第4節 労働時間の短縮等仕事と生活の調和のとれた働き方の実現に向けた環境整備を図る

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1 勤務時間の短縮等

 労働時間の目標として「年間総実労働時間1,800時間の達成・定着」を掲げ、所定外労働の削減及び年次有給休暇の取得促進に重点を置いた取組を進めている。所定外労働の削減については、時間外労働の限度基準を改正したところであり(2004(平成16)年4月施行)、この基準が遵守されるよう、周知徹底を図っている。年次有給休暇の取得促進については、計画的付与制度を活用した長期休暇の普及促進について取組を行う事業主団体等に対し取得促進の指導に係る費用の助成等の支援を行うとともに、「長期休暇制度の普及と定着に関するシンポジウム」を開催する等労使の取組を促進するための施策を推進している。
 また、2003(平成15)年9月より6回にわたり「職業生活活性化のための年単位の長期休暇制度等に関する研究会」を開催し、この研究会での検討を踏まえ、2004年6月に我が国における長期休暇の現状、ヨーロッパの長期休暇制度、年単位の長期休暇の意義、導入すべき長期休暇制度の在り方、年単位の長期休暇制度の導入促進策等に関する報告書が取りまとめられ、2004年度末にかけて報告書等の周知を図った。
 さらに、フレックスタイム制等の弾力的労働時間制度については、労働者がその生活と仕事の都合との調和を図りながら効率的に働くことを可能とするものとして、制度の周知などによる普及促進を図っている。

2 「多様就業型ワークシェアリング」の普及

 ワークシェアリングについては、2002(平成14)年3月末に政府、日経連(当時)及び連合の3者間でその基本的な考え方について合意を得、さらに、引き続き多様就業型ワークシェアリングを中心に検討を進め、同年12月に「多様な働き方とワークシェアリングに関する政労使合意」を得た。
 これに基づき、政府の取組として、個人の生活設計に応じた柔軟で多様な働き方を選択できる「多様就業型ワークシェアリング」の導入を促進するために、2003(平成15)年度から3年間の予定で、業種別の事業主団体等に対する事業委託により、短時間正社員等の多様な働き方の導入・拡大に向けたモデル事業を推進している。

3 ライフスタイルに応じた多様な働き方の推進

 パートタイム労働者は近年著しく増加し、2004(平成16)年には、1,237万人と、雇用者総数の約4分の1を占めるまでになっている。また、基幹的役割を果たすパートタイム労働者も増加している。このようにパートタイム労働が我が国の経済社会に欠くことのできないものとなる中で、パートタイム労働を労働者の能力が有効に発揮できるような就業形態としていくことが一層重要となっている。
 このような中で、2003(平成15)年3月には、労働政策審議会雇用均等分科会において検討が行われ、通常の労働者とパートタイム労働者との間の均衡を考慮した処遇(均衡処遇)の考え方を指針に示し、その考え方の社会的な浸透・定着を図っていくことが必要であるとの報告がなされた。
 この報告を踏まえ、2003年8月に、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(平成5年法律第76号)に基づく指針(「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」)の改正を行い、就業の実態や正社員との均衡等を考慮して処遇するとの考え方を具体的に示すとともに、正社員への転換に関する条件の整備、労使の話合いの促進のための措置の実施等、新たな措置を講ずるよう努めることを示した(平成15年8月25日厚生労働省告示、10月1日施行)。
第2‐2‐3図 短時間雇用者(週間就業時間35時間未満の者)数・割合の推移 ―非農林業―



 現在は、都道府県労働局が実施する事業主に対する説明会の開催や、短時間労働援助センターが均衡処遇に向けて取り組む事業主に対して人事労務管理の専門家を派遣して具体的な助言を行う事業などを通じて、この均衡処遇の考え方の周知に努めている。
 短時間労働者への厚生年金の適用については、現在、労働時間及び労働日数がその事業所の通常の労働者の概ね4分の3未満である者は、原則として厚生年金の適用対象となっていないが、
〔1〕パート労働者の将来の所得保障を充実させる観点
〔2〕雇用の流動化の進展や非正規雇用の増加といった雇用構造の変化に対応する観点
〔3〕働く側・雇用する側それぞれの選択にとって中立的でわかりやすく効率的な年金制度とする観点
などから、短時間労働者への厚生年金適用の拡大が議論されているところである。
 このため、2004(平成16)年6月に成立した「国民年金法等の一部を改正する法律」(平成16年法律第104号)では、「就業形態の多様化の進展を踏まえ、短時間労働者への厚生年金の適用の在り方について、被用者としての短時間労働者の年金保障を充実する観点及び企業間における保険料負担の公平を図る観点等から、社会経済の状況や短時間労働者が多く就業する企業への影響等に配慮しつつ、企業及び被用者の雇用形態の選択にできる限り中立的な仕組みとなるよう、改正法の施行後5年を目途として総合的に検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ぜられるものとする」旨の検討規定が定められたところであり、改正法の検討規定を踏まえつつ、引き続き総合的に検討を進めていく予定である。

4 テレワークの推進

 働く者が、情報通信機器を活用して、時間と場所に自由に選択して仕事ができる働き方であるテレワークは、職住近接の実現による通勤負担の軽減のみならず、特に育児や介護、障害等の個々の事情を抱える人にとっては仕事と家庭の両立ができる働き方として広がってきており、社会的な期待や関心も大きいものとなっている。
 こうした中、テレワークのうち、事業主と雇用関係にある者が、情報通信機器を活用し、労働時間の全部又は一部について自宅で業務に従事する勤務形態である在宅勤務については、導入・運用ガイドブックの作成やシンポジウムの開催等を通じた普及促進のための事業を実施しているほか、在宅勤務の適切な労務管理の在り方を明確にしたガイドラインについて、事業主等への周知・啓発を図っているところであり、2004(平成16)年12月には、企業による情報セキュリティ水準の高いテレワーク環境の導入を支援するために、「テレワークセキュリティガイドライン」を策定し、テレワークシステム構築時及び運用管理時における情報セキュリティ上の対策について、事業主等への周知・啓発を図っている。

第2‐2‐4表 2002(平成14)年時点における日本のテレワーク人口推計値
  
テレワーク人口
テレワーカー比率
雇用型テレワーカー
自営型テレワーカー
合計
雇用者に占める割合
自営業者に占める割合
全体
週8時間以上テレワークを実施
311万人
97万人
408万人
5.7%
8.2%
6.1%
資料: テレワーク・SOHOの推進による地域活性化のための総合的支援方策検討調査(2003(平成15)年3月国土交通省)


第2‐2‐5図 企業におけるテレワーク実施率の推移



 また、総務省では、2004(平成16)年1月から2月にかけて、国家公務員初(一般会計)のテレワーク試行を実施したが、上記ガイドラインに沿ったシステム構築及び運用管理により、情報セキュリティ対策については特段支障がなかったところである。さらには、2005(平成17)年度においては、在宅勤務の効果やメリットを広く浸透させるため、在宅勤務による健康面や労働条件に及ぼされる影響等について実証実験を行い、その結果について、周知・啓発を行っていくこととしている。
 そのほか、テレワークを導入しようと考えている企業、あるいは既にテレワークを導入したが、運用がうまくいっていない企業などを対象とした手引書「企業のためのテレワーク導入・運用ガイドブック」を作成している。さらに、産学官で形成する「テレワーク推進フォーラム」を設立し、テレワークの意義やメリットを広く浸透させるため、普及活動を行っていくこととしている。
第2‐2‐6図 企業におけるテレワークの導入効果



第2‐2‐7図 企業におけるテレワークの導入目的



 また、在宅で自営的に、文章入力、テープ起こし等比較的単純・定型的な作業を行う在宅ワークについて、契約をめぐるトラブルの発生を未然に防止するため、契約に関する最低限のルールを定めた「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」を策定し、発注者等への周知を図っている。
 さらに、在宅ワーカーを対象に、インターネット上で必要な能力を自己診断し、不足している知識や技術をe―ラーニングにより学習できるシステムを運用するとともに、職業能力を外部に客観的に表示するための自己PRシートの提供、情報提供、セミナーの開催、相談事業等の各種支援事業を実施している。

5 公務員の働き方の見直し

 次世代育成支援対策推進法に基づき、国や地方公共団体の各機関においては、職員を雇用する事業主の立場から、2004(平成16)年度末までに、国が定める指針(行動計画策定指針)に即して、仕事と子育ての両立や働き方の見直し等に関する具体的な方策や目標を掲げた行動計画を策定することになっており、それぞれの機関の実情に応じて、総合的かつ具体的な取組を盛り込むことが求められている。
 国家公務員については、2004年6月に閣議決定した少子化社会対策大綱において、多様な勤務形態の導入について検討を進め、これを踏まえた適切な対応を行うこととし、また、小学校就学始期までの子どもを養育する公務員に対する仕事と子育ての両立支援策について検討することとした。
 人事院は、国家公務員の勤務時間制度の在り方について検討するため、2003(平成15)年10月に「多様な勤務形態に関する研究会」を立ち上げた。同研究会では、2004年7月に「中間とりまとめ」として次世代育成支援の観点からの両立支援策を中心とした提言を行い、人事院は、同年12月に育児を行う職員への早出遅出勤務の導入、男性の育児参加休暇の創設等を内容とする規則改正を行った。また、2005(平成17)年2月に育児休業、勤務時間制度を中心とした「育児を行う職員の仕事と育児の両立支援制度の活用に関する指針」を取りまとめ、各府省に発出した。
 さらに、2005年7月に、同研究会により最終報告「勤務時間の弾力化・多様化への提言」が提出されたことを受け、人事院は、同年8月に行った給与勧告の際の報告において、育児を行う職員が常勤職員のまま短時間勤務することができる制度の導入、在宅勤務を活用するためのいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制の導入、超過勤務を縮減するための実効ある施策等を検討していくことを表明している。
 地方公務員については、一般的に公務の世界に多様な働き方を導入するため、「地方公務員法及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律の一部を改正する法律」(平成16年法律第85号)により、任期付短時間勤務職員制度を創設した。これにより、短時間勤務職員が育児のための部分休業を取得している職員の業務を代替することで職員の育児のための部分休業の取得を推進し、子育てを支援するものである。また、育児を行う職員の早出遅出勤務、男性の育児参加休暇の導入等国家公務員の状況を踏まえた対応について、地方公共団体に対して助言を行った。

6 農山漁村での両立支援

 仕事と家事・育児等の負担が大きく、過重労働になりがちな農山漁村の女性の負担を軽減し、出産・育児期の女性の農林水産業及び地域社会活動への参画を支援するため、労働管理・母性保護等に関する研修や男性の家事・育児への参画を促すための啓発活動を実施した。
 子育て支援体制の整備が遅れている農山漁村において、地域ぐるみで子育てをサポートする環境づくりを推進するため、農山漁村において効果的な子育て支援活動事例の紹介や子育て支援に携わる担当者に対し情報交換の機会の提供などを行っている。
 また、女性の子育てと農林水産業活動等の両立及び経営参画への総合的な支援を行うため、託児機能や加工・研修機能等を備える施設の整備等を推進している。

7 仕事と生活の調和のとれた働き方の実現に向けた検討

 働く者が生涯を通して仕事と生活の調和のとれた働き方を実現できる環境整備を行う観点から、学識経験者の参集を求めて、2003(平成15)年10月より13回にわたり「仕事と生活の調和に関する検討会議」を開催し、2004(平成16)年6月に労働時間、就業場所、所得の確保、均衡処遇、キャリア形成と広範囲にわたる内容の報告書が取りまとめられたところである。この報告書の提言内容について、可能なものから、順次、所要の措置を講ずることとしている。
 労働時間対策としては、近年の労働時間の現状や、育児・介護などの生活時間の確保の困難化等の新たな課題が発生していること等を踏まえ、「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」(平成4年法律第90号)について、全労働者一律に労働時間の短縮を図る法律から、労働者の健康や生活に配慮した労働時間や休日・休暇の設定を図る法律へと改めるための法律案が第163回特別国会で成立したところである。

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