第2節 社会全体の意識改革のための今後の取組

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 わが国では、前述したとおり、経済成長に伴い、従来子育てにおいて重要な役割を果たしてきた家族の絆、地域の絆が希薄化し、地域社会全体で子育てを支援するという機能が弱まってきているのではないかと考えられる。
 2006(平成18)年6月に少子化社会対策会議において決定された「新しい少子化対策について」では、子どもの成長に応じた総合的な子育て支援策及び働き方の改革における具体的な支援施策の強化、拡充とあわせ、長期的な視点に立って、家族・地域の絆を再生する国民運動、社会全体で子どもや生命を大切にする運動といった国民運動の推進を掲げている。
 以下では、「新しい少子化対策について」に掲げられた社会全体の意識改革を促す施策について説明する。これらの取組を国、地方自治体、企業、住民団体等が一体となって推進していくことにより、子どもを持つことの喜び、妊産婦に対するいたわり、子育て家庭に対する支援と協力、家族の持つ価値の重要性、地域社会の連帯感等をみんなで共有し、子育て支援策の充実や働き方の改革とあいまって、誰もが子どもを生み育てやすいと感じることができるような社会への変革が期待される。

(社会全体の意識改革の必要性)

 出生率の向上のためには、様々な施策を組み合わせて総合的に推進する必要があるが、子どもを家族が育み、家族を地域社会が支えるという社会であってこそ、こうした各種支援策が効果を発揮することから、家族の絆や地域の絆を強化するため、国、地方自治体、企業、地域社会等が連携の下で社会全体の意識改革に取り組むことが重要であるとしている。

(家族・地域の絆を再生する国民運動)

 家族・地域の絆を再生する国民運動の具体的な施策として、〔1〕「家族の日」や「家族の週間」を制定し、家族での団らんの機会や町内会等での行事に参加するなど、家族や地域の人々が相互の絆をより深める機会を設けること、〔2〕家族・地域の絆に関する国、地方自治体による行事を開催し、各種事例の表彰や家族や生命の継承の重要性、結婚・出産の意義等の啓発を行うこと、〔3〕働き方の見直しについて労使の意識改革を促す国民運動を実施し、「仕事と生活の調和」の実現を目指すこと、などを掲げている。
4 既に地方自治体において「家庭の日」の運動事業がある。これは、1960年代に都道府県等において始まったもので、条例や要綱により「家庭の日」を設定して、明るく健全な家庭づくりを進める運動であり、現在に至っている。毎月第3日曜日を「家庭の日」に制定している自治体が多い。また、リーフレットの作成や絵画・ポスターの募集・表彰等を行ったり、静岡県や東京都、名古屋市等のように「家庭の日」に文化・レジャー施設の入場料割引となる優待制度を設けたりしている自治体もある。

(社会全体で子どもや生命を大切にする運動)

 社会全体で子どもや生命を大切にする運動の具体的な施策として、〔1〕妊娠時期において仕事の休暇をできることや、マタニティマークの広報・普及、〔2〕インターネット、携帯電話を通じた子どもに対する有害情報の流通への注意と有用な情報の提供の推進、〔3〕全国の小・中・高等学校における、生命や家族の大切さ、保育体験を含む子育て理解の推進、家庭や地域における、明日の親となる子どもたちを対象とする家庭講座の実施など、子どもを生み、育てることの喜びや意義、家族の大切さ等についての理解を深める取組の推進、などを掲げている。
5 地方自治体においても同様の取組が行われている。例えば三重県では、「Baby in Me」(ベイビー・イン・ミー)という妊娠中であることを他人にさりげなく示すバッジをつける運動を実施している。また、埼玉県では県内全域においてすべての妊婦にマタニティマークを配布し積極的な取組を展開している。

(コラム)マタニティマークについて

 厚生労働省では、21世紀の母子保健分野の国民運動計画である「健やか親子21」の取組の一環として、妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保を目指し、2006(平成18)年2月に「マタニティマーク」を決定し、国土交通省や経済産業省等との連携の下、自治体、企業、NPO法人、個人の方などによるマタニティマークの自由な利用を通じて、国民への周知を図る取組を始めている。
 マークは、妊産婦が交通機関等を利用する際に身につけ、周囲に妊産婦であることを示しやすくするものである。さらに、交通機関、職場、飲食店等が、呼びかけ文を付してポスターなどとして掲示し、妊産婦にやさしい環境づくりを推進している。
 また、マタニティマークの趣旨に賛同する首都圏の鉄道事業者16社局(小田急電鉄、京王電鉄、京成電鉄、京浜急行電鉄、相模鉄道、西武鉄道、東京急行電鉄、東京メトロ、東京都交通局、東武鉄道、JR東日本、江ノ島電鉄、埼玉高速鉄道、東葉高速鉄道、箱根登山鉄道、北総鉄道)では、各駅等でのマタニティマークの無償配布や周知ポスターを掲示する取組を、2006年8月1日から厚生労働省及び国土交通省の後援により進めている。
 未来のお母さんと赤ちゃんにやさしい環境づくりが進められており、社会全体の思いやりや気遣いが求められている。
第1‐5‐17図 各駅等で無償配布するマタニティマーク(直径5cm)

第1‐5‐18図 各駅等に掲示するマタニティマーク周知ポスター(B1判)

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