4 地域の子育て支援拠点の整備

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(在宅育児が中心の乳幼児期)

 乳幼児期の子どもの居場所をみると、第1‐3‐11図のとおり、0歳児では全体の96%と、ほとんどの子どもが家庭内で親により育てられている。1歳、2歳になるにつれて、保育所の利用が増え、2歳児では4分の1は保育所を利用しているが、0~2歳児全体でみると、その85%は家庭において育児が行われている。3歳児になると、幼稚園の割合が高くなり、4歳児、5歳児では、幼稚園と保育所をあわせると、95%の子どもはこのいずれかに通っていて、これらの施設を利用しない育児は例外的となる。
第1‐3‐11図 就学前児童の居場所

 3歳未満児の85%が家庭で主に母親の手で育児されている現状をみると、家庭の中だけでの孤独な育児とならないように、いわゆる専業主婦の家庭も含め在宅育児に対する支援が必要である。孤立した子育てによる不安感や負担感の解消のために、親子が気軽に集える場としてのつどいの広場等の事業が重要である。また、保育所による一時預かりやファミリー・サポートセンター等の事業の拡充が必要である。「子ども・子育て応援プラン」では、地域における子育て支援拠点(地域子育て支援センターやつどいの広場)を2009(平成21)年度までに6,000か所整備、ファミリー・サポート・センターを710か所設置することを目標にしている14
14 地域子育て支援センターとは、地域の子育て家庭に対する育児支援を行うため、保育所等において、育児不安についての相談指導、子育てサークルへの支援等を行うもの。つどいの広場とは、概ね3歳未満の乳幼児とその親が気軽に集まり、相談、情報交換、交流等を行うもの。ファミリー・サポート・センターとは、乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として、保護者の病気や急用等の場合の子どもの預かりや保育施設までの送迎等の援助を受けることを希望する者と、その援助を行うことを希望する者との相互援助活動に関する連絡、調整を行うもの。

(地域における子育て支援サービスの充実)

 市町村における各種子育て支援事業の現状は、第1‐3‐12図のとおりである。
第1‐3‐12図 市町村における各種子育て支援事業の現状

 2期にわたるエンゼルプラン、2002(平成14)年度からの「待機児童ゼロ作戦」に基づき保育サービスを中心に地域における各種子育て支援サービスの拡充が図られてきている。しかし、保育ニーズの増加等により、どこでも十分にサービスが行きわたっている状況にはない。小学校区はもちろんのこと、中学校区のレベルにおいても、地域子育て支援センターやつどいの広場等の子育て支援施設がひとつもないところがあり、在宅育児を支援する環境はまだ不十分であるといわざるを得ない15。子育て中の親がベビーカーを押して歩いていけるような場所に支援施設が存在するなど、身近なところでの支援の充実が重要である。
 まず、待機児童ゼロ作戦についていえば、2002年度から2004(平成16)年度までに15万人の受入れ児童数の増加を計画し、保育所や幼稚園の預かり保育等を活用して、実際に3年間で15万6千人の増加が図られた。これにより保育所入所の待機児童数は2003(平成15)年度から3年連続で減少している。ただし、まだ都市部を中心に約2万人の待機児童が存在する。
 子どもの一時預かりに対する需要に対しては、保育所による一時保育やファミリー・サポート・センター事業があるが、後者は全国で448市町村の実施にとどまっており、拡大が必要である。病児・病後児保育、延長保育、夜間保育、障害児保育等に対する需要にも応えていく必要がある。
 新しい少子化対策では、「全家庭を対象とする地域における子育て支援拠点の拡充」として、つどいの広場や一時預かり施設等の身近な場所への設置を促進するほか、待機児童ゼロ作戦の更なる推進を図り、5年後には待機児童ゼロを目指すこととしている。また、病児・病後児保育、延長保育、夜間保育、障害児保育等の拡充を図ることとしている。
15 (財)こども未来財団の「平成15年度子育てに関する意識調査」によると、子育て中の父母の4分の3が、子育てへの地域や社会の支援は不十分であると答えている。

(認定こども園の活用)

 2004年度から、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の検討が進められてきたが、2006(平成18)年6月、国会で「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が成立したことにより、本年10月からこの法律に基づき、「認定こども園」制度が施行されている。
 認定こども園とは、幼稚園、保育所等のうち、〔1〕就学前の子どもに幼児教育、保育を一体的に提供する機能、〔2〕子育て相談や親子の集いの場の提供等、地域における子育て支援を実施する機能を備えて認定基準を満たし、都道府県から認定を受けた施設である。いわば幼稚園と保育所の双方の機能をあわせもった施設であり、保育に欠ける子も欠けない子も受け入れることとなる。また、利用手続きは利用者と施設との直接契約である。
 認定こども園の類型としては、「幼保連携型」(認可幼稚園と認可保育所とが一体的な運営を行うもの)、「幼稚園型」(認可幼稚園が保育所的な機能を備えるもの)、「保育所型」(認可保育所が幼稚園的な機能を備えるもの)、「地方裁量型」(幼稚園・保育所いずれの認可もない施設で、認定こども園としての機能を果たすもの)がある。
 認定こども園制度の施行により、乳幼児の保護者の多様なニーズに応え、幼稚園・保育所の枠組みを越えた柔軟な対応が行われることが期待されている。
 少子化の進行により、大学を受験する18歳人口が年々減少し、大学経営にとって厳しい時代を迎えている。一方で、大学院の定員の拡大や社会人学生の増大などから、子どもを持つ学生も増える傾向にある。
 こうした状況を反映して、大学が託児施設(保育所)を設置する動きがみられるようになった。
 たとえば、千葉大学(千葉市稲毛区)では、本年4月から大学直営の「やよい保育園」を開設している。現在当園の利用者は、社会人学生(女子)、留学生(男女)、教職員(男女)である。大学側は、保育環境を整えることで優秀な女性研究者が集まり、大学全体の教育研究の質の向上が図られることを期待している。このほか、名古屋大学(名古屋市千種区)や、北海道大学(札幌市北区)、東北大学(仙台市青葉区)、お茶の水女子大学(東京都文京区)、早稲田大学(東京都新宿区)等で、保育所が設置されている。
 また、昭和女子大学(東京都世田谷区)では、従来あった職員宿舎を改造して、昨年(2005年)
11月から、保育所「昭和ナースリー」を開設している。定員は30名で、職員は12名、副学長が理事長であるNPO法人が運営している。大学職員の子どもや学生の子どもはもちろんのこと、地域に開かれている点に特徴がある。大学が地域社会に貢献するための具体的な行動と位置づけており、同大学の施設では、世田谷区の委託を受けて、つどいの広場「スキップ」も開設されている。
 託児施設を設置して、子育て支援の場を提供しながら、学生の研究にも役立てようとする動きもみられる。たとえば、東大阪大学(大阪府東大阪市)の「子ども研究センター」や、甲南女子大学(神戸市)の「甲南子育てひろば」、梅光学院大学(山口県下関市)の「ほっとみーる」などがある。
 このように大学が託児施設を設置・運営等を行うことは、社会人学生の受け入れ促進、学生・職員等の学習・仕事と育児の両立支援になるばかりでなく、キャンパス内に乳幼児の姿がみられることは、一般の学生にとっても乳幼児にふれる機会が増え、子育てに関心を持つようになる等、大学が行う少子化対策として注目される。

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