第1章 少子化の現状
第1節 近年の少子化の状況
1.少子化の進行
●2007(平成19)年の出生数は、108万9,818人(前年は109万2,674人)、合計特殊出生率は1.34(前年は1.32)となった。
図 出生数及び合計特殊出生率の年次推移
出生数及び合計特殊出生率の年次推移(CSV形式:2KB)
●我が国における年少人口(0~14歳)は、出生数の減少により、第2次世界大戦後、減少傾向が続き、1997(平成9)年には、老年人口(65歳以上)よりも少なくなった。総務省「人口推計(平成20年10月1日現在推計人口)」によると、年少人口は1,717万6千人(総人口に占める割合は13.5%)であるのに対し、老年人口は2,821万6千人(同22.1%)となっており、ますます少子高齢化が進行している。
●2005(平成17)年時点での世界全域の年少人口割合(国連推計)は、28.3%であるが、我が国の年少人口割合は、13.5%と世界的にみても最も小さくなっている。
●「平成20年人口動態統計の年間推計」によると、2008年の出生数は109万2,000人(対前年比約2,000人増)、死亡数は114万3,000人(対前年比約3万5,000人増)、自然増加数はマイナス5万1,000人と見込まれている。
●2007年の全国の合計特殊出生率は1.34であるが、47都道府県別の状況をみると、これを上回るのは29、下回るのは14であった。この中で合計特殊出生率が最も高いのは沖縄県(1.75)、最も低いのは、東京都(1.05)となっている。
2.未婚化・晩婚化の進行
●2005(平成17)年の総務省「国勢調査」によると、25~39歳の未婚率は男女ともに引き続き上昇し、男性では、25~29歳で71.4%、30~34歳で47.1%、35~39歳で30.0%、女性では、25~29歳で59.0%、30~34歳で32.0%、35~39歳で18.4%となっている。
●生涯未婚率を30年前と比較すると、男性は2.12%(1975(昭和50)年)から15.96%(2005年)、女性は4.32%(1975年)から7.25%(2005年)へ上昇している。
図 年齢別未婚率の年次推移
図 生涯未婚率の年次推移
生涯未婚率の年次推移(CSV形式:1KB)
3.諸外国における少子化の状況
●主な国(アメリカ、フランス、スウェーデン、イギリス、イタリア、ドイツ)の合計特殊出生率の推移をみると、1960年代までは、すべての国で2.0以上の水準であったが、その後低下傾向となったものの、ここ数年では回復する国もみられるようになってきている。直近ではフランスが2.02(2008(平成20)年(速報値))、スウェーデンが1.91(2008年)となっているが、これらの国々は仕事と育児・家庭に対する「両立支援」を軸に政策を展開する傾向がみられる。
図 主な国の合計特殊出生率の動き
主な国の合計特殊出生率の動き(CSV形式:4KB)
第2節 人口減少社会の到来
1.将来の人口の見通し
●「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」の中位推計(出生中位・死亡中位)では、合計特殊出生率は、2055(平成67)年には1.26になると仮定している。このような仮定に基づいて試算すると、我が国の総人口は、2055年には8,993万人になることが見込まれている。未婚化、晩婚化等の影響により、前回(平成14年1月推計)よりも一層厳しい見通しとなっている。
●年齢3区分別の人口規模及び全体に占める割合の推移(中位推計)をみると、まず年少人口(0~14歳)では、2009(平成21)年の1,676万人から、2055年には752万人となり、総人口に占める割合は、13.2%から8.4%となる。生産年齢人口(15~64歳)については、2009年の8,164万人から2055年には4,595万人となり、総人口に占める割合は、64.1%から51.1%となる。老年人口(65歳以上)については、2009年の2,899万人から、2055年には3,646万人となり、総人口に占める割合は、22.8%から40.5%に達する。
図 我が国の人口構造の推移と見通し
我が国の人口構造の推移と見通し(CSV形式:10KB)
●「日本の市区町村別将来推計人口(平成20年12月推計)について」によると、人口が減少する自治体は今後も増加し、2030(平成42)年から2035(平成47)年にかけては95%以上の自治体で人口が減少する。また、60%を超える自治体が2035年には、2005(平成17)年に比べて人口が2割以上減少する。
●年少人口割合が10%未満の自治体は、2005年から2035年にかけて、4.8%から68.6%へ上昇する。また、約50%の自治体において75歳以上人口割合が25%以上となるなど、高齢化が進行する。
2.人口減少による影響
●生産年齢人口が減少することに伴い、出生数の減少による若年労働力の減少や、高齢者の引退の増加によって、労働力人口は高齢化しながら減少していくことが予想され、経済成長にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。
●「出生動向基本調査」等の結果によれば、未婚者の9割はいずれ結婚したいと考えており、また、既婚者及び結婚希望のある未婚者の希望子ども数の平均は、男女ともに2人以上となっている。こうした国民の希望が一定程度実現したと仮定した「希望を反映した人口試算」(2007(平成19)年1月)では、2040(平成52)年までに希望がすべて実現するケースにおいては、合計特殊出生率は1.75まで上昇する。国民の結婚や出産・子育てに対する希望と実態とのかい離を解消することにより、少子化の流れを変えることが可能であると考えられる。
図 希望がすべて実現するケースの合計特殊出生率は1.75