2 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議の設置から中間報告までの経緯について

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(新人口推計の見通しを踏まえた議論等について)

 「日本の将来推計人口(平成18年12月中位推計)」(以下「新人口推計」という。)では、近年の少子化傾向や寿命の伸びを反映して、今後、我が国は一層少子化・高齢化が進み、2055(平成67)年には、合計特殊出生率は1.26、総人口は9000万人を下回り、その4割が65歳以上の高齢者、1年間に生まれる子供の数は50万人を下回る、といった姿が示されている。
 さらに、厚生労働省の社会保障審議会「人口構造の変化に関する特別部会」における「出生等に対する希望を反映した人口試算の公表に当たっての人口構造の変化に関する議論の整理(2007(平成19)年1月)」(以下「特別部会の議論の整理」という。)では、2055年まで見通した場合、単純に人口規模が縮小するだけではなく、労働力・世帯・地域等の「姿」という「我が国の人口構造」そのものが大きく変化していく見通しであることにも注目する必要があるとしている。
 労働力に与える影響については、生産年齢人口(15歳~64歳)の減少に伴い、労働力率が現状のままで推移した場合には、労働力人口が相当程度減少することが見込まれるとしている。2030(平成42)年までの人口構造についてみれば、2030年における24歳以上の世代は、現在、既に生まれており、今後この世代の人口及びその減少傾向はほぼ確定している。一方、2030年以降についてみれば、その時期の支え手となっていく世代はこれから生まれる世代であって、今後の出生動向の変化によりその数は変動する余地があるが、新人口推計によれば、生産年齢人口はそれ以前と比べ、急激に減少すると見込まれる。
 世帯の状況や地域の姿に与える影響については、例えば、2055年には、50歳代以上の者の属する世帯のうち4割以上が「単身かつ無子世帯」となるが、単身世帯は、世帯員相互のインフォーマルな支援が期待できないことから相対的に失業や疾病・災害といった社会的リスクに弱く、経済的にも可処分所得減少の影響を受けやすいため、こうした単身世帯の増大は、介護問題をはじめとした支援を要する世帯の増大や負担能力の減少など、社会全体に大きな影響を及ぼすとしている。また、毎年の出生数は、2055年には50万人弱になると見通されており、通常の地域社会において平日昼間に目にする子どもの数は少なくなり、地域社会の支え手も相当部分が高齢者になることが想定されるとしている。
 さらに、特別部会の議論の整理では、第1章で述べたとおり、国民の結婚や出生行動に対する希望が一定程度実現した場合の将来人口試算を行うとともに、既存の調査研究結果を基に、「国民の結婚や出生行動に影響を及ぼしていると考えられる要素」について、次のとおり、結婚、第1子出産、第2子以降出産といったライフステージごとに整理している。
○ 結婚に影響を及ぼす要素は、家庭生活を送っていく上で必要な経済的基盤や雇用・キャリアの将来の見通し・安定性
○ 出産に影響を及ぼす要素は、子育てしながら就業継続できる見通しや仕事と家庭生活の調和の確保の度合い
○ 特に第2子以降の出産に影響を及ぼす要素は、夫婦間の家事・育児の分担度合いや育児不安の度合い
 そして、これらの調査結果等の整理等に鑑みると、
○ 若者の経済的基盤の確立(正規雇用化の促進、就業形態の多様化に合わせた均衡処遇の推進等、就業・キャリアの安定性確保)
○ 継続就業環境整備(育児休業制度、短時間勤務制度等が活用しやすいような働き方や仕事の仕方の見直し等)
○(特に父親の)家事・育児時間の増加(ワーク・ライフ・バランスを実現できるような時間管理の効率化や長時間労働の解消等)
○ 保育環境の整備
○ 育児不安の解消(専業主婦も含めた地域における育児支援、家庭内の育児負担の分担等)
 等の分野について、効果的な施策を具体的に整理・検討することが重要であるとしている。
第1‐2‐6図 人口ピラミッドの変化(平成18年中位推計)

第1‐2‐7図 結婚や出産に影響を及ぼしていると考えられる要素について

(「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議の設置)

 新人口推計において示された少子・高齢化についての一層厳しい見通しや特別部会の議論の整理等を踏まえ、2007年2月6日、少子化社会対策会議において「子どもと家族を応援する日本」重点戦略(以下「重点戦略」という。)の策定方針が決定された。この方針では、2030年以降の若年人口の大幅な減少を視野に入れ、本格的に少子化に対抗するため、制度・政策・意識改革など、あらゆる観点からの効果的な対策の再構築・実行を図ることとし、重点戦略の策定に資するため、少子化社会対策会議の下に、内閣官房長官を議長として関係閣僚と有識者で構成する「「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議」(以下「戦略会議」という。)を設置することとされた。さらに、分野ごとに掘り下げた議論を行うため、戦略会議の下に、各分野における有識者で構成する「基本戦略分科会」、「働き方の改革分科会」、「地域・家族の再生分科会」及び「点検・評価分科会」という4つの分科会も設置された。
 これまでの少子化対策は、網羅的に施策を示してきたが、今回の重点戦略策定に当たっては、特別部会の議論の整理等を踏まえ、結婚や出産に関する国民の希望を実現するには何が必要であるかに焦点を当てて検討を進めることとしたところが特徴的といえる。2007年2月以降、4つの分科会が3回~5回開催されて議論の整理を行った後、同年6月1日の第2回戦略会議において、「「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議各分科会における「議論の整理」及びこれを踏まえた「重点戦略策定に向けての基本的考え方」について」(「中間報告」)がとりまとめられた。
第2回「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議(平成19年6月1日)

第1‐2‐8図(1)「子どもと家族を応援する日本」重点戦略の検討体制

第1‐2‐8図(2)「子どもと家族を応援する日本」重点戦略の検討体制

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