第14節 子育てバリアフリーなどを推進する

[目次]  [戻る]  [次へ]


1 ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進

 国土交通省では、子どもから高齢者までのすべての世代や外国人を対象に想定し「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方で、公共交通機関や主な駅周辺等の歩行空間、病院等の不特定多数の方が利用する建築物等に関するバリアフリー施策を総点検し、今後の社会資本整備、公共交通行政分野における取組方針を「ユニバーサルデザイン政策大綱」として2005(平成17)年7月に公表している。
 今後、本大綱に基づき、子どもから高齢者までのすべての人々が安心して生活できるよう、公共施設等のバリアフリー環境の整備を一層推進していくこととしている。
 その一環として、「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(平成12年法律第68号、以下「交通バリアフリー法」という。)の規定を踏まえ、その施行から5年を経過するに当たり、同法及び「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(平成6年法律第44号、以下「ハートビル法」という)の施行の状況を見直した結果、駅などの旅客施設、道路、都市公園、建築物などの連続的なバリアフリー化の確保が十分でないことなどの課題が明らかになった。
 そこで、高齢者、障害者等の円滑な移動及び建築物等の施設の円滑な利用の確保に関する施策を総合的に推進するため、主務大臣による基本方針並びに旅客施設、建築物等の構造及び設備の基準の策定のほか、市町村が定める重点整備地区において、高齢者、障害者等の計画段階からの参加を得て、旅客施設、建築物等及びこれらの間の経路の一体的な整備を推進するための措置等を定める「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号)が第164回国会で成立した。

2 建築物におけるバリアフリー化の推進

 「ハートビル法」が、1994(平成6)年9月に施行され、建築物におけるバリアフリー化の推進が図られてきた。
 また、妊産婦や児童・乳幼児を含む高齢者・障害者等に配慮した建築空間、設備等によるバリアフリー対応については、「高齢者・身体障害者等の利用を配慮した建築設計標準」により、促進されている。
 例えば、乳幼児連れの人が利用する施設に対する、乳幼児用いす、乳幼児等用ベッド、授乳のためのスペース、または多機能便房の設置等があげられる。他に、建物入口に近い位置に妊産婦や乳幼児連れの人が利用できる駐車スペースの確保や屋内通路等への手すりの設置、または劇場等の客席・観覧席における乳幼児連れの人に対応した区画された観覧室の設置等がある。

3 公共交通機関のバリアフリー化の推進

 高齢者、身体障害者などが、自立した日常生活や社会生活を営むことができる環境を目指し、2000(平成12)年11月、公共交通機関を利用する身体障害者等の移動に関する身体の負担を軽減することにより、その移動の利便性及び安全性の向上を促進することを目的とする「交通バリアフリー法」が施行され、施行と同日に、交通バリアフリー法に基づき、移動円滑化の意義・目標、公共交通事業者等が講ずべき措置、市町村が作成する基本構想の指針等を定める移動円滑化の促進に関する基本方針(平成12年国家公安委員会、運輸省、建設省、自治省告示第1号)が策定された。これらを踏まえ、旅客施設における段差の解消、多機能トイレ(おむつ交換シート等)の設置や乗合バス車両におけるノンステップバス、リフト付バス、路面電車における低床式車両(LRV)の導入等が進められている。
 なお、基本構想を策定する際、官公庁施設や福祉施設等についてハートビル法との連携を図る観点から、2004(平成16)年10月に基本方針を変更した。

4 都市公園、河川空間等のバリアフリー化の推進

 歩いて行ける身近な場所等において、妊婦、子ども及び子ども連れの人をはじめ、すべての人々の健康運動や遊びの場、休息、交流の場等となる都市公園を計画的に整備するとともに、園路や便所、休憩所等の公園施設のバリアフリー化を推進している。
 また、河川の近隣に病院や福祉施設などが立地している地区等において、水辺にアプローチしやすいよう、スロープや手摺り付きの階段、緩傾斜堤の整備等バリアフリー化対策を実施し、高齢者、障害者、子ども等を含むすべての人々が安心して河川を訪れ、憩い親しめる河川空間の創造を行っている。さらに、妊婦、子ども及び子ども連れの人が日常生活の中で海辺に近づき、身近に自然と触れ合えるようにするため、海岸保全施設のバリアフリー化を推進している。
都市公園におけるゆったりトイレ(東京都)

5 子育てバリアフリーの情報提供

 妊産婦や乳幼児を持つ子育て家庭が地域において安心して生活できる子育て環境を整備するため、妊産婦、子どもや子育て中の親子が外出や社会活動を困難にしているような障壁がないかを点検・確認し、これを反映させた子育てバリアフリーのまちづくりに関する基本計画を市町村が策定する際の支援を行っている。
 また、市町村において、乳幼児とその親が外出する際の遊び場や授乳コーナー、一時預かりの実施場所等を示したマップを作成し、子育て家庭に情報提供することにより、子育てしやすいまちづくりを推進している。
 さらに、交通バリアフリー教室の開催やバリアフリーボランティアの普及・促進、交通事業者向けバリアフリー人材育成プログラムの作成などにより、ハード面のみならず、「心のバリアフリー社会」の形成に向けたソフト面の取組を実施し、妊産婦や子ども連れの人も含めた誰もが公共交通機関を円滑に利用できる社会の実現を図るとともに、鉄道駅などの旅客施設や宿泊施設、車両などのバリアフリー化の状況に関する情報提供を推進する。

6 子育てを支援する道路交通環境の整備

 妊婦、子ども及び子ども連れの人などが安全にかつ安心して通行することができるよう、死傷事故発生割合の高い住居系地区又は商業系地区で、その外縁を幹線道路が構成する地区796か所を「あんしん歩行エリア」として指定し、都道府県公安委員会による信号機、光ビーコン等、道路管理者による歩道、ハンプ(道路上の凸型施設)、クランク(ジグザグ蛇行)等の整備等を重点的に実施し、生活道路における歩行空間の整備及び通過交通の進入や速度の抑制に努めている。また、都道府県公安委員会では、音響信号機、歩行者感応信号機等のバリアフリー対応型信号機の整備を推進するとともに、道路管理者では、幅の広い歩道の整備や、歩道の段差・勾配の改善等に取り組み、歩行空間のバリアフリー化に努めている。

7 遊び場の安全対策の推進

 都市公園における遊具については、2002(平成14)年3月に、安全確保に関する基本的な考え方を示した「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」を取りまとめ、各施設管理者への周知を図っている。さらに、2004(平成16)年4月2日に発生した大阪府住宅供給公社の団地内における回転式遊具の事故に伴い、指針に即した遊具の安全点検及び安全確保を促すとともに、児童福祉施設等に設置している遊具についても、安全確保の一層の徹底を各施設管理者へ呼びかけている。

8 建築物の安全対策の推進

 2004(平成16)年3月に発生した東京都六本木ヒルズの自動回転ドアにおける死亡事故に関し、同年6月に「ガイドライン」を取りまとめ、翌年8月に「自動回転ドア―安全性」について規定した日本工業規格(JIS A 4721)を制定した。
 また、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故防止対策部会において、事故情報について継続的な分析を行うとともに、2006(平成18)年6月に発生した東京都港区のエレベーターにおける死亡事故に関し、エレベーターの安全装置の見直し等を検討しており、安全な生活環境づくりという観点も含め、建築物等の事故防止を図っている。

9 子どもを犯罪等の被害から守るための取組の推進

 近年、略取誘拐や小学校への不審者の侵入等、子どもが被害者となる事案が多数発生し、子どもを取り巻く環境が一段と厳しくなっている。
 子どもの犯罪被害を防止するためには、政府全体において総合的に対策を講じるべきとの考えから、2005(平成17)年12月には、内閣官房を事務局とする関係10省庁による連絡会議において、「犯罪から子どもを守るための対策」を取りまとめたほか、2006(平成18)年6月には、「子どもを非行や犯罪被害から守るための対策に関する関係省庁プロジェクトチーム」により、「子ども安全・安心加速化プラン」が決定され、同月20日に開催した犯罪対策閣僚会議・青少年育成推進本部合同会議において報告・了承された。
 これらに基づき、子どもを対象とする犯罪の取締りや通学時間帯における通学路等のパトロール活動を強化するとともに、防犯ボランティアや母親クラブ等によるパトロール活動、「子ども110番の家」への支援を推進している。
 また、学校等の教育関係機関と連携して、子どもの連れ去りや不審者の学校侵入を想定しての実践的な防犯訓練や防犯教室の実施を推進するとともに、ネットワーク等の構築により、声かけ事案、不審者情報等の迅速な発信及び共有に努めている。

10 「安全・安心まちづくり」の推進

 2002(平成14)年11月に設置した防犯まちづくり関係省庁協議会においてとりまとめた「防犯まちづくりにおける公共施設等の整備・管理に係る留意事項」(2003年7月)の着実な実施を図ることなどにより、防犯に配慮した犯罪の発生しにくい公共施設等の整備・管理の普及を促進し、併せて住宅についても犯罪防止に配慮した環境設計を行うことにより、犯罪被害に遭いにくい「安全・安心まちづくり」を推進している。子どもに対する犯罪の発生が懸念される学校周辺、通学路、公園、地下道、空き屋等における危険箇所の把握・改善に努めているほか、通学路等に非常用赤色灯、非常ベル、通報者撮影カメラ、インターホン等を備えるとともに、緊急時には警察への通報をすることができる「子ども緊急通報装置」の整備を行っている。

[目次]  [戻る]  [次へ]