第3節 その他の重要な対策
1 子育てを支援する税制等の検討
現在、子育て支援税制と名づけられたものはないが、関連するものとしては、扶養控除制度がある。子どもの場合、所得税では1人当たり38万円(住民税では33万円)の扶養控除がある。年齢が16歳以上23歳未満の場合には、所得税で1人当たり63万円(住民税では45万円)の特定扶養控除がある。
政府税制調査会では、少子化対策全体の議論の中で他の政策手段との関係も踏まえ、扶養控除について検討すべきとされている。
新しい少子化対策では、現行の扶養控除を見直し、それによる財源を用いて、就学期を含めた子どもに対する税額控除の導入、あるいは子育て家庭に対する給付や教育費の助成の拡大等について検討する。また、事業所内保育所の設置・運営や、育児休業の取得促進等、子育て支援に先駆的に取り組む企業に対する支援税制を検討することとしている。
政府税制調査会では、少子化対策全体の議論の中で他の政策手段との関係も踏まえ、扶養控除について検討すべきとされている。
新しい少子化対策では、現行の扶養控除を見直し、それによる財源を用いて、就学期を含めた子どもに対する税額控除の導入、あるいは子育て家庭に対する給付や教育費の助成の拡大等について検討する。また、事業所内保育所の設置・運営や、育児休業の取得促進等、子育て支援に先駆的に取り組む企業に対する支援税制を検討することとしている。
2 里親・養子縁組制度の促進と広報・啓発
(里親制度について)
里親制度とは、家庭的環境に恵まれない子どもを、個人の家庭に預けて、その温かい愛情と家庭的環境の中で養育する制度である。里親は、児童福祉法で「保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童(要保護児童)を養育することを希望する者であって、都道府県知事が適当と認めるもの」と定義されている。里親制度は、要保護児童のための社会的養護の一形態であり、児童福祉施設における施設養護に並ぶものである。
里親制度は1948(昭和23)年から実施されているが、長期にわたって、登録里親数、委託児童数等が減少傾向にあった。子どもの自立を支援していくためには家庭的環境での養育が望ましいことから、里親制度を積極的に推進していくため里親支援事業を創設するなどし、ここ数年では、登録里親数等が増加傾向にあり、2005(平成17)年度末時点で、登録里親数7,737人、委託里親数2,370人、委託児童数3,293人となっている。
また、近年、里親制度に関する法制度の整備が図られ、2002(平成14)年には、従前の養育里親(家庭に恵まれない子どもを養育する里親)、短期里親(1年以内の期間を定めて養育する里親)に加え新たに、親族里親(保護者の死亡等の理由により保護が必要となった3親等内の親族である子どもを養育する里親)、専門里親(2年以内の期間を定めて、虐待を受けた子どもに対しきめ細かな養育を行う里親)の制度化が図られるとともに、2005年には、里親の監護・教育・懲戒に関する権限が児童福祉法上明確化された。
里親に対する支援としては、里親手当等が支弁されるほか、里親の一時的な休息のための援助(レスパイト・ケア)や、里親及び児童の養育について基礎的な知識・技術の習得を図る里親研修事業、里親の求めに応じて生活支援や相談支援を行う里親養育援助事業等が行われている。
里親制度は1948(昭和23)年から実施されているが、長期にわたって、登録里親数、委託児童数等が減少傾向にあった。子どもの自立を支援していくためには家庭的環境での養育が望ましいことから、里親制度を積極的に推進していくため里親支援事業を創設するなどし、ここ数年では、登録里親数等が増加傾向にあり、2005(平成17)年度末時点で、登録里親数7,737人、委託里親数2,370人、委託児童数3,293人となっている。
また、近年、里親制度に関する法制度の整備が図られ、2002(平成14)年には、従前の養育里親(家庭に恵まれない子どもを養育する里親)、短期里親(1年以内の期間を定めて養育する里親)に加え新たに、親族里親(保護者の死亡等の理由により保護が必要となった3親等内の親族である子どもを養育する里親)、専門里親(2年以内の期間を定めて、虐待を受けた子どもに対しきめ細かな養育を行う里親)の制度化が図られるとともに、2005年には、里親の監護・教育・懲戒に関する権限が児童福祉法上明確化された。
里親に対する支援としては、里親手当等が支弁されるほか、里親の一時的な休息のための援助(レスパイト・ケア)や、里親及び児童の養育について基礎的な知識・技術の習得を図る里親研修事業、里親の求めに応じて生活支援や相談支援を行う里親養育援助事業等が行われている。
(養子縁組制度について)
養子縁組制度とは、親とその嫡出子との間の親子関係と同一の法律関係を当事者の間で成立させる制度である。民法に基づき当事者間の合意(未成年者の場合には原則として家庭裁判所の許可が必要)に基づく届出で成立する。
この一般の養子制度に加えて、1987(昭和62)年の民法改正により、特別養子制度が創設された。これは養子の利益を図ることを目的としたもので、一般の養子制度と異なる主な点は、〔1〕養親となる者の請求に基づき、家庭裁判所の審判によって成立する、〔2〕成立条件は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当その他特別の事情がある場合において、子の利益のために特に必要があると認めるときと限定されている、〔3〕養親となれる者は原則として25歳以上の婚姻中の者に限定されている、〔4〕原則として実の父母の同意が必要、〔5〕特別養子縁組によって、養子と実の父母との親権、相続権等の関係は終了する、等である。
なお、一般の養子縁組は、年間8万から9万件くらいあるが、特別養子縁組はそれに比べてはるかに少ない件数となっている。
この一般の養子制度に加えて、1987(昭和62)年の民法改正により、特別養子制度が創設された。これは養子の利益を図ることを目的としたもので、一般の養子制度と異なる主な点は、〔1〕養親となる者の請求に基づき、家庭裁判所の審判によって成立する、〔2〕成立条件は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当その他特別の事情がある場合において、子の利益のために特に必要があると認めるときと限定されている、〔3〕養親となれる者は原則として25歳以上の婚姻中の者に限定されている、〔4〕原則として実の父母の同意が必要、〔5〕特別養子縁組によって、養子と実の父母との親権、相続権等の関係は終了する、等である。
なお、一般の養子縁組は、年間8万から9万件くらいあるが、特別養子縁組はそれに比べてはるかに少ない件数となっている。
(里親・養子縁組制度の促進と広報・啓発)
近年の児童虐待件数の増大等から、児童相談所との連携のもとに、要保護児童を家庭的環境の中で養育する里親制度の重要性が増している。「子ども・子育て応援プラン」では、里親の拡充のために、里親に対する支援を充実して、里親への委託児童数の増加を図ることとし、2009(平成21)年度までに、児童養護施設、乳児院、里親に措置された児童のうちの里親への委託率を15%(2003(平成15)年度では8.1%)とする目標値を設定している。
なお、里親申込者の動機をみると、「子どもを育てたいから」(33.6%)、「児童福祉への理解から」(32.3%)、「養子を得たいため」(29.8%)の順22となっており、養子縁組制度との関係も深い。
新しい少子化対策では、里親制度や養子縁組制度の普及・促進と広報・啓発活動に努めることとしている。
なお、里親申込者の動機をみると、「子どもを育てたいから」(33.6%)、「児童福祉への理解から」(32.3%)、「養子を得たいため」(29.8%)の順22となっており、養子縁組制度との関係も深い。
新しい少子化対策では、里親制度や養子縁組制度の普及・促進と広報・啓発活動に努めることとしている。
22 平成15年2月1日現在「児童養護施設入所児童等調査結果」による。
3 地域の子育て支援のための人材育成
(地域における人材育成の重要性)
つどいの広場やファミリー・サポート・センター、保育所における地域子育て支援センター等の地域の子育て支援拠点の大幅な量的拡充とともに、こうした地域の拠点施設の運営を支えていくような子育て支援人材の育成を強化し、「地域の育児力」の向上を図ることが重要である。
子育て支援の人材としては、子育て経験がある主婦をはじめ、学生のボランティア、さらには、定年退職後職場から地域に戻ってくると予想される大量の「団塊の世代」の退職サラリーマンが想定される。こうした退職サラリーマンが、人生や職業で培ってきた能力を地域の子育て支援に発揮できるようなシステムが必要である。
市町村や社会福祉協議会、NPO等において、これらの人々を対象にした研修を行い、地域における子育て・家族支援者を養成し、子育て家庭の身近なところで、相談・アドバイス・育児支援等が行われることが望ましい。
また、学生の家庭支援ボランティアやベビーシッターの育成は、地域の子育て支援の人材育成という観点ばかりでなく、学生が生命や家族の価値と向き合う機会の増大、さらには、将来親になったときにも役に立つという点で意義深い。
地域子育て支援の取組は、地域内相互支援や次世代育成支援、異世代交流、まちづくりの視点へと広がっていく可能性がある。
新しい少子化対策では、こうした地域における子育て支援者の育成や、学生ベビーシッターの推奨、地域の退職者、高齢者等の人材活用による世代間交流の推進等を図ることとしている。
特定非営利活動法人びーのびーのは、横浜市港北区で、子育て世代が身近に集える商店街などに子育て支援拠点の場(つどいの広場)を開設し、地域の退職サラリーマン、シニアボランティア、さらには学校と連携のもと、学生のボランティアを育成し、子育て家庭支援の輪を広げることで、地域の育児力向上に効果を発揮している。学生に集いの広場のボランティアとして活動してもらうほか、家庭訪問ボランティアとして、1年目には5家庭へ10名の学生が2人ペアで訪問を始め、続いて行政との協働事業となり、冬休みを中心とした活動で継続したところも含めて13家庭、学生19名が参加して活動が行われた。
子育て支援の人材としては、子育て経験がある主婦をはじめ、学生のボランティア、さらには、定年退職後職場から地域に戻ってくると予想される大量の「団塊の世代」の退職サラリーマンが想定される。こうした退職サラリーマンが、人生や職業で培ってきた能力を地域の子育て支援に発揮できるようなシステムが必要である。
市町村や社会福祉協議会、NPO等において、これらの人々を対象にした研修を行い、地域における子育て・家族支援者を養成し、子育て家庭の身近なところで、相談・アドバイス・育児支援等が行われることが望ましい。
また、学生の家庭支援ボランティアやベビーシッターの育成は、地域の子育て支援の人材育成という観点ばかりでなく、学生が生命や家族の価値と向き合う機会の増大、さらには、将来親になったときにも役に立つという点で意義深い。
地域子育て支援の取組は、地域内相互支援や次世代育成支援、異世代交流、まちづくりの視点へと広がっていく可能性がある。
新しい少子化対策では、こうした地域における子育て支援者の育成や、学生ベビーシッターの推奨、地域の退職者、高齢者等の人材活用による世代間交流の推進等を図ることとしている。
特定非営利活動法人びーのびーのは、横浜市港北区で、子育て世代が身近に集える商店街などに子育て支援拠点の場(つどいの広場)を開設し、地域の退職サラリーマン、シニアボランティア、さらには学校と連携のもと、学生のボランティアを育成し、子育て家庭支援の輪を広げることで、地域の育児力向上に効果を発揮している。学生に集いの広場のボランティアとして活動してもらうほか、家庭訪問ボランティアとして、1年目には5家庭へ10名の学生が2人ペアで訪問を始め、続いて行政との協働事業となり、冬休みを中心とした活動で継続したところも含めて13家庭、学生19名が参加して活動が行われた。
第1‐3‐18図 (事例) 特定非営利活動法人びーのびーのの活動
