、人的控除で子どもを含む扶養家族一人あたり3,200ドル(約35.8万円)が所得から控除される。税額控除として、保育費用控除があり、13歳未満の子どもの保育に係る費用の最大35%までを税額控除することができる。そして、児童税額控除として、子ども一人あたり1,000ドル(約11.2万円)が税額控除される。なお、児童税額控除については、税額控除後の税額が負となる場合には、還付される場合がある(勤労所得額が一定額以上であることが必要)。

第1‐4‐19表 アメリカの子ども関係の控除制度(所得税)
  
内容
人的控除
(所得控除)
・扶養家族一人あたり3,200ドル(約35.8万円)を所得控除
・所得に応じた減額措置あり(以下は減額が始まる基準)
 〔1〕夫婦世帯(夫妻で合わせて申告) 218,950ドル(約2,452万円)
 (夫妻が個別に申告) 109,475ドル(約1,226万円)
 〔2〕ひとり親世帯 182,450ドル(約2,043万円)
 〔3〕独身者 145,950ドル(約1,635万円)
児童税額控除
(税額控除)
・17歳未満の子ども一人あたり1,000ドル(約11.2万円)を税額控除
・所得に応じた減額措置あり(以下は減額が始まる基準)
 〔1〕夫婦世帯(夫妻で合わせて申告) 11万ドル(約1,232万円)
 (夫妻が個別に申告) 5万5千ドル(約616万円)
 〔2〕ひとり親世帯 7万5千ドル(約840万円)
・税額控除後の税額が負となる場合には、還付される場合あり
保育費用控除
(税額控除)
・13歳未満の子どもの保育費用等の最大35%を税額控除
・原則として、夫婦の場合には共働きであることが必要
・所得により、税額控除額の制限あり
資料: アメリカ内国歳入庁資料より内閣府少子化対策推進室において作成。


第1‐4‐20表 児童手当等の各国比較
事項
日本
フランス
スウェーデン
ドイツ
イギリス
アメリカ
児童手当の概要
(名称、対象、期間、給付額、財源、その他の制度の有無等)
○「児童手当」
小学3年生修了時まで
 所得制限あり
・第1子、第2子
 月5千円
・第3子以降1人につき
 月1万円
○財源
(0~3歳未満)
 被用者
 事業主7/10、国2/10、地方1/10
非被用者 国2/3、地方1/3
特例給付
 事業主10/10
(3歳~小学校3学年修了前まで)
 被用者・非被用者
 国 2/3、地方1/3
○「家族手当」
20歳未満。所得制限なし
・第1子
 なし
・第2子
 月115.07ユーロ(約1万5千円)
・第3子以降1人につき
 月147.42ユーロ(約2万円)
※年齢加算あり
 ・11~16歳
 月32.36ユーロ(約4,300円)
 ・16~19歳
 月57.54ユーロ(約7,700円)
 (2005年1月現在)
○3歳未満の乳幼児には、第1子から、月165.22ユーロ(約2万2千円)給付する「乳幼児迎入れ手当」ほか、多数の家族手当がある。
○財源
 家族給付全国基金、事業主拠出金と税(一般社会税等)
○「児童手当」
 16歳未満まで
 所得制限なし
・第1子、第2子
 月950クローナ(約1万4千円)
・第3子 1,204クローナ
 (約1万7千円)
・第4子 1,710クローナ
 (約2万4千円)
・第5子以降 1,900クローナ
 (約2万7千円)
・延長児童手当
 児童が17歳以上でも学生の場合児童手当と同額を支給
○財源
 全額国庫負担
○「児童手当」
 18歳未満まで(失業者は21歳未満、学生は27歳未満)。
 所得制限は18歳未満なし。18歳以上は、児童の年収による所得制限あり。
・第1子から第3子
 154ユーロ(約2万1千円)
・第4子以降
 179ユーロ(約2万4千円)
※1996年から、児童手当か児童扶養控除制度のどちらか有利な方が適用される制度になっている。
○財源
 連邦及び州、市町村の一般財源(連邦74%、州・市町村26%負担)
○「児童手当」
 16歳未満(学生は19歳未満)まで。
 所得制限なし。
・第1子
 週17.00ポンド(約3,300円)
・第2子以降
 週11.40ポンド(約2,200円)を支給
 (2005年度現在)
○財源
 全額国庫負担
○制度なし
 児童手当に相当するものとして、税制上の児童税額控除制度がある。
税制上の措置 ○扶養控除(38万円)、特定扶養控除(16歳以上23歳未満、63万円)あり ○なし(N分N乗課税方式) ○なし ○児童扶養控除
(児童手当との選択制、所得が高い人ほど、控除制度を利用する)
 子ども1人につき、年額5,808ユーロ(約78万1千円)を控除。
○児童税額控除
 16歳未満(学生は19歳未満)の児童のいる世帯に対し、児童数及び世帯の所得に応じて、税額控除または給付。
○扶養控除あり
 被扶養者1人につき3,200ドル(約35万8千円)の所得控除。
○児童税額控除
 17歳未満の扶養児童1人につき、1,000ドル(約11万2千円)の税額控除(税額控除後の税額が負となる場合には、還付される場合あり)。
資料: 「海外情勢白書 世界の厚生労働2004」(厚生労働省編)、フランス家族手当金庫ホームページ等を基に内閣府少子化対策推進室において作成。
 注: 各国の為替レートについては、日銀報告省令レート(2005年9月分)により換算。

(主要国の政策‐特徴のまとめ)

 このように、欧米の主要国で実施されている家族政策は多様である。とりわけ、ヨーロッパ諸国の家族政策の内容をみると、給付水準や給付範囲など充実しているものが多い。
 本章の冒頭で述べたとおり、ヨーロッパ諸国の家族政策は、出生率の回復を目指した少子化対策として講じられているものではなく、家族や子どもの成育に対して社会的に支援する政策として、長い間にわたって行われてきたものである。その結果、第5章でみるとおり、GDP(国内総生産)比でみた家族政策費の水準は日本と比較をして高い。こうした家族政策の背景には、子どもに対する投資は、家族ばかりでなく、社会にとっても利益になるという考え方がある。たとえば、児童手当は次代への投資であって、次代の担い手としての子どもの育成を社会的に分担するという共通の認識が背景にあると指摘されている。そのため企業負担を含めた高い国民負担が容認されている。
 スウェーデンは、育児休業制度の普及と、保育サービスや児童手当の充実が特徴的である。出産後1年半程度は女性も男性も育児休業を取得し、その後は保育サービスを活用して、仕事と子育てを両立させる。「よく産んで、よく休んでいる」状況にある。育児休業取得にあたっては代替職員の確保など、企業や同僚の負担とならないような仕組みが定着している。
 フランスは、極めて手厚い家族給付と認定保育ママという独自制度も活用した保育サービスの充実が顕著である。子ども数が増えるほど増額となる家族給付とともに、税制のN分N乗方式の採用に見られるように、多子世帯が有利となるような政策がとられている。一方、ドイツでは、児童手当等の家族給付は手厚いが、保育サービスの面で不十分な点がある。
 イギリスでは、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)運動により政府と企業が連携した施策の推進とあわせて、子育て支援策の充実を図っている。アメリカでは、保育サービスは民間サービス中心であり、経済的支援策は税制のみとなっている。

コラム イタリアの取組とオーストラリアの「ベビーボーナス」

(1)出生率が上向いたイタリアの取組

 本文で述べたように、イタリアの合計特殊出生率は、1980年代以降わが国を下回る水準にあったが、近年、わが国と同程度の水準にまで緩やかに回復してきた。2004年の合計特殊出生率は1.33と、過去15年間で最高水準となり、総人口も12年ぶりに増加に転じた。
 イタリアでは、ファシズム期(1922~1943年)に国家政策として多産を奨励した反動から、出産については個人の自己決定を尊重する立場から、国として特別な対策はとってこなかった。しかしながら、出生率の低下に対して、「(人口変動の)原因よりも(社会経済的な背景がもたらした)結果である」(2003年版イタリア福祉白書)との認識の下、イタリア政府は、家族政策の重要性を認識し、近年、様々な政策を実施している。
 たとえば、2001年に、出産休暇(産前1か月または2か月と産後3か月または4か月の合計5か月)の他に、父親休暇及び両親休暇が導入された。前者は、出産休暇の全部または一部を、父親でも取得できる。後者は、子どもが8歳になるまで10か月間取得できる。これらの休暇を取得している間も一定の所得が保障されており、他のEU加盟国と比べて遜色がない。保育サービスは、大幅に不足しているといわれていた。そこで、新設される保育所に対する財政措置や職場内に保育所等を設置する事業者への助成制度(2003年)を実施している。
 さらに、経済的支援として多くの手当があるが、第2子以降の出生が減少していることに対応するため、2003年から、第2子以降の子を出産した女性に対して、1,000ユーロ(約13.4万円)の一時金支給制度を時限措置として実施している。

(2)オーストラリアの新しい「ベビーボーナス」

 オーストラリアでは、これまでも、メディケアによる公立病院における医療給付とは別に、出産手当(Maternity Allowance)やベビーボーナス(Baby Bonus)を支給してきた。2004年7月から、出産に伴う経済的負担を支援するために、これらを統合した「新しいベビーボーナス」ともいえる出産給付(Maternity Payment)を支給しはじめた。
 これは所得水準に関係なく、出産があったすべての家族が対象となっており、給付額は2004年の支給開始当時は3,000オーストラリアドル(約25.3万円)であったが、現在は、3,079オーストラリアドル(約26.0万円)となっている。今後は、2006年に4,000オーストラリアドル(約33.7万円)、2008年には5,000オーストラリアドル(約42.2万円)に引き上げる予定とされている。

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