第3節 地域における子育て支援の拠点等の整備及び機能の充実を図る

[目次]  [戻る]  [次へ]


1 地域における子育て支援サービスの推進

 地域協同体の機能が失われていく中で、身近な地域に相談できる相手がいないなど、在宅で育児を行う家庭の子育ての負担感が増大している。働いている、いないにかかわらず、親と子の育ちを地域で支え、家庭の中だけでの孤独な子育てをなくしていくことが必要である。
 このような状況を踏まえ、2004(平成16)年12月に策定された子ども・子育て応援プランにおいては、地域における子育て支援の拠点の整備を2009(平成21)年度までに6,000か所で実施することを数値目標とするとともに、すべての子育て家庭が気兼ねなく親子で集まって相談や交流ができることを、目指すべき社会の姿として掲げており、今後、プランの着実な推進が必要となっている。
 また、2003(平成15)年7月に成立した次世代育成支援対策推進法に基づき、市町村及び都道府県は2004年度末までに、国の定めた行動計画策定指針に則して、地域における子育て支援サービス等についての目標及び目標達成のために講じる措置の内容等を記した「地域行動計画」を策定した。今後、市町村及び都道府県においては策定した地域行動計画に基づき、地域の実情に応じた次世代育成支援についての総合的・計画的な取組を推進していくことが求められている。
 また、政府による従来の児童福祉に関する補助金については、2005(平成17)年度より再編・整理し、市町村の自主性・裁量を尊重した柔軟な執行が可能となるよう、次世代育成支援対策交付金を創設したところであるが、本交付金は子ども・子育て応援プランに基づく重点事業を中心に、市町村の自主的な取組も含め、各市町村の地域行動計画をもとに作成される毎年度の事業計画を総合的に評価した上で市町村に対し交付する、行動計画に基づく事業計画を包括的に支援する枠組みが整理されたところである。
 また、地域により少子化の状況は様々であり、政府は、地方公共団体が、子育て支援の一層の推進に向けて、育児相談事業、子育て支援施策の行動計画策定経費等、地域の実情に応じた様々な取組を総合的に実施できるよう、財政措置を講じた(約1,350億円(平成16年度地方財政措置))。

(1)一時預かりサービス(一時保育)の推進

 就労形態の多様化に対応する一時的な保育や、専業主婦家庭等の緊急時の保育等に対する需要に対応するため、一時保育促進事業を1990(平成2)年度から実施している(2004年度実施箇所数 5,651か所(2004年度新エンゼルプラン目標値 3,000か所))。

(2)地域子育て支援センターの設置促進

 1993(平成5)年度から地域の子育て家庭に対する育児支援を行うため、保育所において地域の子育て家庭等に対する育児不安についての相談指導、子育てサークル等への支援を行う地域子育て支援センター事業を実施しており、これまでその設置箇所数を増加させ拡充を図ってきた。
 地域子育て支援センターでは、次の5事業から地域の実情に応じた3事業(小規模型では2事業)を選択して実施することとなっている。
〔1〕育児不安等についての相談指導
〔2〕地域の子育てサークル等への育成・支援
〔3〕地域の保育需要に応じた保育サービスの積極的実施・普及促進の努力
〔4〕ベビーシッターなど地域の保育資源の情報提供等
〔5〕家庭的保育を行う者への支援

第2‐4‐5表 実施箇所数の推移
年度
1999
2000
2001
2002
2003
2004
(平成11)
(12)
(13)
(14)
(15)
(16)
箇所数
997
1,376
1,791
2,168
2,499
2,786
うち従来型
668
844
1,015
1,198
1,362
1,496
うち小規模型
309
532
776
970
1,137
1,290

(3)つどいの広場の設置促進

 少子化、核家族化等を背景として、子育て中の親等からは、「身近なところでいつでも気軽に親子で集える場所」が求められている。このため、2002(平成14)年度から、概ね3歳未満の乳幼児とその親が気軽に集まり、相談、情報交換、交流ができる「つどいの広場」事業を実施している。「つどいの広場」については、NPOをはじめとする多様な主体により、余裕教室等公共施設の余裕空間や商店街の空き店舗などを活用しつつ、身近な場所での設置を推進している(2004年度には全国で159か所となっており、地域子育て支援センターとあわせて2,945か所となっている)。
 こうした地域における子育て支援の拠点の整備を2009(平成21)年度までに「地域子育て支援センター」とあわせて6,000か所で実施することを目標としており、地域における子育て支援の中核をなすものとして、今後、更なる展開が期待されている。

(つどいの広場の取組事例)

【つどいの広場 取組事例〔1〕 山形県西村山郡河北町】
 河北町では、2004(平成16)年度に商店街の空き店舗を活用してつどいの広場を開設した。運営は、保健師、看護師、保育士、教師、管理栄養士、介護福祉士などの会員を抱えて設立されたNPO法人に委託した。広場の開設は、母親はもちろん、孫の世話をしているおじいちゃんやおばあちゃんにもたいへん喜ばれ、四季折々の伝統行事を実施するなど幅広い年齢層の人々が利用している。空き店舗を活用することによって、街中から消えていた子どもたちの元気な声と姿が戻り、町の活性化にも一役買っている。広場だよりの発行、町内子育て支援団体の交流会の実施、乳幼児健診会場に出向いての育児情報の提供、商店街イベントとタイアップした情報提供、障害者小規模作業所への協力支援などを通して、地域ぐるみの子育て支援の拠点となっている。

【つどいの広場 取組事例〔1〕 山形県西村山郡河北町】

【つどいの広場 取組事例〔2〕 東京都新宿区】
 新宿区では、廃園になった保育園を活用して2004(平成16)年10月に区民と区の協働事業による子育て支援施設「ゆったりーの」を開設した。区民がアイデアを出し合い、ワークショップによって施設の名称をはじめ、施設の活用方法や活動内容をまとめてきた。施設の運営は区民が行い、区は施設の提供や活動の実施に関して支援を行っている。未就学児を連れた親子が気軽に立ち寄れる場の提供や子連れで気兼ねなく飲食ができるカフェなどの親子の居場所づくり事業、区内の子育て支援団体等のための共同事務所やイベント・講座やミーティングに利用できるフリールームなどの子育て支援団体の拠点機能の事業などを行っている。『親と子と地域がみんなでつくるみんなの居場所「あったらいいな・できたらいいな」をカタチにする』を施設運営の基本理念に、地域の子育て当事者が主体となり、利用者全員がアイデアと資金を出し合う『会員制』で運営している。

つどいの広場 取組事例〔2〕 東京都新宿区

(4)幼稚園における子育て支援活動

 近年、幼稚園は、地域の幼児教育のセンターとして、子育て支援機能を持ち、いわば「親と子の育ちの場」という役割を果たすことが期待されるようになってきている。このため、幼稚園における相談活動や未就園児の親子登園、園庭・園舎の開放、通常の教育時間の前後などに行う「預かり保育」(全国の約6割の幼稚園で実施)などの子育て支援を推進しており、2003(平成15)年度には、子育て支援の取組をしている幼稚園は全体の約77%に上っている。

(5)商店街の空き店舗を活用した取組

 かつて地域経済の中心であった商店街は、近年、空き店舗の増加等により、その魅力は低下している。商店街の活性化は、地域経済の活性化、地域社会の形成にとって重要な要素となっており、商店街における空き店舗の解消・活用は、商店街における大きな課題となっている。
 一方、本格的な少子高齢化社会の到来、女性の社会進出など社会環境が大きく変化し、働く女性が利用しやすい場所での子育て支援サービスの提供が緊急の課題となっている。
 このため、商店街の空き店舗を活用して、地域社会において子育て支援や高齢者向けの交流拠点等の機能を担うコミュニティ施設を設置することにより、空き店舗の解消と少子高齢化社会への対応を図り、商店街に賑わいを創出することで商店街の活性化を図るための施策を講じた。
 具体的には、商店街振興組合、商工会、商工会議所、社会福祉法人、特定非営利活動法人等が、商店街の活性化を図るために商店街の空き店舗を活用して保育サービス施設や親子・高齢者交流施設などのコミュニティ施設を設置・運営しようという自主的な取組を地方公共団体が支援する場合に、国が施設の設置・運営に要する経費の一部を補助した。

[目次]  [戻る]  [次へ]