3 多様な働き方を支える保育をはじめとする子育て支援サービス

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(1)多様な働き方に対応できる柔軟なサービス提供

(女性の労働力率の動向)

 現在25歳~39歳層の有配偶の女性の労働力率は50%程度にとどまっているが、その背景には、前節でみたとおり、妊娠・出産を機に女性の約7割が離職していることがある。しかしながら、今後、子どもが欲しいと考えている女性について就業形態の希望をみた調査では、約6割の女性が出産後も継続就業を希望している。また、世帯主の配偶者である女性の潜在労働力率も70%程度となっており、若い世代では緩やかながらも上昇傾向にある。この年齢層の有配偶の女性の労働力率がこのような就業希望に沿う形で70%~80%程度まで上昇すれば、国民の希望に基づいて生涯未婚率が10%程度となることを想定して試算しても、この年齢層の女性全体の労働力率は80%程度となる。
 このためには、女性の未婚者と有配偶者の労働力率の大きな差をもたらしている仕事と子育ての両立が困難な現在の構造、すなわち、就業したいという希望と子どもを生み育てたいという希望の二者択一を迫られる構造を、女性が安心して結婚、出産し、男女ともに仕事も家庭も大事にしながら働き続けるという選択ができるシステムへと変革していくことが不可欠である。
 なお、外国の例をみても、現に労働力率も出生率も高い国があり、また、いったん低下した出生率が各種施策によって上昇に転じている国もあることを考えれば、これは決して不可能なことではないと考えられる。
第1‐3‐17図 6歳未満の子を持つ母の就業率の比較(2002年)

(子育てをしながら就業を継続できる見通しの有無及び仕事と家庭生活の調和の確保の度合い)

 人口構造の変化に関する特別部会の議論の整理によれば、これまでの調査結果・研究結果から、第1子以降の出産については、子育てしながら就業を継続できる見通しの有無及び仕事と家庭生活の調和の確保の度合いが影響を及ぼすと示唆される。また、別の調査で、育児休業制度・勤務時間短縮等の措置、家庭内での家事・育児分担、保育所の利用は、それぞれが単独で実施されても効果は少なく相互に組み合わされることで就業継続を高めるという結果となっており、就業継続の見通しには、単に企業の取組だけでなく、保育サービス等の地域の実情に応じた取組、育児・家事分担等の家庭内での取組も影響することに留意が必要である(第3章 第1節 第1‐3‐4図 参照)。

(諸外国の取組状況)

 出産・子育てと就労に関して、多様な選択が可能となれば、出産の前後を通じて就労を継続する女性の割合は、今後高まっていくことが予想される。有配偶の女性の労働力率が8割程度となっているフランスやスウェーデンでは、認可された保育サービスを利用する3歳未満児の割合が4割以上となっているのに対し、我が国では、この割合が2割程度となっており、就業継続を希望する者が、認可された保育サービスが得られないことによりそれを断念している状況がみられる。
第1‐3‐18表 子育て世代の女性の労働力率と認可外保育サービス利用割合(3歳未満児)

(就学前の子どもが育つ場所)

 就学前の子どもが育つ場所をみると、第1‐3‐19図のように、3歳以上児の大部分が保育所又は幼稚園に入所しているが、3歳未満児(0~2歳児)で保育所に入所している割合は2割程度で、ほとんどは在宅で育児が行われている。
 今後、女性の就業継続の希望を実現するため、保育所等のサービス基盤整備を一層進めていかなければならないが、その際、多様な働き方に対応した弾力的なサービスを提供するとともに、ワーク・ライフ・バランスを実現していく中で、男女を通じた家庭における子育てへの支援についても、社会全体で支えていく仕組みを構築していくことが求められている。
第1‐3‐19図 就学前児童が育つ場所

(質・量両面での保育サービスの基盤整備(特に3歳未満児)

 我が国では、待機児童の解消に向け、保育所の整備が着実に進められ、2004(平成16)~2007(平成19)年の4年連続で待機児童は減少しているものの、依然として約1.8万人の待機児童が存在する。待機児童の問題がなかなか解消しない理由として、用地確保が困難(特に待機児童が多い都市部)、低年齢児(0~2歳児)の受け入れ定員の不足などの事情が指摘されている。保育所待機児童の問題は大都市圏に顕著にみられる課題であること等、地域ごとに特有の課題があり、それに応じた対応が求められることにも留意が必要である。
 また、保育所の開所時間が勤務時間に合っていないなどの問題や、待機児童の多い地域では保育所の年度途中の入所が難しいため、育児休業を途中で切り上げざるを得ないといった問題がある。
 多様な保育サービスの提供については、短時間や隔日、夜間帯や休日など、多様な就労時間・就労形態に対応した保育時間の設定や、病児・病後児の対応などのニーズが高まっているにもかかわらず、十分対応できていない状況にある。
 このような状況に的確に対応していくためには、保育所による保育サービスの拡充だけでなく、家庭的保育(保育ママ)の充実や、そのために安心して子どもを預けられる仕組みの検討、事業所内保育施設の地域での活用もあわせて進めていくことが必要である。
第1‐3‐20図 多様な子育て支援サービス

(3歳以上児の親の就労形態の変化への柔軟な対応)

3歳以上児については、保育所・幼稚園を合わせれば、量的な整備は進んでいる。今後は、就学前の子どもに対する教育・保育のニーズに総合的に対応できる拠点として、2006年10月に創設された「認定子ども園」制度の普及促進を図っていくことで、一人ひとりの親のライフステージに応じた就労形態の変化に柔軟に対応していくことも必要である。
第1‐3‐21図 子どもの年齢からみた子育て支援サービス

(保育の質の確保と幼児教育機能の重視)

 保育所については、児童の視点に立ったサービスの向上を目指し第三者評価事業を推進しているところであるが、子どもの育ち(発達)を保障する観点からは、量的な保育サービスの拡充が、保育の質の劣化を招くことのないよう配慮が必要である。また、幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、こうした幼児教育重視の流れの中で、保育所・幼稚園・認定こども園における教育機能の充実を図っていくとともに、小学校との連携を促進することが求められている。

(子どもが放課後も安心して過ごせる居場所づくり)

 小学校に入学した児童の放課後対策の普及状況をみると、地域差が大きく、放課後児童クラブ、2006年度まで実施された地域子ども教室のいずれも行われていない空白市町村が、いまだ存在している。また、放課後児童クラブは、主に小学校1~3年生を対象として進められてきたが、高学年期における安全な児童の居場所の確保や、多様な就労時間に対応した開所時間の設定も課題となっている。
 さらに、本年度(19年度)より、放課後児童クラブ(厚生労働省)と放課後子ども教室((平成18年度までは地域子ども教室)文部科学省)を一体的あるいは連携して実施する「放課後子どもプラン」の取組が進められているが、これを展開していく上で、子ども同士の交流や、退職者・高齢者などを活用した地域とのつながりを大切にする取組も求められている。
 こうした実状を踏まえ、全小学校区への「放課後子どもプラン」の普及を図ることにより、幼児期から、高学年期まで円滑に、安全で健やかな活動場所を確保し、多様なニーズに対応した柔軟なサービスを提供していくことが必要である。

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