第4節 人口減少社会の到来

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1 初めての人口の自然減

(出生数よりも死亡数が上回る)

 人口動態統計によると、2005(平成17)年は、出生数(106万2,530人)よりも死亡数(108万3,796人)が2万1,266人上回った。出生数と死亡数の差である自然増加数は、2004(平成16)年の場合には8万2,119人増、自然増加率(人口千対)は0.7であったのが、2005年はマイナス2万1,266人となり、自然増加率はマイナス0.2と、前年を下回った。人口動態統計が現在の形式で調査を開始した1899(明治32)年以降、統計の得られていない1944(昭和19)年から1946(昭和21)年を除き、初めて人口の自然減となった。
 都道府県別にみると、出生数が死亡数を下回った県は、2004年は25道県であったが、2005年は36道府県となり、出生数が死亡数を上回った県は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、滋賀県、大阪府、兵庫県、福岡県、沖縄県の11都府県となった。15大都市11別にみると、東京都の区部、静岡市、京都市、大阪市、北九州市の5市区において、出生数が死亡数を下回った。
11 15大都市とは、政令指定都市14団体(堺市を除く。)及び東京都区部である。静岡市は平成17年4月1日から指定都市となったが、1月分からの累計である。

第1‐1‐17図 出生率、死亡率及び自然増加率の推移(1899年~)

2 人口減少社会の到来

(予想より早く人口減少社会が到来)

 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成14年1月中位推計)によれば、わが国の人口は、2006(平成18)年に1億2,774万人でピークを迎えた後、減少に転じると予想されていた。
 しかし、2005(平成17)年の国勢調査結果では、2005年10月1日現在の総人口は、1億2,776万8千人で、前年(2004年)10月1日現在の推計人口(補間補正後)である1億2,779万人を2万2千人下回っていることが判明した。10月1日現在の人口が前年を下回ったのは、第2次世界大戦後初めてのことであり、わが国が「人口減少社会」に突入したことが明確となった。
 総務省の住民基本台帳に基づく2006年3月31日現在の人口(以下、「2006年3月末住基人口」という。)は、1億2,705万5,025人で、前年よりも3,505人減少した12。1968(昭和43)年の調査開始以来、総人口が減少したのは初めてのことであり、人口減少社会の到来を裏付けることとなった。
 都道府県別に人口増減の状況をみると、9団体(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、大阪府、福岡県、沖縄県)で人口が増加し、他の38団体では人口が減少した。人口増加数が最も多いのは、東京都(8万9,867人増)で、次いで神奈川県(4万532人)、愛知県(3万4,394人)であり、最も人口減少数が多いのは、北海道(2万3,057人)、次いで青森県(1万2,487人)、鹿児島県(1万1,1941人)となっている。
 人口増加率をみると、最も高いのは東京都(0.74%)で、次いで愛知県(0.49%)、神奈川県(0.47%)、以下、沖縄県、滋賀県の順となっている。人口減少率が高いのは、秋田県(マイナス0.88%)、青森県(同0.85%)、高知県(同0.81%)、以下、長崎県、山形県の順となっている。人口減の団体では、人口の自然減に加え、人口の社会減(流入人口よりも流出人口の方が多いこと)も生じているところが多い。
12 住民基本台帳人口とは、市町村の住民基本台帳に記載されている国内の日本人の人口をいう。国勢調査の総人口は、国内に住む日本人に加えて日本に3か月以上住む外国人も含む。

3 人口減少の影響

(人口減少の進行)

 少子化が進行して生まれてくる子どもの数が減少する一方で、高齢化の進行に伴い高齢者人口が増大して高齢者の死亡数が増加してくることから、今後、わが国の人口減少は加速度的に進行していくものと予想されている。
 国立社会保障・人口問題研究所の「平成14年将来人口推計」では、2050年には現在よりも約2,700万人減少して、約1億人になると推計していた。なお、現在、2005(平成17)年国勢調査をもとに、新たに将来推計人口の作成が進められているところである。
第1‐1‐18図 わが国の人口構造の推移

(人口減少の影響)

 少子化の進行等による人口減少は、わが国の経済社会に様々な影響・問題を及ぼすものと考えられる。
 まず、労働力人口13の変化がある。既に1998(平成10)年から15~64歳の労働力人口が減少に転じているが、今後も出生数の減少による若年労働力の減少と、高齢者の引退の増加によって、労働力人口は高齢化しながら、減少していくことが予想されている。労働力人口がこのまま減少していくとすると、技術革新や規制改革、若年者の労働能力の開発、中高年層の労働能力の再開発等、1人当たりの労働生産性を向上させない限り、経済成長に対してマイナスの影響を与えることになる。
 また、高齢者人口の増大により、年金や高齢者医療費・介護費は年々増大する一方で、社会保障制度を支える現役世代の人口及び総人口に占める割合の双方が低下していくため、社会保障制度の持続可能性を図るためには、高齢者に対する給付内容の見直しや、給付と負担の均衡等の措置を講じていかなければならない。高速道路や鉄道等の公共的なインフラも、人口減少社会に応じた整備の在り方やメンテナンスの方法を考えていかなければならない。
 さらに、目を地方に転じると、既に人口減少となっている地方自治体が多数存在している。2005年の国勢調査(要計表による人口)によれば、2000(平成12)年の同調査と比較をして、全国2,217市町村のうち、7割強の1,605市町村で人口が減少している。
 地域から子どもの数が少なくなる一方で高齢者が増加し、特に過疎地においては、防犯、消防等に関する自主的な住民活動をはじめ、集落という共同体の維持さえ困難な状況も生じている。保健・福祉サービスなど、行政サービスも維持しにくくなっている。これらは地域の存立基盤にも関わる問題であり、人口減少下においても地域社会の活力を維持していく取組が必要となってくる。
13 労働力人口とは、15歳以上の者で、就業者及び就業したいと希望し、求職活動をしているが仕事についていない者(完全失業者)の総数をいう。

第1‐1‐19図 労働力人口の推移と見通し

(超少子高齢社会の到来)

 国力という面からみても、わが国の総人口は2005年時点では世界で10番目である14が、2050年には世界で第15位に後退することが予想されている。その上、2050年の総人口の予測である1億人という数値は、1967(昭和42)年の数値と同じであるが、今からほぼ40年前の後者の年は、日本人の中位年齢(人口を年齢順に並べて数え、ちょうど真ん中に当たる年齢)は30歳、高齢化率は6.6%と「若い国」であったのが、2050年には、中位年齢は53歳、高齢化率36%と、世界で有数の「高齢化が進んだ国」へと変化してしまうことである。2000年には、高齢者1人当たりの生産年齢人口が4人であったのが、2050年には高齢者1人あたり生産年齢人口は1.5人と、人口構成が「超少子高齢社会」のものに変わってしまう。
 当面は女性や高齢者の労働力率の引き上げ等により労働力人口の減少を緩和できるとしても、2030年頃以降は若年人口の減少が著しく、労働力人口の急激な減少が見込まれることから、今から少子化対策に一層強力に取り組むことが不可欠である。
14 世界で最も人口が多い国は中国(13.2億人)であり、以下、インド(11.0億人)、アメリカ(3.0億人)、インドネシア(2.2億人)、ブラジル(1.9億人)、パキスタン(1.6億人)、ロシア(1.4億人)、バングラデシュ(1.4億人)、ナイジェリア(1.3億人)、次いで日本の順となっている。

(少子化対策の重要性)

 このように、急速な人口減少は、経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤に関わる問題と認識すべきである。今後、技術革新等による労働生産性の向上や社会保障制度の不断の見直しなど、人口減少社会に適応した社会経済システムづくりが重要であることはいうまでもないが、あわせて、少子化の流れを変えて出生率を反転させることにより、人口減少の度合いを小さくする少子化対策の重点的取組が極めて重要である。

4 出生数及び婚姻数の回復傾向

(明るいきざし)

 最近の婚姻数をみると、2005(平成17)年後半から回復傾向にある。2006(平成18)年8月時点では、当月分を含む過去1年間の婚姻数の累計は、745,791組と、対前年の725,946組よりも約2万組増加している。
 また、毎月の出生数を前年同月と比較をすると、2006年2月以降、8月まで7か月連続で毎月上回って推移している。2006年8月までの出生数は、743,579人であり、前年同期よりも1万7,651人多くなっている。しかしながら、2005年の出生数は、2004(平成16)年に比べて約4万8千人減少しており、2006年8月までの増加数は、この減少幅の約4割程度である。
 こうした本年になってからの出生数や婚姻数の明るいきざしを確実な動きにしていくためにも、引き続き少子化対策を強力に推進していく必要がある。
第1‐1‐20図 婚姻数の推移(当月を含む過去1年間の累計)

第1‐1‐21図 最近の出生数の推移

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