3 働き方の改革の効果

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(最も大きな効果は、女性従業員の定着と人材活用)

 働き方の改革は、企業にどのような効果をもたらすのだろうか。
 アンケート調査で、両立支援策の導入による経営への効果を聞いたところ、短期・長期ともに、「女性従業員の定着率が向上した」(短期:38.0%、長期:41.2%、「大きな効果や変化があった+ある程度の効果や変化があった」の合計)と「意欲や能力のある女性の人材活用が進んだ」(短期:25.4%、長期:27.2%)の2つが上位にあげられた。このほかに、「従業員同士が助け合う雰囲気や一体感が醸成された」(短期:23.5%、長期:24.0%)等の効果があげられている。
第1‐4‐17図 両立支援策導入・実施による効果・変化

(長期的な取組により効果が高まる)

 経営への効果は、短期的(5年未満)よりも長期的(5年以上)な効果が評価されている。短期的な効果よりも長期的な効果の回答が多いものは、女性の人材関連や職場の雰囲気のほかに、「育児経験により視野が広がった」(短期:18.7%、長期:19.1%)、「企業や職場への従業員の愛着や信頼が高まった」(短期:16.8%、長期:18.1%)、「仕事の進め方の効率化や業務改善に役立った」(短期:16.2%、長期:16.8%)などの項目がみられる。
 「総体的に経営にとって効果があった」とする質問についても、短期的には「効果や変化があった」(14.1%:「大きな効果や変化があった+ある程度の効果や変化があった」の合計)よりも、「効果や変化がなかった」(19.4%:「あまり効果や変化はなかった+ほとんど効果や変化はなかった」の合計)のほうが多い。しかし、長期的ではこれが逆転し、「効果や変化があった」(16.6%)のほうが「効果や変化がなかった」(15.2%)よりも多くなっており、長期的な視点からの取組がより効果的であることがうかがえる。

(職場全体の活性化にも効果)

 先進企業へのヒヤリング調査では、従業員の士気の向上や会社に対する忠誠心の向上など、「従業員満足度の向上」が最も多くあげられた。その他、優秀な人材や女性人材の定着、人材育成のコスト低減と高密度化、採用応募者の量・質の向上、企業イメージ・評価の向上といった効果があげられた。

事例

  • ワーク・ライフ・バランス施策導入後に不良品率が劇的に低下((株)カミテ)
     一連のワーク・ライフ・バランス施策導入以前の不良品率は製品10万個当たり1,000個程度であったが、現在では同30個を下回っている。
     不良品の防止には、従業員のやる気、従業員同士のコミュニケーションの良さが非常に重要であり、ワーク・ライフ・バランス施策が職場の雰囲気を改善し従業員の士気を高めたことが効果を上げたものと考えられる。
  • 従業員が安心して働け、ロイヤルティが向上(富士ゼロックス(株))
     実際にワーク・ライフ・バランス施策への取組を進めてきた過去15年ほどの間に女性の勤続年数が伸びており、人的資源やノウハウの蓄積が高まっているといえる。
     育児や介護など家族の問題が何かあった際に使える制度があるということで、従業員が安心して働け、社に対するロイヤルティが向上するといった効果があると考えられる。
  • 新人育成のコストが低減、OJTが高密度化((株)イノス)
     ワーク・ライフ・バランス施策の効果として最も大きいのは、従業員の平均勤続年数が延び、離職者が減少したために、採用しなければならない学生の数を減らすことができ、新人を育成するコストを抑えることができたことである。従来は全従業員数の1割程度を新人として採用していたが、その数を減らすことができた。
     また、採用する人数が減ったため、一人ひとりの新人に先輩従業員が接する時間も長くなり、先輩から後輩へのOJTの密度が高くなったため、新人従業員の能力の伸びも速くなっているように感じられる。
  • 会社説明会に集まる学生の量・質が向上((株)ふくや)
     会社説明会への学生の参加状況が変わってきた。かつては1回当たり40~50人しか集まらないこともあったが、近年は150~200人集まるようになっている。また学生からの質問内容も変わってきており、なぜISOを取得しているのかといった理念に関する質問も出てきている。女性だけではなく、男性応募者の質も向上していると感じられる。
資料:内閣府「少子化社会対策に関する先進的取組事例研究」(2006年3月)

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