第3章 働き方や子育て支援サービスをめぐる課題

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第1節 ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現に向けた働き方の改革

1 ワーク・ライフ・バランス実現の重要性

(少子化の進行の背景)

 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議の中間報告では、「ワーク・ライフ・バランスの実現を目指した働き方の改革」が最優先の課題とされている。なぜ、少子化対策において、ワーク・ライフ・バランスの実現が重要なのだろうか。
 現在の急速な少子化の進行の背景には、まず、子どもが欲しいと考えている女性の約6割が出産後の継続就業を希望しているにもかかわらず、現実には第1子出産の半年後に就業している女性は約3割(育児休業中の者を含む。)であるなど、就業継続と子育てとが二者択一的となっている状況がある。また、多様な働き方の選択ができないことや非正規労働者の増大、長時間労働など、国民一人ひとりにとって、自身の望む生き方の実現を困難にし、二者択一構造の原因となっている「働き方をめぐる様々な課題」も存在している。
 国民の希望する結婚や出産・子育ての実現により少子化の流れを変えるためには、こうした仕事と子育ての両立が困難な現在の構造を「女性が安心して結婚、出産し、男女ともに仕事も家庭も大事にしながら働き続けることができるシステム」へと変革していくこと、すなわち「ワーク・ライフ・バランスの実現を目指した働き方の改革」が求められている。

(今後の人口構造の変化を展望した戦略的対応の必要性)

 「ワーク・ライフ・バランスの実現を目指した働き方の改革」は、国民一人ひとりが自らの望む生き方を手にすることができる社会を実現していくという観点に加え、労働力確保等を通じた我が国社会経済の長期的安定・持続可能性を確保するという観点からも重要である。
 今後の人口減少、特に労働力人口の減少は、今後の社会経済の各面に大きな影響を及ぼすことが予想されている。2030(平成42)年までに労働力化する世代の人口は現時点でほぼ確定していることを踏まえると、我が国社会の持続的・安定的な発展を図るためには、少子化の流れを変えるとともに、すべての人が意欲と能力が最大限発揮できるような環境整備に直ちに着手し、若者、女性、高齢者などの労働市場への参加を促進し、労働力人口の減少の緩和を図ることも同時に必要である。

(ワーク・ライフ・バランスの意義)

 ワーク・ライフ・バランスを実現できる環境整備のためには、企業は、労働者が仕事に投入できる時間に制約があることを前提とした業務管理や人材活用に切り替えていく必要がある。その取組は企業の生産性向上や労働者の仕事の意欲の向上、人材確保にもつながる。
 労働者にとっても、子どもや家族と過ごす時間が増え、親が子育ての喜びを実感できるとともに、子どもの健全な育ちにつながる。男女がともに子育てを行うことが可能となれば、長時間保育の減少など、これまでの保育ニーズに変化が生じるだけでなく、女性の継続就業希望も実現しやすくなる。また、地域活動への参加の機会や、未婚者の出会いの機会の増大にもつながる。
 このような、個人にとっても社会にとっても企業にとっても望ましい豊かな社会の実現の基盤となるワーク・ライフ・バランスを実現することは、個別の労使のみならず、社会全体で取り組むことが必要な課題である。

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