第4節 人口減少社会の到来
1 50年後の我が国の人口
○「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」の中位推計では、合計特殊出生率は、2055(平成67)年には1.26になると仮定している。このような仮定に基づいて試算すると、我が国の総人口は、2005年の1億2,777万人から、2055年には8,993万人になることが見込まれている。未婚化、晩婚化等の影響により、前回(平成14年1月推計)よりも一層厳しい見通しとなっている。○年齢3区分別の人口規模及び全体に占める割合の推移(中位推計)をみると、まず年少人口では、2007(平成19)年の1,724万人から、2055年には752万人となり、総人口に占める割合は、13.5%から8.4%となる。生産年齢人口については、2007年の8,301万人から減少し続け、2055年には4,595万人となり、総人口に占める割合は、51.1%まで低下する。また、老年人口については、2007年の2,745万人から、2055年には3,646万人となり、総人口に占める割合は、40.5%に達する。
○こうした人口減少は、我が国の経済社会に様々な影響や問題を及ぼすものと考えられる。例えば、生産年齢人口が減少することに伴い、労働力人口の大幅な減少が見込まれ、高齢者人口の増大により、年金や高齢者医療費・介護費は年々増大することが予想される。さらに、地域から子どもの数が少なくなることにより、防犯、消防等に関する自主的な住民活動をはじめ、集落という共同体の維持さえ困難な状況となる可能性がある。
2 最近の出生数と婚姻件数の傾向
○2007年の「人口動態統計速報」によると、当月分を含む過去1年間の婚姻件数の累計は、2007年1月の75万592組をピークに減少傾向となり、同年8月時点では74万826組となっており、2007年1月から同年8月までの出生数の累計は74万503人と、前年同期よりも3,076人減少している。3 国民の結婚や出生行動に対する希望と実態とのかい離
○「出生動向基本調査」等の結果によれば、未婚者の9割はいずれ結婚したいと考えており、また、希望子ども数の平均は、男女ともに2人以上となっている。社会保障審議会「人口構造の変化に関する特別部会」では、こうした国民の結婚や出生行動に対する希望が一定程度実現したと仮定して、将来人口の試算を行った。希望がすべて実現するケースでは、2040(平成52)年時点で、合計特殊出生率は1.75まで上昇し、2055年において、総人口は1億人以上、高齢化率は35.1%になると見込まれている。○「希望を反映した人口試算」の結果を踏まえると、国民の結婚や出生行動に対する希望と実態とのかい離を解消することにより、少子化の流れを変えることが可能であると考えられる。こうした観点から、政府では、2007年2月から「子どもと家族を応援する日本」重点戦略の策定に向けて検討を進めている。