第3節 体験を通じ豊かな人間性を育成する

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1 豊かな人間性を育むための奉仕活動・体験活動の推進

 近年、少子化の進展、家庭や地域社会の教育力の低下などの様々な問題が指摘される中、特に、子どもたちの精神的な自立の後れや社会性の不足が顕著になっている。
 このことから、次世代を担う子どもたちが、規範意識や社会性、他人を思いやる心などを身に付け、豊かな人間性を育むよう、発達段階などに応じた様々な奉仕活動・体験活動の機会を充実させることが求められている。
 このため、2001(平成13)年7月には、学校教育法(昭和22年法律第26号)と社会教育法(昭和24年法律第207号)を改正し、ボランティア活動や社会奉仕体験活動、自然体験活動などの体験活動の充実を図ることが明確化された。これとともに、地域や学校等において、子どもたちが様々な体験活動を行う機会を拡大するために次のような取組を実施している。

(1)地域や学校における奉仕活動・体験活動の推進

ア 地域におけるボランティア活動の推進
 国民一人ひとりが日常的にボランティア活動を行い、相互に支え合うような地域社会の実現を目指して、2005(平成17)年度から、子どもから大人、高齢者までの幅広い年代にわたって、地域の多様な分野におけるボランティア活動の全国展開を行う機会を提供する「地域ボランティア活動推進事業」を実施している。各地域では、公園や道路などでの清掃ボランティアや図書館での読み聞かせボランティアなど、地域の実情に応じた多様なボランティア活動が行われている。
 また、ボランティア活動推進フォーラムの開催や、子どもたちに親しみのあるアニメキャラクターを活用したポスターを作成するなど、国民のボランティア活動に対する理解や関心を深め、活動への積極的な参加を促す「ボランティア活動広報啓発・普及事業」を実施している。
イ 地域における体験活動等の推進
 心身ともにたくましい次世代を担う子どもたちを社会全体で育むために、2004(平成16)年度から「地域子ども教室推進事業」を実施し、学校の余裕教室や校庭等に安全・安心して活動できる子どもの活動拠点(居場所)を設け、地域の大人の協力を得て、放課後や週末等における様々な体験活動や地域住民との交流活動等を行っている(※詳しくは第4章 第2節 2参照)。
 また、2004年度から、問題を抱える青少年の立ち直りの支援策として、地域の民間団体等と連携・協力し、体験活動などを行うことができる継続的活動の場(居場所)を構築する事業を実施している。
 このほか2002(平成14)年度からは、子どもたちの豊かな人間性を育むため、関係省庁と連携し、地域の身近な環境をテーマに体験活動を行う事業を実施している。
 さらに、2005年度からは、ひきこもりなどの青年が社会体験に参加することを支援する事業や、子どもが主体的に考える過程を重視した自然体験や生活体験等の体験活動の機会を提供する事業を、2006(平成18)年度からは、いわゆるニートなどの悩みを抱える青少年に対する体験活動の機会を提供する事業を実施している。
ウ 学校における奉仕活動・体験活動の推進
 小・中・高等学校等においては、2002年度から「豊かな体験活動推進事業」を実施し、他校のモデルとなる体験活動を行うとともに、その先駆的な取組を広く全国の学校に普及させ、全国の小・中・高等学校等での多様な体験活動の展開を推進している。
「地域子ども教室」実施風景(沖縄県)

(2)文化活動を中心とした体験活動の推進

 子どもたちが文化活動に参加したり、優れた芸術文化や歴史的な文化の所産に触れることにより、豊かな感受性と多様な個性を育むよう、次の施策を実施している。
ア 本物の舞台芸術に触れる機会の確保
 感受性豊かな子どもの育成を図るため、学校や公立文化会館などにおいて優秀な舞台芸術や伝統芸能に直に触れる機会を提供している。2005年度は707公演を実施し、2006年度は665公演を実施する予定である。
イ 学校の文化活動の推進
 子どもたちに芸術への感心を高めてもらうことを目的に、非常に優れた活動を行っている芸術家や伝統芸能の保持者等を出身地域の学校に派遣し、自らの技を披露してもらうとともに、文化活動のすばらしさや地域の誇りなどを語ってもらうなどの取組を推進している。2005年度は487校へ講師を派遣し、2006年度は419校へ講師を派遣する予定である。その他、全国高等学校総合文化祭を2005年度は7月に青森県で、2006年度は8月に京都府で開催した。
ウ 文化体験プログラム支援事業
 子どもたちの豊かな人間性と多様な個性を育むことを目的として、子どもたちが日常の生活圏の中で、年間を通じて地域の特色ある様々な文化に触れ、体験できるプログラムを作成し、実施している。2005年度は99地域で実施し、2006年度は131地域で実施する予定である。
エ 「文化芸術による創造のまち」支援事業
 全国の文化水準の向上のため、地域における文化芸術活動の環境の醸成と人材の育成及び次代を担う子どもたちが参加する文化活動の活性化を図っている。2005年度は111事業を実施し、2006年度は110事業を実施する予定である。
オ 伝統文化こども教室
 次世代を担う子どもたちに対し、土・日曜日などにおいて学校、文化施設等を拠点とし、茶道、華道、日本舞踊、伝統音楽、郷土芸能等の伝統文化に関する活動を、計画的、継続的に体験・修得できる機会を提供している。2005年度は2,595事業、2006年度は3,365事業を採択している。

(3)自然とのふれあいの場や情報提供等

 優れた自然の風景地である国立公園等において、子どもたちに自然や環境の大切さを学んでもらえるよう、自然保護官(レンジャー)やパークボランティアの指導・協力のもと、自然の中でのマナーの習得、自然環境の復元維持活動などを行う機会を提供する「子どもパークレンジャー事業」を実施している。
 また、各国立公園における自然観察会の開催や自然観察の森など身近な施設での自然学習を促進するための「自然ふれあいガイドブック」を作成するなど、自然体験活動プログラムの提供を行うとともに、「インターネット自然研究所」などのウェブサイトにより、様々な自然とのふれあいの場やイベント等に関する情報を幅広く提供している。
 さらに、子どもたちが地域の中で楽しみながら自主的に環境保全活動・環境学習を行うことを支援する「こどもエコクラブ事業」を地方自治体や企業等と連携のもと推進し、自然観察や水質調査などの環境学習やリサイクル活動などの環境保全活動に参加する機会を提供している(2005年度末登録数:4,014クラブ、110,236人)。
こどもエコクラブ全国フェスティバルinかめやま(三重県)

(4)農林水産業の体験

 子どもたちが農業・農村に親しみを感じる機会を充実するため、体験活動受け入れ可能な農林漁業者・団体の連絡先や体験内容等の情報をインターネットで提供しているほか、農業体験活動に取り組む小中学生等のグループがお互いの体験、感想、情報等を全国的に交換できるネットワークである「子どもファーム・ネット」を2005年に設立したところである。
 また、各地域において森林内での学習活動やボランティア活動を行っている「緑の少年団」活動、親子や子どもたちによる森林ボランティア活動などに対し支援を行っている。
 入門的な森林体験活動等を行う機会を提供するため、体験学習の場となる森林や指導者の募集・登録、森の子くらぶ受入体制の整備及び国有林野の提供、森林環境教育活動推進のための支援体制の整備に対する助成を行っている。
 学校内外活動の一環として実施される、体験漁業、自然環境等の体験活動は、海や水産業、漁村に関する子どもたちの理解を深めるうえでの、重要なものであり、学習活動の推進や普及活動への支援と体験活動の場の整備を行うとともに、体験活動促進のための漁村の受入体制の整備や都市漁村交流の啓発普及活動等の支援を実施している(体験活動の場となる漁村体験学習施設等を6か所整備)。
農業・農村体験:千歯こきに挑戦する子どもたち(長野県)

(5)都市と農山漁村との交流体験

 青少年の農山漁村等における自然体験活動を推進するための都市と農村の交流活動や農業を通した体験学習を2002年度から実施している。
 また、2005年度からは「山村留学」を推進するための「短期山村留学」、2006年度からは都市と農山漁村等の青少年が相互に行き交い、農林水産業体験や自然体験などを通して社会性や主体性を育む交流体験活動等を実施している。
 さらに、高校生が一定期間山村に滞在して取組む下刈り、除伐等の森林整備・保全活動の機会を提供している。
 子どもたちの漁村における中長期的な体験活動の普及を図るため、取組方法や留意点等の情報を提供している。

(6)子どもの遊び場の確保

 子どもが身近な自然に安心してふれあうことができ、子ども同士でできるだけ自由に遊べる場所を地域に確保することは、子どもの健全な育成のために重要である。
 子どもの身近な遊び場としての役割が求められる都市公園については、子どもの身近で安全な遊び場として歩いて行ける範囲の公園整備を推進するとともに、各種運動施設や遊戯施設等を有し、手軽にスポーツやレクリエーションを楽しむことができる総合的な公園などの整備を行っている。
下水処理場の上部空間を活用して整備された水辺空間(東京都落合処理場)

 また、都市部にある下水処理場の上部空間や雨水排水路などを活用した水辺空間の整備を進めるとともに、下水処理水を都市部のせせらぎ水路の水源として送水する等の取組みにより、都市内において子どもたちが水とふれあう場の整備を行っている。
 河川空間については、身近な水辺等における環境学習・自然体験活動を推進するため市民団体や教育関係者、河川管理者等が一体となった取組体制の整備とともに、水辺での活動に必要な機材(ライフジャケット等)の貸出しや学習プログラムの紹介など、水辺での活動を総合的に支援する仕組みを構築し、必要に応じ、水辺に近づきやすい河岸整備等(水辺の楽校プロジェクト:平成17年度末249か所登録)を行う『「子どもの水辺」再発見プロジェクト』(平成17年度末227か所登録)を実施している。
水辺の楽校プロジェクト(神奈川県川崎市 多摩川水系多摩川)

 森林については、子どもたちの「生きる力」を育む森林体験活動の場として、里山林等において、森林環境教育、林業体験学習に活用する、森林・施設の整備を行っている。
 また、国有林野においては、優れた自然景観を有し、森林浴や自然観察、野外スポーツ等に適した森林を「レクリエーションの森」に選定し、広く国民に提供している。
 海岸については、青少年等が海辺における自然体験活動を安全に楽しめ、また、都市・農漁村及び世代間の交流の場となる海岸を創出することを目的とした「いきいき・海の子・浜づくり」を全国32か所にて実施し、安全で良好な自然・景観を有する海岸空間の形成を図るとともに、自然体験活動等に利用しやすい海岸づくりを推進している。

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