第4章 子育ての新たな支え合いと連帯

[目次]  [戻る]  [次へ]


第1節 就学前の児童の教育・保育を充実する

1 待機児童ゼロ作戦

 2001(平成13)年7月に「仕事と子育ての両立支援策の方針について」が閣議決定され、保育所、保育ママ、幼稚園預かり保育等を活用し、2002(平成14)年度中に5万人、さらに2004(平成16)年度までに10万人、計15万人の受入児童数を増加させ、待機児童の解消を目指す「待機児童ゼロ作戦」が盛り込まれた。
 これに基づき、保育所等における受入児童数の拡大が着実に進められており、2005(平成17)年4月1日現在、都市部を中心に保育所利用児童数が対前年で2万7千人増加している。一方、待機児童数については、女性の労働力人口の増加、都市部の再開発による住宅建設などにより特定の地域において保育需要が急増していることなどを背景として、5年ぶりに減少した昨年に続き、2年連続の減少となったものの、なお23,338人となっている。待機児童数を年齢区分別に見ると、特に1、2歳児の待機児童数が多く、これに0歳児を加えた低年齢児の待機児童数全体に占める割合は約7割となっている。

第2‐4‐1表 年齢区分別待機児童数(2005(平成17)年4月1日現在)
  
2005年度利用児童数(%)
2005年度待機児童数
低年齢児(0~2歳)
632,011 (31.7%)
15,831 (67.8%)
うち0歳児
78,658 (3.9%)
2,417 (10.4%)
うち1~2歳児
553,353 (27.8%)
13,414 (57.5%)
3歳以上児
1,361,673 (68.3%)
7,507 (32.2%)
全年齢児計
1,993,684(100.0%)
23,338(100.0%)


第2‐4‐2図 待機児童数の推移



 このため、待機児童数が50名以上いる市町村を中心に2005(平成17)年度から2007(平成19年度)までの3年間で集中的に受け入れ児童数の増大を図るとともに、「児童福祉法の一部を改正する法律」(平成15年法律第121号)により、2004(平成16)年4月1日において待機児童が50人以上いる市区町村(95市区町村)は、2004年度中に策定した保育の実施の事業等の供給体制の確保に関する計画を基に、待機児童の計画的な解消を図ることになっている。
 また、保育所における児童の受入増を図るため、保育所の緊急整備のほか、保育所の定員の弾力化や保育所の認可要件等の規制緩和を推進している。
 保育所の定員の弾力化は、児童福祉施設最低基準を満たす範囲内で、保育所の定員を超えて受入を許容させるものであり、2001(平成13)年度から年度途中においては、定員のプラス25%までの受入を、年度後半においては定員にかかわらず受入をそれぞれ可能としている。
 保育所の認可要件については、2000(平成12)年からそれまで市町村と社会福祉法人に限定していた設置主体の制限を撤廃し、株式会社、NPO、学校法人等多様な主体による保育所の設置を可能とした(2000年3月~2004年4月 株式・有限会社立47件等 172件)。
 また、保育所の設置運営を効率的かつ計画的に促進するため、2001(平成13)年の児童福祉法改正により、保育需要が増大する市町村においては、市町村自らの公有財産(学校、公営団地等の公共施設の余裕スペース等)の貸付け、保育所の運営業務の委託等の措置を積極的に講ずることとされた(民間への公有施設の貸与190件、公立保育所の民間への業務委託398件、いずれも2005年4月現在)。

第2‐4‐3表 新エンゼルプランの進捗状況
  
2000
2001
2002
2003
2004
目標値
平成12年度
平成13年度
平成14年度
平成15年度
平成16年度
低年齢児受入れの拡大
(59.3万人)
(62.4万人)
(64.6万人)
(67.1万人)
(69.4万人)
16年度
59.8万人
61.8万人
64.4万人
67.4万人
70.4万人
68万人
延長保育の推進
(8,052か所)
(9,431か所)
(10,600か所)
(11,702か所)
(13,086か所)
16年度
8,000か所
9,000か所
10,000か所
11,500か所
13,100か所
10,000か所
休日保育の推進
(152か所)
(271か所)
(354か所)
(525か所)
(618か所)
16年度
100か所
200か所
450か所
500か所
750か所
300か所
乳幼児健康支援一時預かりの推進
(132市町村)
(206市町村)
(251市町村)
(307市町村)
(341市町村)
16年度
200市町村
275市町村
350市町村
425市町村
500市町村
500市町村
多機能保育所等の整備
(333か所)
(291か所)
(345か所)
(372か所)
(418か所)
16年度までに
305か所
298か所
268か所
268か所
268か所
2,000か所
[11’補正88か所]
[12’補正88か所]
[13’1次補正83か所]
[14’補正48か所]
   
   
[13’2次補正76か所]
 
累計 1,790か所
 
計 393か所
累計 779か所
累計 1,206か所
累計 1,522か所
総計[2,180か所]
 
地域子育て支援センターの整備
(1,376か所)
(1,791か所)
(2,168か所)
(2,499か所)
(2,786か所)
16年度
1,800か所
2,100か所
2,400か所
2,700か所
3,000か所
3,000か所
一時保育の推進
(1,700か所)
(3,068か所)
(2,400か所)
(4,959か所)
(5,651か所)
16年度
1,800か所
2,500か所
3,500か所
4,500か所
5,000か所
3,000か所
ファミリー・サポート・センターの整備
(116か所)
(193か所)
(262か所)
(301か所)
(344か所)
16年度
82か所
182か所
286か所
355か所
385か所
180か所
放課後児童クラブの推進
(9,401か所)
(9,873か所)
(10,606か所)
(11,600か所)
(12,188か所)
16年度
9,500か所
10,000か所
10,800か所
11,600か所
12,400か所
11,500か所
フレーフレー・テレフォン事業の整備
(39都道府県)
(43都道府県)
(47都道府県)
(47都道府県)
(47都道府県)
16年度
39都道府県
43都道府県
47都道府県
47都道府県
47都道府県
47都道府県
再就職希望登録者支援事業の整備
(24都道府県)
(33都道府県)
(47都道府県)
(47都道府県)
(47都道府県)
16年度
24都道府県
33都道府県
47都道府県
47都道府県
47都道府県
47都道府県
周産期医療ネットワークの整備
(14都道府県)
(16都道府県)
(20都道府県)
(24都道府県)
(30都道府県)
16年度
13都道府県
20都道府県
28都道府県
37都道府県
47都道府県
47都道府県
小児救急医療支援事業の推進
(51地区)
(74地区)
(112地区)
(158地区)
(185地区)
13年度
240地区
240地区
300地区
300地区
300地区
360地区
         
(2次医療圏)
不妊専門相談センターの整備
(18か所)
(24か所)
(28か所)
(36か所)
(51か所)
16年度
24か所
30か所
36か所
42か所
47か所
47か所
子どもセンターの全国展開※1
(725か所)
(983か所)
       
730か所
1,095か所
1,000か所程度
子ども放送局の推進※2
(1,606か所)
(1,894か所)
(2,093か所)
(2,212か所)
(2,014か所)
 
         
5,000か所程度
子ども24時間電話相談の推進
(21都道府県)
(14都道府県)
(6都道府県)
     
31都道府県
31都道府県
15都道府県
47都道府県
家庭教育24時間電話相談の推進
(35都道府県)
(25都道府県)
(7都道府県)
     
32都道府県
31都道府県
12都道府県
47都道府県
総合学科の設置促進※2
(144校)
(163校)
(186校)
(218校)
(248校)
当面
         
500校程度
中高一貫教育校の設置促進※2
(17校)
(51校)
(73校)
(118校)
(152校)
当面
         
500校程度
「心の教室」カウンセリング・ルームの整備※3
(8,467校)
       
12年度までに
 
5,234校を目途
注1: 上段( )が実績、下段が予算ベース。
2: 待機児童ゼロ作戦を推進するため、16年度においては、保育所の受入れ児童数を約5万人増加させることとした。
3: 多機能保育所等の整備の16年度目標値累計2,000か所及び16年度の総計【】については、少子化対策臨時特例交付金による計画数390か所を含む。
4: ※1子どもセンターの全国展開の目標値については、11年度から13年度までの「全国子どもプラン(緊急3か年戦略)」において策定。
5: ※2子ども放送局の推進、総合学科の設置促進及び中高一貫教育校の設置促進については、実績のみ記載。
6: ※3「心の教室」カウンセリング・ルームの整備については、12年度実績のみ記載。13年度以降は市町村の整備計画に応じて整備。

2 多様なニーズに合わせた保育サービス

(1)保育所におけるサービス等

 多様な保育ニーズに対応するため、延長保育、休日保育及び夜間保育や送迎保育ステーション事業についても、引き続き推進を図っている。
 延長保育については、保護者の長時間の通勤等、長時間の保育に対する需要に対応するため、通常の開所時間(11時間)を超えて保育を実施する事業であり、当該事業を実施している保育所に対して必要な補助を行っている(2004年度実施箇所数 13,086か所)。
 概ね午後10時頃まで開所する夜間保育所に対しても必要な補助を行っている(2004年度実施箇所数 64か所)。
 また、地域における保育需要の偏在に対応するため、2002(平成14)年度から駅前等の利便性の高い場所に送迎保育ステーションを整備し保育所へ送迎するサービスを実施している(2004年度実施箇所数 5か所)。
 さらに、良質な認可外保育施設の認可化について支援することにより、都市部を中心とした保育サービスの供給増を図るため、地域の保育資源として認可外保育施設が認可保育所に移行するために必要な経費を助成している。
 また、親の就労形態の多様化(パート就労の増大等)や育児の孤立化に伴う子どもの保育需要の変化に対応するため、2003(平成15)年度から週2、3日程度又は午前か午後のみ必要に応じて柔軟に利用できる保育サービスとして特定保育事業を創設した(2004年度実施箇所数 24か所)。
 さらに、保育需要の増に対応するための応急措置として、2000(平成12)年度から家庭的保育(保育所との連携又は保育所での一体的な実施により、保育者の居宅において少人数の3歳未満児を保育すること)事業を実施する市区町村に対し、必要な経費の補助を行っている(2004年度実績 244人)。

(2)幼稚園における預かり保育

 幼稚園の通常の教育時間(4時間)の前後や長期休業期間中などに、地域の実態や保護者の要請に応じて、希望する者を対象に行われる「預かり保育」を実施する幼稚園に対して支援を行っている。
 近年の女性の社会進出の拡大、都市化、核家族化などを背景として、多様化する保護者のニーズに伴い、「預かり保育」への要望が増加しており、2005(平成17)年6月現在、「預かり保育」を実施している幼稚園の割合は、約70%になった。

第2‐4‐4表 預かり保育実施状況
区分
1993(平成5)年10月1日現在 1997(平成9)年8月1日現在 2004(平成16)年6月1日現在 2005(平成17)年6月1日現在
公立
318
330
2,328
2,377
(5.2)
(5.5)
(41.9)
(44.1)
私立
2,541
3,867
7,091
7,182
(29.5)
(46.0)
(85.3)
(86.6)
合計
2,859
4,197
9,419
9,559
(19.4)
(29.2)
(67.9)
(69.9)
注: 上段は、実施箇所数、括弧内は、預かり保育を実施している幼稚園の割合。

3 幼稚園と保育所の連携等

 幼稚園と保育所については、地域や保護者の多様なニーズに応じた設置・運営が求められており、1998(平成10)年以降、施設の共用化、資格の相互取得の促進等の連携を図っている。
 1998年3月の「幼稚園と保育所の施設の共用化等における指針」により、幼稚園と保育所を合築、併設して設置する場合に両施設が有効に活用されるようその取扱いを定めた(2005年5月現在 共用化事例 355件)。
 また、1999(平成11)年に幼稚園教育要領との整合性が図られるよう保育所保育指針の改定を行うとともに、2002(平成14)年に保育士資格と幼稚園教諭免許を同時に取得しやすくするための保育士資格の養成課程の見直しなどを行っている。また、「規制改革推進3か年計画」(平成15年3月28日閣議決定)を踏まえて、幼稚園教諭免許所有者が保育士資格を取得する場合に一定の科目について試験を免除しており、保育士資格所有者が幼稚園教諭免許を取得する方策として、幼稚園教員資格認定試験を2005(平成17)年度より実施している。
 さらに、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(平成15年6月27日閣議決定)において検討された「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設」については、子どもの視点に立ち、就学前の子どもに対し、質の高い教育・保育を提供するとともに、地域の多様な子育てニーズに応えるという観点から検討を進めており、2004(平成16)年度中にその在り方について基本的な考え方を取りまとめ、2005年度に試行事業を先行実施するなど様々な準備を行い、2006(平成18)年度からの本格実施を目指している。
 また、2003(平成15)年4月より、幼稚園における幼稚園児及び保育所児等の合同活動事業など、幼稚園と保育所の連携に関して設けた構造改革特別区域における特例措置について、2005年5月に全国展開を行った。
 幼児期の教育と小学校以降の教育との円滑な移行や接続を図るため、幼稚園・保育所・小学校間において、連携を図った指導内容、指導方法の在り方、幼児、児童それぞれの発達や教育、保育内容を踏まえた適切な異年齢交流の在り方、施設間の連携体制の構築などについて調査研究を実施している。

4 幼稚園及び保育所の自己評価・外部評価と情報提供の推進

 幼稚園については、幼稚園が、幼児の状況や地域の保育ニーズなどに応じた特色ある主体的な教育活動を展開し、地域住民の信頼に応え、地域に開かれた幼稚園として運営できるよう、「幼稚園設置基準」を改正し、2002(平成14)年4月から、自己点検評価及びその結果の公表に努めるとともに、積極的な情報提供を行っている。
 保育所については、児童の視点に立ったサービスの向上を目指し第三者評価事業を推進している。2004(平成16)年5月には、保育を含む福祉サービスの第三者評価事業の普及を図るため、第三者評価事業の推進体制や評価基準の指針を定めた。さらに、保育所の特性に着目した評価基準の指針について、2005(平成17)年5月に通知を発出し、周知を図った。

5 事業所内託児施設の設置の推進

 現在、労働者のための託児施設を事業所内に設置・運営及び増築等を行う事業主または事業主団体に、その費用の2分の1について事業所内託児施設助成金を支給することにより、事業主の取組を支援している。

[目次]  [戻る]  [次へ]