3 今後の取組の方向
(新しい少子化対策に基づく総合的な少子化対策の推進)
新しい少子化対策は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(基本方針2006)(2006年7月7日閣議決定)に明確に反映されている。
基本方針2006では、まず第1章の「日本経済の現状と今後の課題」において、わが国が直面する国内の3つの課題のひとつとして、「全力を挙げて少子化対策に取り組み、少子化に歯止めをかけなければならない」としている。
第4章の「安全・安心の確保と柔軟で多様な社会の実現」の中で、最初に「総合的な少子化対策の推進」を掲げ、「『新しい少子化対策について』に基づき、少子化対策の抜本的な拡充、強化、転換を図ることが必要である」とし、妊娠・出産から高校・大学生時まで子どもの成長に応じた総合的な子育て支援策と働き方の改革を推進する、社会の意識改革を進めるため、家族・地域の絆を再生する国民運動を展開する、と明記している。
基本方針2006では、まず第1章の「日本経済の現状と今後の課題」において、わが国が直面する国内の3つの課題のひとつとして、「全力を挙げて少子化対策に取り組み、少子化に歯止めをかけなければならない」としている。
第4章の「安全・安心の確保と柔軟で多様な社会の実現」の中で、最初に「総合的な少子化対策の推進」を掲げ、「『新しい少子化対策について』に基づき、少子化対策の抜本的な拡充、強化、転換を図ることが必要である」とし、妊娠・出産から高校・大学生時まで子どもの成長に応じた総合的な子育て支援策と働き方の改革を推進する、社会の意識改革を進めるため、家族・地域の絆を再生する国民運動を展開する、と明記している。
(今後の展望)
新しい少子化対策の冒頭で述べられているとおり、昨年(2005年)は、日本が1899(明治32)年に人口動態の統計をとり始めて以来、初めて出生数が死亡数を下回り、総人口が減少に転ずる人口減少社会が到来し、出生数は106万人、合計特殊出生率は1.25と、いずれも過去最低を記録した。
本年になってからの出生数は2月以降前年同月を上回っており、明るいきざしがみられるものの、昨年の出生数の減少幅(約4万8千人減)を回復するまでには至っていない。長期的にみれば、合計特殊出生率が反転したとしても、出生数は母体となる女性の出産年齢人口(概ね15歳以上49歳未満人口)そのものが減少していくため、減少傾向は続いていくものと予想される。
今後、このまま少子化傾向が続けば加速度的に人口が減少していく。こうした人口減少の度合いを緩和し、次代を担うように生まれてきた子どもが健全に成長し、そして子育て家庭において男性も女性も仕事と育児を両立させ、子育てに喜びと生きがいを感じられるようにしていくためにも、少子化対策の一層の充実が必要である。
新しい少子化対策では、「出生率の低下傾向を反転させる」という目標を設定しているが、補章で述べるとおり、欧州諸国の最近の人口動向をみても、出生率の低下傾向の流れを変えることは決して不可能なことではない。そのためには、第2次ベビーブーム世代やその後の世代という、わが国にとってまだ20代、30代の人口層が厚い時期にインパクトがある少子化対策を講ずる必要があり、新しい少子化対策を速やかに実施に移していくことが極めて重要である。
本年になってからの出生数は2月以降前年同月を上回っており、明るいきざしがみられるものの、昨年の出生数の減少幅(約4万8千人減)を回復するまでには至っていない。長期的にみれば、合計特殊出生率が反転したとしても、出生数は母体となる女性の出産年齢人口(概ね15歳以上49歳未満人口)そのものが減少していくため、減少傾向は続いていくものと予想される。
今後、このまま少子化傾向が続けば加速度的に人口が減少していく。こうした人口減少の度合いを緩和し、次代を担うように生まれてきた子どもが健全に成長し、そして子育て家庭において男性も女性も仕事と育児を両立させ、子育てに喜びと生きがいを感じられるようにしていくためにも、少子化対策の一層の充実が必要である。
新しい少子化対策では、「出生率の低下傾向を反転させる」という目標を設定しているが、補章で述べるとおり、欧州諸国の最近の人口動向をみても、出生率の低下傾向の流れを変えることは決して不可能なことではない。そのためには、第2次ベビーブーム世代やその後の世代という、わが国にとってまだ20代、30代の人口層が厚い時期にインパクトがある少子化対策を講ずる必要があり、新しい少子化対策を速やかに実施に移していくことが極めて重要である。
(少子化対策は国の基本にかかわる最重要政策課題)
新しい少子化対策では、最後に、
〔1〕 少子化問題は、わが国の在り方が問われている課題であり、各種の施策を組み合わせつつ、国、地方公共団体、職域、地域、家族、個人など、社会を構成するすべての主体が、それぞれの責任と役割を自覚し、子どもと家族を大切にする視点に立って積極的に取組を進めていくとともに、進捗状況を検証し、充実に努める必要があること
〔2〕 厳しい財政事情を踏まえつつも、少子化対策を国の基本にかかわる最重要政策課題とする一致した認識の下で、知恵と工夫をもって諸施策を強力に推進し、日本の未来と将来世代のために総力を傾注すること
を強調している。
こうした認識を、国や地方自治体、企業、地域団体、家族等、すべての組織・人々が共通のものとし、少子化対策の一層の推進に向けて取り組んでいくことが肝要である。
〔1〕 少子化問題は、わが国の在り方が問われている課題であり、各種の施策を組み合わせつつ、国、地方公共団体、職域、地域、家族、個人など、社会を構成するすべての主体が、それぞれの責任と役割を自覚し、子どもと家族を大切にする視点に立って積極的に取組を進めていくとともに、進捗状況を検証し、充実に努める必要があること
〔2〕 厳しい財政事情を踏まえつつも、少子化対策を国の基本にかかわる最重要政策課題とする一致した認識の下で、知恵と工夫をもって諸施策を強力に推進し、日本の未来と将来世代のために総力を傾注すること
を強調している。
こうした認識を、国や地方自治体、企業、地域団体、家族等、すべての組織・人々が共通のものとし、少子化対策の一層の推進に向けて取り組んでいくことが肝要である。
(児童・家族関係費の充実)
少子化対策の充実度合いを測るメルクマール(指標)には様々なものがあるが、社会保障給付費全体の中の児童・家族関係給付費の割合をみると、2004(平成16)年度において、全体で85.6兆円のうち3.6%、3.1兆円となっている。高齢者関係給付費は全体の70.8%、60.7兆円となっている。仮に、児童・家族関係給付費を15歳未満人口で除し、高齢者関係給付費を65歳以上人口で除すると、1人当たり給付費は、高齢者は約236万円であるのに対し、子どもは約17万円となる。
第1‐2‐7図のとおり、高齢化の進展に伴い、年金、高齢者医療費、老人福祉費等が増大してきたことから、高齢者関係給付費の増大は著しい。それに比べて、児童・家族関係給付費の伸びは小さい。1980(昭和55)年時点では、社会保障給付費に占める高齢者関係給付費の割合は43.4%、児童・家族関係給付費は4.5%であったが、2004年までの伸びが高齢者関係給付費は5.6倍であるのに対し、児童・家族関係給付費は2.8倍であったため、前述のとおり、社会保障給付費における構成比の差が拡大している。
第1‐2‐7図のとおり、高齢化の進展に伴い、年金、高齢者医療費、老人福祉費等が増大してきたことから、高齢者関係給付費の増大は著しい。それに比べて、児童・家族関係給付費の伸びは小さい。1980(昭和55)年時点では、社会保障給付費に占める高齢者関係給付費の割合は43.4%、児童・家族関係給付費は4.5%であったが、2004年までの伸びが高齢者関係給付費は5.6倍であるのに対し、児童・家族関係給付費は2.8倍であったため、前述のとおり、社会保障給付費における構成比の差が拡大している。
第1‐2‐7図 社会保障給付費における高齢者関係給付費と児童・家族関係給付費の推移

こうした状況の中で、近年、急速な少子高齢化の進行の中で世代間の公平を確保するとともに、制度を持続可能なものとする観点から、年金、医療、介護等の改革が相次いで実施され、この中で高齢者関係給付の見直しも進められてきた。一方、高齢者関係給付費との関係から、直ちに、児童・家族関係給付費がどの程度であるか定められるものではないが、本年6月、官房長官主宰の懇談会である「社会保障の在り方に関する懇談会」最終報告では、「社会保障給付費全体に占める高齢者関係給付費と児童・家族関係給付費の格差・バランスの見直しに取り組むことが必要である」と指摘している。
また、OECD諸国と比較をすると、わが国はGDPに対する児童・家族関係給付費の割合が全体で25番目である。アメリカを除けば、合計特殊出生率とGDPに対する児童・家族関係給付費の割合には相関関係がみられるところである。今後、財源の確保を図りつつ少子化対策を推進していきながら、「子育てフレンドリーな社会」を構築していくことが課題となっている。
第1‐2‐8図 各国の家族政策に関する財政支出の規模(対GDP比)
