第1部 新しい少子化対策の推進
第1章 少子化の現状
第1節 最近の出生動向
1 少子化の進行
2005(平成17)年の出生数は、初めて110万人台を割り込み、106万2,530人と過去最低を記録した。前年の2004(平成16)年よりも4万8,191人減少し、近年では1995(平成7)年の対前年比5万1,264人減に次いで大きな減少幅となった。
わが国の年間の出生数は、第1次ベビーブーム1期には約270万人、第2次ベビーブーム期には約210万人であったが、1975(昭和50)年に200万人を割り込み、それ以降、毎年減少し続けた。1984(昭和59)年には150万人を割り込み、1992(平成4)年以降は増加と減少を繰り返しながら、ゆるやかな減少傾向となり、2001(平成13)年から5年連続の減少となった。2005年の出生数は、第1次ベビーブーム期の約4割の水準であり、第2次ベビーブーム期と比較をしても約半分に落ち込んでいる。
また、女性が一生のうちに出産する子ども数が減少しており、2005年の合計特殊出生率2も、前年の1.29をさらに0.04ポイント下回る1.253となり、過去最低を記録した。前年を0.04ポイントも下回ったのは1999(平成11)年以来のことである。
合計特殊出生率は、第1次ベビーブーム期には4を超えていたが、1950(昭和25)年以降急激に低下し、1960年代に2前後となったあと、第2次ベビーブーム期の1971(昭和46)年に2.16まで回復したが、以後低下傾向に転じた。1974(昭和49)年には人口置換水準4の概ね2.1を下回り、1989(平成元)年には丙午(ひのえうま)のためそれまで最低であった1966(昭和41)年の数値を下回る1.57を記録し、さらに、2003(平成15)年には「超少子化国5」と呼ばれる水準である1.3を下回る1.29を記録した。2005年の1.25という数値は、欧米諸国と比較しても低い数値であり(補章参照)、しかも、3年続けて1.3を割り込んでいる。
このように依然として、出生率が低下し、生まれてくる子どもの数が減少する少子化が進行している。
わが国の年間の出生数は、第1次ベビーブーム1期には約270万人、第2次ベビーブーム期には約210万人であったが、1975(昭和50)年に200万人を割り込み、それ以降、毎年減少し続けた。1984(昭和59)年には150万人を割り込み、1992(平成4)年以降は増加と減少を繰り返しながら、ゆるやかな減少傾向となり、2001(平成13)年から5年連続の減少となった。2005年の出生数は、第1次ベビーブーム期の約4割の水準であり、第2次ベビーブーム期と比較をしても約半分に落ち込んでいる。
また、女性が一生のうちに出産する子ども数が減少しており、2005年の合計特殊出生率2も、前年の1.29をさらに0.04ポイント下回る1.253となり、過去最低を記録した。前年を0.04ポイントも下回ったのは1999(平成11)年以来のことである。
合計特殊出生率は、第1次ベビーブーム期には4を超えていたが、1950(昭和25)年以降急激に低下し、1960年代に2前後となったあと、第2次ベビーブーム期の1971(昭和46)年に2.16まで回復したが、以後低下傾向に転じた。1974(昭和49)年には人口置換水準4の概ね2.1を下回り、1989(平成元)年には丙午(ひのえうま)のためそれまで最低であった1966(昭和41)年の数値を下回る1.57を記録し、さらに、2003(平成15)年には「超少子化国5」と呼ばれる水準である1.3を下回る1.29を記録した。2005年の1.25という数値は、欧米諸国と比較しても低い数値であり(補章参照)、しかも、3年続けて1.3を割り込んでいる。
このように依然として、出生率が低下し、生まれてくる子どもの数が減少する少子化が進行している。
1 ベビーブームとは、赤ちゃんの出生が一時的に急増することをいう。日本では、第二次世界大戦後、2回のベビーブームがあった。第1次ベビーブームは1947(昭和22)年から1949(昭和24)年、第2次ベビーブームは1971(昭和46)年から1974(昭和49)年である。第1次ベビーブーム世代は「団塊の世代」と呼ばれ、第2次ベビーブーム世代は「団塊ジュニア」と呼ばれている。団塊の世代は、2007(平成19)年から60歳定年を迎えるため、こうした大量の退職者に関する雇用や年金の問題、社会に与える影響等を「2007年問題」と呼ぶことがある。
2 合計特殊出生率とは、その年次の15~49歳までの女子の年齢別出生率を合計したもので、1人の女子が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に子どもを生むと仮定したときの子ども数に相当する。
3 本書において、2005年の合計特殊出生率は概数である。
4 合計特殊出生率がこの水準以下になると人口が減少することになる水準をいう。概ね2.1であるが、詳細な数値については男女の出生性比等の違いにより変動する。最近の日本では2.07~2.08である。
5 人口学では、合計特殊出生率が1.3を割った国を、「超少子化国」と呼ぶことがある。
2 合計特殊出生率とは、その年次の15~49歳までの女子の年齢別出生率を合計したもので、1人の女子が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に子どもを生むと仮定したときの子ども数に相当する。
3 本書において、2005年の合計特殊出生率は概数である。
4 合計特殊出生率がこの水準以下になると人口が減少することになる水準をいう。概ね2.1であるが、詳細な数値については男女の出生性比等の違いにより変動する。最近の日本では2.07~2.08である。
5 人口学では、合計特殊出生率が1.3を割った国を、「超少子化国」と呼ぶことがある。
第1‐1‐1図 出生数及び合計特殊出生率の年次推移

2 近年の出生動向の特徴
(母親の年齢階級別にみた出生動向)
2005(平成17)年の出生数を母親の年齢(5歳階級)別にみると、29歳以下の女性による出生数が引き続き減少したほか、これまで増加傾向にあった30~34歳でも前年に比べて1万1,203人の減少に転じた。一方、35歳以上では4,277人増加しており、特に、40歳以上の出生数が2万348人と、47年ぶりに2万人を超えた。約50人に1人は40歳以上の女性から生まれたことになる。これは、後述するとおり、晩婚化や晩産化の進行を反映していると考えられる6。
6 1950年代以降40代の女性からの出産は、全出生数に対して1%前後の小さな割合となっているが、第2次世界大戦前の調査によると、この頃は1人の女性の出産数が4~5人と多かったこともあり、40代の女性による出生数は年間10万人を超え、全出生数に占める割合も5%前後と、40代の出産はそれほど珍しいものではなかった。
従来、母親の年齢階級別の出生数をみると、25~29歳の出生数が最も多かった。30年前の1975年では、25~29歳で全出生数の53.4%、20~24歳で25.2%と20代の女性による出生数が全体の8割近くを占め、30代以上の割合は、20.6%にすぎなかった。しかし、その後、20代の出生数・出生率が減少する一方で、30代の出生数・出生率が増加する傾向となった。2003(平成15)年からは、30~34歳が最も多くなり、さらに、2004(平成16)年からは、35~39歳が20~24歳を上回っている。
2005年において母親の年齢階級別にみた出生数の割合は、15~19歳が1.6%、20~24歳が12.1%、25~29歳が31.9%、30~34歳が38.1%、35~39歳が14.4%、40歳以上が1.9%となっている。現在では、新生児の半数は30代の母親から生まれている。また、30代の母親の3人に1人は初産である。
年齢別の合計特殊出生率でみると、上昇傾向にある35~39歳はほぼ横ばいであるが、前年上昇に転じた30~34歳が再び低下したほか、低下幅の大きい25~29歳を含め、29歳以下で前年より低下した7。
7 人工妊娠中絶件数は減少傾向にあり、2005年では289,127件と前年度に比べ12,546件減少し、30年前の43%の水準となっている。実施率(15~49歳女子人口に対する割合)は1.03%、対出生比(出生100に対する割合)は27.2%である。年齢階級別にみると、全体的に低下傾向の中で、90年代後半から10代の実施率が高まっている。
(晩婚化、晩産化の進展)
2005年の婚姻件数は71万4,265組で、前年よりも6,152組減少し、2002(平成14)年以来4年連続で減少している。なお、夫または妻が外国人であるいわゆる国際結婚の数は増加傾向にあり、2004年時点で約3万9千組、全婚姻件数の5.5%を占めている。つまり、18組に1組は国際結婚となっている。
婚姻件数は、第1次ベビーブーム世代が結婚年齢を迎えた1970(昭和45)年から1974(昭和49)年にかけて年間100万組を超え、婚姻率(人口千対)も10.0以上と「結婚ブーム」を現出した。その後は、組数、婚姻率とも低下傾向となり、1978(昭和53)年以降は年間70万組台(1987年のみ60万組台)で増減を繰り返している。
平均初婚年齢は、2005年で、夫が29.8歳(対前年比0.2歳上昇)、妻が28.0歳(同)と上昇傾向を続けており、結婚年齢が高くなる晩婚化が進行している。1975(昭和50)年には、夫が27.0歳、妻が24.7歳であったので、30年間に、夫は2.8歳、妻は3.3歳、初婚年齢が遅くなっている8。
初婚の妻の年齢(各歳)別婚姻件数の構成割合を10年ごとにみると、ピーク時の年齢が上昇し、割合の高さは減少し、20代後半から30代の高い年齢の割合が増加している。
都道府県別にみると、平均初婚年齢が最も低いのは、夫は宮崎県及び熊本県で28.8歳、妻は福島県で27.0歳であり、最も高いのは、夫・妻とも東京都で、夫31.2歳、妻29.2歳である。
初婚年齢が遅くなると、出生した時の母の平均年齢も遅くなるという晩産化の傾向があらわれる。2005年の場合、第1子が29.1歳、第2子が31.0歳であり、1975年と比較をすると、それぞれ3.4歳、3.0歳遅くなっている。高年齢になると、出産を控えることになることから、晩婚化や晩産化が少子化傾向を進行させることとなる。なお、東京都では第1子出生時の母の平均年齢が30.5歳(2005年)と高いほか、30代後半の出生数が2001(平成13)年からの5年間で1.47倍と急増している。
30歳時点で子どもを生んでいない女性の割合をみると、1955(昭和30)年生まれでは21.1%であったが、世代を追うごとに増加傾向にある。1965(昭和40)年生まれでは37.2%となり、第2次ベビーブーム期である1971(昭和46)年生まれでは48.9%、1974(昭和49)年生まれでは51.5%となっている。第2次ベビーブーム世代の女性の場合には、約半数が30歳時点では子どもを生んでいない。
婚姻件数は、第1次ベビーブーム世代が結婚年齢を迎えた1970(昭和45)年から1974(昭和49)年にかけて年間100万組を超え、婚姻率(人口千対)も10.0以上と「結婚ブーム」を現出した。その後は、組数、婚姻率とも低下傾向となり、1978(昭和53)年以降は年間70万組台(1987年のみ60万組台)で増減を繰り返している。
平均初婚年齢は、2005年で、夫が29.8歳(対前年比0.2歳上昇)、妻が28.0歳(同)と上昇傾向を続けており、結婚年齢が高くなる晩婚化が進行している。1975(昭和50)年には、夫が27.0歳、妻が24.7歳であったので、30年間に、夫は2.8歳、妻は3.3歳、初婚年齢が遅くなっている8。
初婚の妻の年齢(各歳)別婚姻件数の構成割合を10年ごとにみると、ピーク時の年齢が上昇し、割合の高さは減少し、20代後半から30代の高い年齢の割合が増加している。
都道府県別にみると、平均初婚年齢が最も低いのは、夫は宮崎県及び熊本県で28.8歳、妻は福島県で27.0歳であり、最も高いのは、夫・妻とも東京都で、夫31.2歳、妻29.2歳である。
初婚年齢が遅くなると、出生した時の母の平均年齢も遅くなるという晩産化の傾向があらわれる。2005年の場合、第1子が29.1歳、第2子が31.0歳であり、1975年と比較をすると、それぞれ3.4歳、3.0歳遅くなっている。高年齢になると、出産を控えることになることから、晩婚化や晩産化が少子化傾向を進行させることとなる。なお、東京都では第1子出生時の母の平均年齢が30.5歳(2005年)と高いほか、30代後半の出生数が2001(平成13)年からの5年間で1.47倍と急増している。
30歳時点で子どもを生んでいない女性の割合をみると、1955(昭和30)年生まれでは21.1%であったが、世代を追うごとに増加傾向にある。1965(昭和40)年生まれでは37.2%となり、第2次ベビーブーム期である1971(昭和46)年生まれでは48.9%、1974(昭和49)年生まれでは51.5%となっている。第2次ベビーブーム世代の女性の場合には、約半数が30歳時点では子どもを生んでいない。
8 女性の場合、かつては25歳前後が「結婚適齢期」と言われていたが、現在ではこうした見方は一般的ではなくなっている。
第1‐1‐2図 母親の年齢階級別にみた出生数の割合

第1‐1‐3図 年齢(5歳階級)別にみた合計特殊出生率の年次推移

第1‐1‐4図 婚姻件数及び婚姻率の年次推移

第1‐1‐5図 初婚の妻の年齢別婚姻件数の割合

(夫婦から生まれる子ども数の減少)
国立社会保障・人口問題研究所「第13回出生動向基本調査」(2005年)によれば、ほぼ子どもを生み終えた結婚持続期間15~19年の夫婦の平均出生子ども数(以下、「完結出生児数」という。)は、1970年代から30年間にわたって2.2人前後で安定して推移してきた。したがって、この間の合計特殊出生率の低下は、もっぱら初婚年齢の上昇(晩婚化)や未婚化の進展によるものであり、結婚した夫婦が生む子どもの数には変化がなかった。
しかし、1980年代後半以降に結婚した夫婦から、出生数の低下がみられるようになった。1980年代後半に結婚した夫婦(概ね1960年代以降生まれの世代)では、2.09人に減少した。さらに、出生子ども数の構成をみると、全体の半数強の夫婦が2人である傾向は変わらないが、子どもを生まなかった夫婦(0人)及び1人の夫婦がやや増え、逆に3人を出生した夫婦が減少している。
次に、子どもを生み終えていない出生途上の夫婦についてみると、5年未満の夫婦では、やや増加傾向にあるが、5年以上の夫婦ではすべての期間の夫婦で減少している。
このように夫婦が持つ子どもの数が近年減少傾向にあることも、少子化の原因となっている。
しかし、1980年代後半以降に結婚した夫婦から、出生数の低下がみられるようになった。1980年代後半に結婚した夫婦(概ね1960年代以降生まれの世代)では、2.09人に減少した。さらに、出生子ども数の構成をみると、全体の半数強の夫婦が2人である傾向は変わらないが、子どもを生まなかった夫婦(0人)及び1人の夫婦がやや増え、逆に3人を出生した夫婦が減少している。
次に、子どもを生み終えていない出生途上の夫婦についてみると、5年未満の夫婦では、やや増加傾向にあるが、5年以上の夫婦ではすべての期間の夫婦で減少している。
このように夫婦が持つ子どもの数が近年減少傾向にあることも、少子化の原因となっている。
第1‐1‐6図 各調査年次における夫婦の完結出生児数(結婚持続期間15~19年)

第1‐1‐7図 結婚持続期間別にみた平均出生子ども数

(未婚化の進行)
前述したとおり、晩婚化・晩産化の進行、夫婦が持つ子どもの数の減少が少子化の直接の原因であるが、これらに加えて、なかなか結婚しない若者が増加しているという未婚化の進行が、少子化の大きな原因となっている。
2005(平成17)年の総務省「国勢調査」9によると、25~39歳の未婚率は、男女ともに引き続き上昇しており、2000(平成12)年と比較すると、男性では、25~29歳では71.4%、30~34歳では47.1%、35~39歳では30.0%となっており、それぞれ2.1ポイント、4.2ポイント、4.3ポイント上昇している。女性では、25~29歳で59.0%、30~34歳で32.0%、35~39歳で18.4%と、それぞれ5.0ポイント、5.4ポイント、4.6ポイント上昇している。年齢階級(25~39歳)別未婚率の推移は、第1‐1‐8図のとおりであり、いずれの階級においても、未婚率の上昇に歯止めがかかるきざしはみられない。こうした最近の未婚化の状況は、30代の男性・女性ともに9割が結婚していた1970(昭和45)年とは大きな違いである。
わが国では、子どもは男女が結婚してから生まれる場合が大半であるので、結婚しない人たちの割合が増加すれば、子どもの出生数に影響を与えることになる。わが国の全出生数に占める非嫡出子の割合は1.99%(2004年)であり、30%から50%台の水準である欧米諸国とは大きく異なっている10。
2005(平成17)年の総務省「国勢調査」9によると、25~39歳の未婚率は、男女ともに引き続き上昇しており、2000(平成12)年と比較すると、男性では、25~29歳では71.4%、30~34歳では47.1%、35~39歳では30.0%となっており、それぞれ2.1ポイント、4.2ポイント、4.3ポイント上昇している。女性では、25~29歳で59.0%、30~34歳で32.0%、35~39歳で18.4%と、それぞれ5.0ポイント、5.4ポイント、4.6ポイント上昇している。年齢階級(25~39歳)別未婚率の推移は、第1‐1‐8図のとおりであり、いずれの階級においても、未婚率の上昇に歯止めがかかるきざしはみられない。こうした最近の未婚化の状況は、30代の男性・女性ともに9割が結婚していた1970(昭和45)年とは大きな違いである。
わが国では、子どもは男女が結婚してから生まれる場合が大半であるので、結婚しない人たちの割合が増加すれば、子どもの出生数に影響を与えることになる。わが国の全出生数に占める非嫡出子の割合は1.99%(2004年)であり、30%から50%台の水準である欧米諸国とは大きく異なっている10。
9 本書において、2005年の総務省「国勢調査」は第1次基本集計結果である。
10 たとえば、フランスでは44.3%(2002年)、スウェーデンでは56%(2003年)であるが、このように非嫡出子の割合が高いのは、これらの国では、男女のカップルが法律上の結婚に至るまでに同棲という事実婚の状態を経ることが多いこと、非嫡出子であっても法的には嫡出子とほぼ同じ権利を享受できること、結婚形式の多様化に対する社会一般の受入れが背景にあると考えられる。
10 たとえば、フランスでは44.3%(2002年)、スウェーデンでは56%(2003年)であるが、このように非嫡出子の割合が高いのは、これらの国では、男女のカップルが法律上の結婚に至るまでに同棲という事実婚の状態を経ることが多いこと、非嫡出子であっても法的には嫡出子とほぼ同じ権利を享受できること、結婚形式の多様化に対する社会一般の受入れが背景にあると考えられる。
第1‐1‐8図 男女・年齢階級(25~39歳)別未婚率の推移

(少子化の原因の背景にあるもの)
少子化の原因である未婚化や晩婚化の進行、夫婦が持つ子どもの数の減少の背景には、実に様々な要因があげられる。
既に、第1回目の少子化社会白書(平成16年版 少子化社会白書)で説明しているところであるが、たとえば、なかなか若者が結婚しない未婚化の進行の背景には、よい相手にめぐり合えないこと、独身生活に利点があること、結婚や結婚後の生活の資金がないこと、雇用が不安定であるため将来の生活設計が立てられないこと、結婚すると仕事と家庭・育児の両立が困難となること、結婚をしなければならないという社会規範がなくなったことなどがあげられる。
また、結婚してからの子どもの数が減少傾向にあることの要因としては、仕事と子育ての両立の負担が重いこと、育児や教育にかかる費用が重いこと、妻の精神的・身体的負担の増大、夫の育児・家事の不参加、出産・子育てによる機会費用(出産・子育てにより仕事をやめた場合に失われることとなる収入)の増大等があげられる。
このように少子化の原因の背景にある要因には様々なものがあり、また、世代や、親・子どもの年齢によっても異なる。したがって、少子化対策としては、どれかひとつの政策を講ずれば効果があらわれるというものはなく、子育て世代のニーズを踏まえつつ、総合的に政策を展開していく必要がある。
既に、第1回目の少子化社会白書(平成16年版 少子化社会白書)で説明しているところであるが、たとえば、なかなか若者が結婚しない未婚化の進行の背景には、よい相手にめぐり合えないこと、独身生活に利点があること、結婚や結婚後の生活の資金がないこと、雇用が不安定であるため将来の生活設計が立てられないこと、結婚すると仕事と家庭・育児の両立が困難となること、結婚をしなければならないという社会規範がなくなったことなどがあげられる。
また、結婚してからの子どもの数が減少傾向にあることの要因としては、仕事と子育ての両立の負担が重いこと、育児や教育にかかる費用が重いこと、妻の精神的・身体的負担の増大、夫の育児・家事の不参加、出産・子育てによる機会費用(出産・子育てにより仕事をやめた場合に失われることとなる収入)の増大等があげられる。
このように少子化の原因の背景にある要因には様々なものがあり、また、世代や、親・子どもの年齢によっても異なる。したがって、少子化対策としては、どれかひとつの政策を講ずれば効果があらわれるというものはなく、子育て世代のニーズを踏まえつつ、総合的に政策を展開していく必要がある。
第1‐1‐9図 未婚化の原因についてのアンケート結果

(コラム)赤ちゃんは何月に一番多く産まれるのか
結婚件数を月別にみると、3月と11月が多く、次いで4月、5月、10月、12月も多い。最も少ないのは1月、次いで8月となっている。一般に、夏の暑い時期や冬の寒い時期を避けて、過ごしやすい春や秋に結婚式を行う人が多いということがわかる。なお、離婚については、3月が若干多いだけで、月別の変化はほとんどない(『平成17年版 少子化社会白書』参照)。
それでは、赤ちゃんは、何月に一番多く産まれているのだろうか。
厚生労働省の「人口動態統計」に基づき、2000(平成12)年から2004(平成16)年までの5か年平均をグラフにしたものが第1‐1‐10図である。7月から10月まで夏から秋にかけての時期及び1月において出生数が多く、2月から6月までの春を中心とした時期に出生数が少ない傾向となっている。
このように月ごとに出生数のばらつきがみられたのは、結婚の時期との関係も影響していると考えられる。日本においては、欧米諸国と異なり、婚外子の割合が極めて少なく、出生のほとんどが戸籍法に基づき婚姻の届出をした夫婦によるものである。父母の結婚期間からみた出生構成割合をみると、第1子の半数は、結婚後4か月から1年半後の間に誕生している。結婚件数の多い春に結婚した夫婦がその年の秋から翌年の夏に出産し、秋に結婚した夫婦が翌年の7月以降に出産するということが推測される。ただし、月別出生数は、ほとんどの月で9万件から10万件の間で推移しており、また、小の月(2・4・6・9・11月)においては必然的に出生数が少なくなることを考慮すると、自ら時期を選べる結婚よりは月ごとのばらつきは少ないことがわかる。
それでは、赤ちゃんは、何月に一番多く産まれているのだろうか。
厚生労働省の「人口動態統計」に基づき、2000(平成12)年から2004(平成16)年までの5か年平均をグラフにしたものが第1‐1‐10図である。7月から10月まで夏から秋にかけての時期及び1月において出生数が多く、2月から6月までの春を中心とした時期に出生数が少ない傾向となっている。
このように月ごとに出生数のばらつきがみられたのは、結婚の時期との関係も影響していると考えられる。日本においては、欧米諸国と異なり、婚外子の割合が極めて少なく、出生のほとんどが戸籍法に基づき婚姻の届出をした夫婦によるものである。父母の結婚期間からみた出生構成割合をみると、第1子の半数は、結婚後4か月から1年半後の間に誕生している。結婚件数の多い春に結婚した夫婦がその年の秋から翌年の夏に出産し、秋に結婚した夫婦が翌年の7月以降に出産するということが推測される。ただし、月別出生数は、ほとんどの月で9万件から10万件の間で推移しており、また、小の月(2・4・6・9・11月)においては必然的に出生数が少なくなることを考慮すると、自ら時期を選べる結婚よりは月ごとのばらつきは少ないことがわかる。
第1‐1‐10図 月別出生数の5か年平均(2000~2004年)
