第6節 児童虐待防止対策を推進する

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1 児童虐待防止に向けた取組

 児童虐待への対応については、全国の児童相談所に寄せられる児童虐待に関する相談件数は増加の一途をたどり、その内容も専門的な援助を必要とするケースが増えているなど、依然として社会全体で早急に解決すべき重要な課題である。
 このため、虐待の発生予防から早期発見・早期対応、さらには虐待を受けた子どもの自立に至るまでの切れ目のない総合的な支援体制を整備し、支援をしていくことが必要であり、具体的には、
〔1〕発生予防に関しては、子育て中の親に対する交流・つどいの場の提供や地域子育て支援センターの拡充、養育が困難になっている家庭を訪問し、育児・家事の援助等を行う育児支援家庭訪問事業の推進
〔2〕早期発見・早期対応に関しては、児童相談所が地域の医師、弁護士、学識経験者などの専門家と連携を図る事業の推進や、児童福祉司の配置基準について、子どもの生命の安全と心身のケアに万全を期すよう、迅速かつ的確な対応を図るため、「人口概ね10万から13万までを標準として定める」を「人口概ね5万から8万までを標準として定める」(2005年4月1日施行)とするとともに、地域の関係機関が子ども等に関する情報や考え方を共有し、適切な連携の下で対応していくための市町村における要保護児童対策地域協議会(虐待防止ネットワーク)の設置促進
〔3〕保護・自立支援に関しては、児童養護施設の小規模化の推進、総合的な家庭環境調整を担う家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)の配置、虐待を受けた子どもの心身のケアを担当する職員の質的・量的充実
などの取組を進めている。また、厚生労働科学研究等において、各地で実践されている虐待を受けた子どものケアや虐待を行った保護者への支援・治療プログラムの調査・分析等を行い、様々な観点から、実践可能な保護者指導のプログラム等の開発の検討に取り組んでいる。
 また、2004(平成16)年12月に策定した子ども・子育て応援プランにおいて、「児童虐待という親子間の最も深刻な事象に対応できる社会を作り上げていくことが、すべての子どもと子育てを大切にする社会づくりにつながる」との認識に立ち、児童虐待により子どもが命を落とすことがない社会(児童虐待死の撲滅)等の実現を目指し、虐待防止ネットワークの全市町村における設置などの具体的な目標を立て、今後ともより積極的に施策を推進していくこととしている。

2 改正児童虐待防止法及び改正児童福祉法の概要

 2004(平成16)年には、制度的な対応についても充実が図られており、「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号)及び「児童福祉法」の2つの法律が改正され、「児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律」(平成16年法律第30号、以下「改正児童虐待防止法」という。)は2004年4月成立、2004年10月1日施行、「児童福祉法の一部を改正する法律」(平成16年法律第153号、以下「改正児童福祉法」という。)は2004年11月成立、2004年12月3日より順次施行されている。
 改正児童虐待防止法においては、〔1〕児童虐待の定義の見直し、〔2〕国及び地方公共団体の責務の改正、〔3〕児童虐待に係る通告義務の拡大、〔4〕警察署長に対する援助要請等、〔5〕面会・通信制限規定の整備、〔6〕児童虐待を受けた子ども等に対する学業の遅れに対する支援、進学・就職の際の支援等に関する規定の整備が行われた。
 一方、改正児童福祉法においては、〔1〕児童相談に関する体制の充実、〔2〕児童福祉施設、里親等の在り方の見直し、〔3〕要保護児童に関する司法関与の見直しが図られた。特に、児童相談に関する体制の充実については、「児童相談に応じることを市町村の業務として法律上明確にし、身近な市町村において虐待の未然防止・早期発見を中心に積極的な取組を求めつつ、都道府県(児童相談所)の役割を専門的な知識及び技術を必要とする事例への対応や市町村の後方支援に重点化することによって、児童相談に関わる主体を増やし、その役割を明確化することにより、全体として地域における児童相談体制の充実を図る」ものであり、児童福祉法制定以来の抜本的な改正内容となっている。
 これらの改正法の全面施行に向け、2005(平成17)年2月から3月にかけて、〔1〕市町村児童家庭相談援助指針の策定、〔2〕児童相談所運営指針の改正、〔3〕要保護児童対策地域協議会設置・運営指針の策定、〔4〕子ども虐待対応の手引きの改正を行い、周知を図った。また、2005(平成17)年4月には、要保護児童とその家庭に対するより良い支援のためのアセスメントと自立支援計画の策定指針をまとめた「子ども自立支援計画ガイドライン」を作成し、要保護児童に関わる援助関係者における積極的な活用を促した。また、学校における児童虐待の早期発見・早期対応体制の充実を図るため、2005年度より、学校等における児童虐待防止に関する国内外の先進的取組について調査研究を実施している。
「子どもを虐待から守ろう」リーフレット(主唱 厚生労働省・内閣府)

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