第3節 アジアにおける出生率の動向と少子化対策

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1 アジアにおける出生率等の動向

(アジアの主な国・地域の合計特殊出生率の動向)

 出生率の低下は、わが国や欧米諸国だけの現象ではなく、アジアでも起きている現象である。そこで、東アジア及び東南アジアにおいて経済成長が著しく、時系列データの利用が可能な韓国、台湾、香港、シンガポールおよびタイの合計特殊出生率の動向を見てみよう。
 1970年の合計特殊出生率の水準を見ると、わが国が2.13であったのに対して、タイが5.02、韓国が4.50、台湾が4.00であり、当時の全世界平均(1970~75年平均:4.48)に近い水準にあった。また、香港、シンガポールでもそれぞれ3.29、3.10とわが国を大きく上回っていた。その後、これらの国々でも合計特殊出生率は低下していった。その結果、2004年の合計特殊出生率を見ると、タイが1.90、韓国が1.16、台湾が1.18、シンガポールが1.24、香港が0.93となっている。タイを除けば、わが国(2004年の1.29)の水準を下回っており、特に香港は同じ年の東京都(1.01)の水準をも下回っている。
 なお、その他の国の状況を見ると、中国は2000~2005年の平均で1.8(国連推計)、ベトナムは2.3、インドネシアは2.4、マレーシアは2.9、フィリピンは3.2、ラオスは4.8となっている(2004年、WHO(世界保健機構)資料)。合計特殊出生率が人口置き換え水準である約2.1を超える国がある一方、東アジアの主要な国や地域では、合計特殊出生率が1.3以下の「超少子化国」ともいえる状況となっている。
第1‐4‐21図 アジアの主な国・地域における合計特殊出生率の動き


(アジアの主な国・地域における未婚率の状況)

 東アジア諸国の少子化の要因として、夫婦から生まれる子どもの数(夫婦出生力)の水準や出生タイミングの変化があることは十分考えられる。その一方で、東アジア諸国で顕著なのは、未婚率の上昇である。
 そこで、上記の国や地域のうち、出生率がわが国を下回る国や地域の未婚率の動きを見てみよう。1970年では、25~29歳の未婚率は、男性では40%から60%台、女性では10%以下という低い水準から20%台、30~34歳では、男性は、韓国のように一桁台から30%台まで、女性ではどこも一桁台という低い水準であった。ところが、2000年の数値で見ると、25~29歳の未婚率は、男性では60~70%台の水準にあり、香港(75.5%:2001年)、韓国(71.0%)、台湾(68.7%)、シンガポール(64.2%)となっている。女性では40~50%台の水準にあり、香港(59.7%)、台湾(46.5%)、シンガポール(40.2%)、韓国(40.1%)となっている。30~34歳でも、男性ではおよそ30~40%台、女性では10~20%台の水準にある。いずれも、1970年の数値よりも高くなっている。このように、全ての国や地域でこの30年間に未婚率は大きく上昇している。若者の未婚化は東アジア諸国共通の現象となっており、このことが出生率低下の背景の一つとなっているものと考えられる。

第1‐4‐22表 東アジア諸国・地域の未婚率
 
1970年
2000年
25~29歳 韓国
43.4
9.7
71.0
40.1
台湾
35.0
8.7
68.7
46.5
香港
63.5
20.1
75.5
59.7
シンガポール
48.0
22.6
64.2
40.2
日本
46.5
18.1
69.3
54.0
30~34歳 韓国
6.4
1.4
28.1
10.7
台湾
10.9
2.2
34.8
20.5
香港
34.5
5.6
44.1
31.2
シンガポール
21.5
9.6
30.7
19.5
日本
11.7
7.2
42.9
26.6
資料: U.S. Census Bureau, International Data Base,各国資料(韓国統計庁資料、台湾内政部資料、香港統計局資料、シンガポール統計局資料)による。ただし、日本は総務省統計局「国勢調査」による。
 注: 香港のデータは1971年、2001年のもの。

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