第4章 働き方の改革

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第1節 働き方の現状と課題

1 新しい少子化対策の柱としての「働き方の改革」

(子どもを安心して生み育てることが難しい従来の働き方)

 「新しい少子化対策」では、子どもの成長に応じた子育て支援とともに、「働き方の改革」が大きな柱とされている。なぜ、少子化対策において「働き方の改革」が重要なのだろうか。
 1990(平成2)年の1.57ショック以降、様々な少子化対策が進められてきたにもかかわらず、少子化の進展に歯止めがかからない原因として、子育て支援サービスが身近で利用できるほど十分に行きわたっていないことや、若者が経済的に自立することが難しい社会経済状況であることとともに、働き方の見直しに関する取組が進んでいないといった社会的な背景が指摘されている。
 育児休業制度や育児期の短時間就労等、子育てを支援する制度が整備されても、長時間労働等、家庭や生活よりも職場や仕事を優先する従来の働き方が根強い職場環境においては制度の利用が進まず、若い世代が子どもを生み育てやすい環境整備が進んだという実感を持つことができていないものと考えられる。

(ワーク・ライフ・バランスを実現するための「働き方の改革」)

 若い世代が子どもを生み育てやすい環境を作るためには、従来の働き方を見直し、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)が可能な働き方ができるように、職場全体の働き方や雰囲気を変えていく「働き方の改革」が必要である。
 その際、職場の中で子育て世代だけを特別に配慮するのではなく、幅広い世代がワーク・ライフ・バランスを実現できるようにすることにより、子育て期の勤労者にとっても育児休業等の様々な子育て支援策を利用しやすくなると考えられる。
 そのためには、育児ばかりでなく、介護や自己啓発、社会貢献活動等と仕事との両立の促進を図り、すべての勤労者が様々な生活ニーズや価値観に合わせて、短時間勤務やフレックスタイム制、在宅勤務等、柔軟な働き方を選べるようにしていくことが重要である。
 また、働き方の見直しは、未婚者が職場以外での出会いの機会を広げる効果や、従業員の人的ネットワークの広がりや時間的余裕による創造力の向上、ひいては企業の生産性向上や競争力向上につながることも期待できる。
1 ワーク・ライフ・バランス(work-life balance)とは、勤労者が仕事と生活のどちらか一方のみではなく、ともに充実感をもてるように双方の調和を図ることをいう。

(国民的な働き方の改革が必要)

 勤労者がワーク・ライフ・バランスを実現し、企業や経済社会の発展にもつながるような「働き方の改革」を進めていくためには、企業経営者や勤労者自身の意識改革と行動の変化が必要である。そのためには、政府のみならず、企業経営者、従業員、地域等の関係者が一体となって国民的な運動を推進することが重要である。
 本章では、「働き方の改革」を進めていくために、現状の働き方の問題点と課題を踏まえつつ、企業における自主的な取組の現状を分析しながら、働き方の改革を推進していくための国民的な運動の在り方を考えるための視点を提示する。

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