第3節 アジアの少子化の動向

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1 アジアにおける出生率の動向

(アジアにおける人口と出生率の状況)

 アジアは世界で最も人口が多い地域である。その中には、中国やインドのように国土が広い国であるが、シンガポールのように、1つの都市が国家を形成している国もある。そうしたさまざまな規模の国土を持つ国や地域に多くの人々が住んでいる。そこで、主なアジアの国や地域の人口、出生率の現状をみるとどのようになるのだろうか。
 まず、2005年現在の人口規模をみると、これらの国や地域の中で最も人口が多いのは中国の13.2億人であり、インドの11.0億人がこれに次いでいる。この他に人口が1億を超える国として、インドネシア(2.2億人)、パキスタン(1.5億人)、バングラデシュ(1.4億人)があり、わが国はそれに次ぐ1.2億人となっている。人口が数千万の規模の国や地域も多く、ベトナム(8,424万人)、フィリピン(8,305万人)、タイ(6,423万人)、ミャンマー(5,052万人)、韓国(4,829万人)はヨーロッパでいえば、ドイツ(8,269万人)やフランス(6,050万人)、そしてイギリス(5,967万人)に相当する規模となっている。また、マレーシア(2,535万人)、台湾(2,277万人)、北朝鮮(2,249万人)では、2,000万人を超える規模となっている。このようにアジアには人口規模の大きな国や地域が多いことがわかる。
 次に、出生率の現状を合計特殊出生率の水準(2004年、一部は2005年)でみると、これらの国や地域の中で、最もこの水準が高いのは、ラオスの4.7であり、パキスタンの4.1、カンボジアの4.0がこれに続いている。合計特殊出生率が3.0以上4.0未満の国は、バングラデシュ(3.2)、フィリピン(3.1)、インド(3.0)となっている。その一方で合計特殊出生率が2.1を下回る国や地域が存在し、香港(0.97)が最も低く、韓国(1.08)、台湾(1.12)、シンガポール(1.24)がこれに続いている。わが国は1.25とシンガポールを若干上回る程度の水準となっている。なお、一人っ子政策を実施している中国は1.7となっている。このように、アジアでは、合計特殊出生率が高い国がある中、東アジアの主要な国や地域では超少子化ともいえる状況が発生している。
第1‐補‐5表 アジアの主な国・地域の人口及び合計特殊出生率
国・地域
人口(1,000人)
(年次)
合計特殊出生率
(年次)
東アジア 日本
127,757
2005年
1.25
2005年
中国
1,323,345
2005年
1.70
2004年
韓国
48,294
2005年
1.08
2005年
北朝鮮
22,488
2005年
2.00
2004年
モンゴル
2,646
2005年
2.40
2004年
(香港)
694
2005年
0.97
2005年
(台湾)
22,770
2005年
1.12
2005年
東南アジア インドネシア
222,781
2005年
2.30
2004年
マレーシア
25,347
2005年
2.80
2004年
フィリピン
83,054
2005年
3.10
2004年
シンガポール
4,351
2005年
1.24
2005年
タイ
64,233
2005年
1.90
2004年
ブルネイ
374
2005年
2.40
2004年
ベトナム
84,238
2005年
2.30
2004年
ラオス
5,924
2005年
4.70
2004年
ミャンマー
50,519
2005年
2.30
2004年
カンボジア
14,071
2005年
4.00
2004年
南アジア インド
1,103,371
2005年
3.00
2004年
パキスタン
157,935
2005年
4.10
2004年
バングラデシュ
141,822
2005年
3.20
2004年
資料:日本は総務省統計局「国勢調査」、厚生労働省「人口動態統計」、韓国は韓国統計庁資料、香港は香港統計局資料、台湾は内政部資料、シンガポールはシンガポール統計局資料。その他の国・地域はWHO(世界保健機構)資料による。
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(アジアの主な国・地域における出生率の動き)

 上でみたように、出生率の低下は、わが国や欧米諸国だけの現象ではなく、アジアでも起きている現象である。そこで、上記の国や地域の中から、東アジア及び東南アジアにおいて経済成長が著しく、時系列データの利用が可能な韓国、台湾、香港、シンガポールおよびタイの合計特殊出生率の動きをみてみよう。
 1970年の合計特殊出生率の水準をみると、わが国が2.13であったのに対して、タイが5.02、韓国が4.50、台湾が4.00であり、当時の全世界平均(1970~75年平均:4.48)に近い水準にあった。また、香港、シンガポールでもそれぞれ3.29、3.10とわが国を大きく上回っていた。その後、これらの国々でも合計特殊出生率は低下していった。その結果、2005年の合計特殊出生率をみると、タイが1.90(2004年)、韓国が1.08、台湾が1.12、シンガポールが1.24、香港が0.97となっている。タイを除けば、わが国(2005年の1.25)の水準を下回っており、特に韓国は1にきわめて近い水準にあり、香港も同じ年の東京都(0.98)に匹敵する水準である。
第1‐補‐6図 アジアの主な国・地域における合計特殊出生率の動き

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