3 働き方の改革に向けた取組

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(働き方の改革は社会全体で取り組むべき課題)

 ワーク・ライフ・バランスの実現を目指した働き方の改革は、国民一人ひとりが自らの望む生き方を手にすることができる社会の実現を可能にするだけでなく、人口減少社会を迎えた我が国が、少子化の流れを変えるとともに、若者、女性、高齢者などの労働市場への参加を促進し、社会経済の長期的安定・持続可能性の確保を目指す上で最優先の課題である。
 そのため、近年、少子化対策の観点のみならず、企業経営や経済の生産性の向上、男女共同参画の推進の観点からも、ワーク・ライフ・バランスの重要性が指摘されている。

(男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会)

 厚生労働省では、企業経営者、経営者団体、有識者による「男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会」を開催し、実際に育児参加をしている男性やその上司等へのインタビューをもとに、男性が育児参加できるような働き方の企業にとっての必要性とメリットや、そのような働き方を進める上での取組のポイントを提言(平成18年10月)として整理している。
 提言によると、男性も育児参加できる働き方は、優秀な人材の確保や従業員の意欲の向上、生産性の向上、仕事の効率化等、企業経営にとってもメリットをもたらすとされている。
第1‐3‐11図 「男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会」提言のポイント

(経済財政諮問会議「労働市場改革専門調査会」)

 現在の「働き方」をめぐる問題を、働き手の視点から検討するとともに、人材の活用、経済の生産性向上のための労働市場政策の在り方を考えるために、2006(平成18)年12月から経済財政諮問会議の下で労働市場改革専門調査会を開催し、2007(平成19)年4月に第1次報告がとりまとめられた。
第1次報告では、年齢や性別にかかわらず働きたい人が働けるような弾力的な労働市場を目指すとともに、特にワーク・ライフ・バランスを実現するための取組の基本的な在り方を明らかにし、そのための10年後の数値目標が示された。さらに、ワーク・ライフ・バランスの本格的な取組を進めるために、政府は、ワーク・ライフ・バランス憲章を策定し、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた本格的な取組を進めることとしている。

(男女共同参画会議「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)

 ワーク・ライフ・バランスの実現は、男性も女性も個性と能力を発揮できる多様性を尊重した活力ある社会の実現につながるものである。男女共同参画会議の下におかれた「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」(2004(平成16)年7月~2007年2月)では、仕事と家庭の両立支援や働き方の見直し等が男女共同参画と少子化対策双方の推進にとって重要であることを明らかにし、すべての人を対象としたワーク・ライフ・バランスの推進を提案した。これを踏まえて、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」を2007年2月から開催し、同調査会は、ワーク・ライフ・バランスについて個人や企業・組織、ひいては社会全体でみた意義・重要性を整理するとともに、取組の大きな方向性について検討を行い、2007年7月に「「ワーク・ライフ・バランス」推進の基本的方向報告」をとりまとめた。
 報告では、ワーク・ライフ・バランスの理解を浸透・推進するネットワークづくりや、企業・組織の先進的な取組を評価することによる後押し、個人の多様な選択を可能にする支援やサービスの展開など、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた社会基盤づくりを図ることとしている。また、企業・組織の自発的な取組として、時間管理等のマネジメント改革を推進し、多様な人材から高付加価値を生み出すことの重要性を指摘している。
 専門調査会では、引き続き、ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の検討や推進に資するデータ等の分析、推進のための枠組みづくりに向けた検討を進めていくこととしている。

(重点戦略検討会議)

 重点戦略検討会議の中間報告では、ワーク・ライフ・バランスを実現するための働き方の改革の方向性として、どのような暮らしを実現させるかという観点から、以下の点があげられている。
○ 若年者の結婚や家族形成が可能となるよう、就業による経済的自立を図れるようにする。
○ 長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等により、労働者の健康保持を図るとともに、どのようなライフスタイルであっても、家事や育児を含め、普通に日常生活を送れ、希望する労働者が家族と共に触れ合い、きずなを深めることができるような時間を確保できるようにする。
○ 若年期、子育て期、子育て後及び高齢期といった個人や家族のライフステージごとに変化するニーズに応じて、個人が家族との協力の中で、柔軟な働き方や労働時間を変化させるなど、多様な働き方を選択できるようにする。
○ 年次有給休暇やまとまった休暇の取得により、豊かでゆとりある生活を実現するとともに、個人が中長期的な観点から、職業キャリア形成や地域活動、社会貢献など、自らの生涯にわたるキャリアを切り拓くことができるようにする。
○ 正規労働者と非正規労働者において合理性のない「壁」がなくなり、また、短時間正社員制度が普及するなど、正規労働者の働き方が多様で柔軟なものとなるようにする。
○ 仕事の進め方や働き方の見直しを進めることにより、時間的余裕が生まれるとともに、企業にとっても生産性の向上など経営上プラスになるようにする。
 また、働き方の改革の支援施策の検討に当たっては、以下の視点を重視するとしている。
○ ワーク・ライフ・バランスを推進するに当たっては、労使間の協調のみならず、上司や同僚など個別労働者間での理解を含め、互いの考え方を尊重しつつ、メリハリのある働き方を進める職場風土の形成や意識改革が必要であり、これらを推進するための国民運動が不可欠であること
○ ワーク・ライフ・バランス推進のための施策の検討に当たっては、個別政策の方向性の整理のみならず、それが成果を上げるための政策運用の仕組みまで視野に入れた戦略が重要であること
○ 相乗的に各政策の有効性を高めるため、府省間及び自治体との連携を強め、それぞれの持つ資源やネットワークを活用していく必要があること
○ 以上の3つの視点に立った、総合的かつ体系的な施策の展開を図るため、「ワーク・ライフ・バランス憲章」及び政府において「働き方の改革を推進する行動指針」を政策のパッケージとして策定することが必要であること

(経済財政改革の基本方針2007)

2007年6月19日に閣議決定された「経済財政改革の基本方針2007」においては、経済財政諮問会議「労働市場改革専門調査会」、男女共同参画会議「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」、「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略検討会議」の提言等を踏まえ、関係府省の連携の下に、平成19年内を目途に「ワーク・ライフ・バランス憲章」(仮称)及び以下の内容を含めた「働き方を変える、日本を変える行動指針」(仮称)を策定するとしている。
・就業率向上や労働時間短縮などの数値目標
・ワーク・ライフ・バランス社会の実現度を把握するための指標の在り方
・ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた支援施策、制度改革等に関する政府の横断的な政策方針
・経済界・労働界を含む国民運動の推進に向けた取組方針

(ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議)

 上で述べたように、数々の場でワーク・ライフ・バランスの重要性が指摘されたことを踏まえ、官民が一体となってこれまでの働き方を抜本的に改革するため、2007年7月、「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」(以下、「トップ会議」という。)が設置され、「ワーク・ライフ・バランス憲章」(仮称)及び「働き方を変える、日本を変える行動指針」(仮称)を策定し、推進することとされた。
 トップ会議は、内閣官房長官の主宰によるもので、関係閣僚(内閣官房長官、内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、総務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣)と、経済界・労働界及び自治体((社)日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本労働組合総連合会、NHK関連労働組合連合会、全国知事会)の代表者及び、有識者として重点戦略会議や経済財政諮問会議、男女共同参画会議の専門調査会の座長等で構成されている。
 トップ会議は、今後、各会議とも連携をとりながら議論を進め、平成19年内を目途に憲章や行動指針を策定することとしている。

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