第2節 「待ったなし」の少子化対策の推進(3/3)
3 これからの少子化対策
(1)これまでの少子化対策への評価
●少子化社会対策基本法の制定から5年
2003(平成15)年7月の「少子化社会対策基本法」の制定から5年が経過したところである。また、同法に基づく「少子化社会対策大綱」(2004(平成16)年6月閣議決定)においては、「施策の進捗状況とその効果、出生率等の動向を踏まえ、毎年フォローアップを実施していくとともに、おおむね5年後を目途に見直しを行うこととする」とされており、2009(平成21)年度には、その見直しを行い、新しい大綱を策定することとなっている。このため、新しい大綱の策定に向け、現行の施策の進捗状況やその効果等を評価するための調査を実施した。
なお、重点戦略において、これまでの対策の評価は施策が計画どおり進捗しているかどうかを把握することが中心であり、利用者の視点に立脚した恒常的かつ持続的な点検・評価は行われてこなかったが、少子化対策の推進の実効性を担保するためには、[1]結婚や出産・子育てに対する希望の実現度、[2]利用者の多様性、[3]地域差、[4]支援策相互の連携、[5]質と量の評価、[6]支援策の周知と利用しやすさ、の6つの視点に着目し、利用者の視点に立った点検・評価を行うことが重要であるとされている。
●少子化対策に関する国民の意識
少子化対策に関する国民の意識を調査して、今後の施策の参考とするため、2009年1月に「少子化対策に関する特別世論調査」を実施し、現行の少子化社会対策大綱が策定された当時の前回調査(2004年9月)と比較を行った。
ア 出生率についての我が国の将来への危機感
低い出生率が続いていることによる我が国の将来への危機感については、「危機感を感じている(大変危機感を感じている+多少危機感を感じている)」が83.0%(前回調査では76.7%)、「危機感を感じていない(あまり危機感を感じていない+全く危機感を感じていない)」が6.2%(前回調査では8.2%)となった。
これは、最近の我が国の低い出生率の水準に対し、将来への危機感を感じている国民が増加している結果といえる。
第1-2-24図 出生率についての我が国の将来への危機感
出生率についての我が国の将来への危機感(CSV形式:1KB)
イ 少子化が与えるマイナスの影響
少子化が与えるマイナスの影響については、「年金や医療費の負担など、社会保障に与える影響」が76.1%(前回調査では71.9%)、「労働力人口の減少など、経済活力に与える影響」が62.4%(前回調査では50.6%)、「過疎化の一層の進行など、社会の活力に与える影響」が41.3%(前回調査では26.8%)、「子育てに対する負担や社会支援のあり方など、家庭生活に与える影響」が39.6%(前回調査では33.1%)となった(複数回答)。
少子化の急速な進行は、税や社会保障における負担の増加、労働力減少に伴う経済成長の鈍化、地域社会の活力低下など、社会や経済、地域の持続可能性に大きな影響を与えるものであり、これらいずれの項目についても、前回調査よりマイナスの影響があると感じている国民が増加している結果となっている。
第1-2-25図 少子化が与えるマイナスの影響
少子化が与えるマイナスの影響(CSV形式:1KB)
ウ 少子化対策で特に期待する政策
少子化対策で特に期待する政策については、「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直しの促進」が58.5%(前回調査では51.1%)、「子育てにおける経済的負担の軽減」が54.6%(前回調査では50.5%)、「妊娠・出産の支援」が54.6%(前回調査では27.0%)、「子育てのための安心、安全な環境整備」が51.9%(前回調査では41.7%)となった(複数回答)。
いずれの項目についても、前回調査より回答者の割合が高くなっており、「仕事と生活の両立支援と働き方の見直しの促進」及び「子育てにおける経済的負担の軽減」については、前回調査同様、50%を超える高い結果となっているが、今回調査で特徴的なのは、「妊娠・出産の支援」が前回調査よりもほぼ倍増していることである。これは、最近の産科医・分娩施設の減少や妊婦搬送の受入困難事例の発生などにより、安心・安全な妊娠・出産に対する期待が大きく高まった結果であると考えられる。
また、「子育てのための安心、安全な環境整備」や「地域における子育て支援」についても、前回調査に比べて大きく増加していることがわかる。
第1-2-26図 少子化対策で特に期待する政策
少子化対策で特に期待する政策(CSV形式:1KB)
エ 我が国への諸外国の施策の導入
諸外国においては、最近では保育サービスや育児休業制度の充実などによる仕事と家庭の両立支援により出生率の低下に歯止めがかかっている例が見受けられるが、こうした諸外国の政策を多少の負担増を伴うとしても我が国にも導入すべきかどうかについて聞いたところ、「導入すべき(導入すべき+どちらかといえば導入すべき)」が89.6%、「導入すべきでない(どちらかといえば導入すべきでない+導入すべきでない)」が5.9%となった。
多少の負担増を伴うとしても諸外国が実施している政策を我が国にも導入すべきと考える者が大多数を占める結果となった。
第1-2-27図 我が国への諸外国の政策の導入
我が国への諸外国の政策の導入(CSV形式:1KB)
オ 子を持つ親にとってあればいいと思う地域活動
子育てを社会全体で支援するため、子を持つ親にとってあればいいと思う地域活動については、「子育てに関する悩みを気軽に相談できるような活動」が60.9%(前回調査は52.3%)、「子育てをする親同士で話ができる仲間づくりの活動」が49.9%(前回調査は41.3%)、「不意の外出の時などに子どもを預かる活動」が44.8%(前回調査は31.8%)、「子育て家庭の家事を支援する活動」が41.0%(前回調査は30.4%)となった(複数回答)。
全ての項目について前回調査を大きく上回る結果となっているが、これは、地域において子育て親子の交流の促進や子育て等に関する相談・援助等を行うなど、地域全体で子育てを支援していく必要性を感じている者が増加していることを示している。
第1-2-28図 子を持つ親にとってあればいいと思う地域活動
子を持つ親にとってあればいいと思う地域活動(CSV形式:1KB)
カ 少子化対策と負担の在り方
社会保障国民会議の「社会保障制度に関する国民意識調査」(2008年11月)によると、少子化対策(子育て支援)の拡充を図るべきであり、「そのための負担増になることはやむを得ない」とする者が42.4%、「相応の負担増はやむを得ない」とする者が12.8%となっており、負担増を容認する人が過半数となっている。
第1-2-29図 少子化対策(子育て支援)の負担のあり方
少子化対策(子育て支援)の負担のあり方(CSV形式:1KB)
●少子化施策利用者意向調査
重点戦略を踏まえ、2008年7月から、少子化社会対策について利用者の視点に立ち点検・評価するとともに、その点検・評価の手法の改善を図ることなどを目的とした少子化社会対策推進点検・評価検討会議が開催されている。
同検討会議の協力も得て、各種少子化施策の進捗状況や統計等には捉えられない、利用者の実際の意識や感覚を把握するため、2008年12月から2009年1月にかけて「利用者意向調査」を実施したところである。
調査の結果をみると、「少子化社会対策」に示された「目指すべき社会の姿」の達成や国の取組に関する評価については、全般的に厳しい評価となっているが、特に、「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し」に関する項目の評価が低かった。家族構成別(「独身」、「既婚子どもなし」、「既婚子どもあり」)にみると「既婚子どもなし」の評価が低く、また、地域別にみると「地方」より「都市部」の評価が低かった。
少子化社会対策大綱の取組に関する希望としては、「小児医療体制を充実する取組」、「妊娠・出産の支援体制、周産期医療体制を充実する取組」、「児童手当の充実を図り、税制の在り方の検討を深める取組」を求める者が多かった。
カ 「少子化社会対策大綱」に示された「目指すべき社会の姿」の達成度
○全体(第1‐2‐30図)
「少子化社会対策大綱」に基づく「子ども・子育て応援プラン」(2004年12月)において、「目指すべき社会の姿」を掲げているところであるが、この「目指すべき社会の姿」がどの程度達成されたかについては、次のような結果となった。
達成の評価が相対的に高い(「とてもそう思う」+「ややそう思う」の計)項目をみると、
[1] | ボランティア体験、自然体験、社会体験活動の機会が充実し、多くの子どもが様々な体験を持つことができる社会(33.8%) |
[2] | 教育を受ける意欲と能力のある者が、経済的理由で修学を断念することのない社会(27.4%) |
[3] | 妊婦、子ども及び子ども連れの人に対して配慮が行き届き安心して外出できる社会(26.9%) |
となっている。
達成の評価が低い(「あまりそう思わない」+「そう思わない」の計)項目をみると、
[1] | 若者が意欲を持って就業し、経済的にも自立できるような社会(71.5%) |
[2] | 希望する者すべてが、安心して育児休業等を取得できる職場環境が整った社会(71.3%) |
[3] | 育児期に離職を余儀なくされる者の割合が減るとともに、育児が一段落した後の円滑な再就職が可能な社会(65.5%) |
[4] | 働き方を見直し、多様な人材を効果的に育成活用することにより、(労働)生産性が上昇するとともに、育児期にある男女の長時間労働が是正される社会(65.0%) |
となっている。
特に、「目指すべき社会の姿」について、「希望する者すべてが、安心して育児休業等を取得できる職場環境が整った社会」の達成の評価に対し、「そう思わない」と回答した割合が4割を超えるなど、「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し」に関して厳しい評価となっている。
第1-2-30図 目指すべき社会の姿の達成度
目指すべき社会の姿の達成度(CSV形式:3KB)
○男女別の比較
男女別に「目指すべき社会の姿」の達成の評価を比較すると、男女差に以下のような特徴がみられる。
○家族構成別の比較
家族構成別(「独身」、「既婚子どもなし」、「既婚子どもあり」)に「目指すべき社会の姿」の達成の評価を比較すると、「既婚子どもなし」では、全般的に、「独身者」、「既婚子どもあり」の家族構成よりも評価が低い傾向にある。
特に、「希望する者すべてが、安心して育児休業等を取得できる職場環境が整った社会」の評価が低くなっている。
○地域別の比較
地域別に「目指すべき社会の姿」の達成の評価を比較すると、全般的に地方のほうが都市部よりも評価が高い傾向にあり、とりわけ以下のような特徴がみられる。
キ 国の取組についての評価
○全体(第1‐2‐31図参照)
「目指すべき社会の姿」を実現するため、現在、少子化社会対策大綱の取組が社会全体(国、都道府県、市区町村、企業、各種団体等)において行われているが、国がこのような取組をどの程度行っているかという評価についてみると、全般的に厳しい評価となった。
国の取組についての評価が相対的に高い(「積極的に行っていると思う」+「やや行っていると思う」の計)項目をみると、
[1] | 奨学金の充実を図る取組(34.9%) |
[2] | 地域における子育て支援の拠点等の整備及び機能の充実を図る取組(34.0%) |
[3] | 児童手当の充実を図り、税制の在り方の検討を深める取組(33.2%) |
[4] | 子育てバリアフリーなどを推進する取組(31.4%) |
[5] | 放課後対策を充実する取組(31.0%) |
となっている。
国の取組についての評価が低い(「あまり行っていないと思う」+「行っていないと思う」の計)項目をみると、
[1] | 男性の子育て参加促進のための父親プログラム等の普及の取組(59.2%) |
[2] | 労働時間短縮等、仕事と生活の調和のとれた働き方の実現に向けた環境整備の取組(54.8%) |
[3] | 妊娠・出産の支援体制、周産期医療体制を充実する取組(52.9%) |
[4] | 妊娠・出産しても安心して働き続けられる職場環境の整備を進める取組(50.4%) |
となっている。
なお、次の項目については、「国の取組を知らないため評価できない」という回答が多い結果となった。
[1] | 一般事業主行動計画による次世代育成支援対策に関する取組の推進などの「企業等におけるもう一段の取組」(32.8%) |
[2] | 子ども関連に関し、手続き等の窓口や情報の一本化を図るなど、一元的な行政サービスの実施を図るなどの「行政サービスの一元化を推進する取組」(30.3%) |
[3] | 不妊治療の経済的負担の軽減などの「不妊治療への支援等の取組」(27.4%) |
第1-2-31図 少子化社会対策大綱の国の取組への評価
少子化社会対策大綱の国の取組への評価(CSV形式:3KB)
○男女別の比較
男女別に国の取組についての評価を比較すると、全ての項目において、女性のほうが男性よりも評価が高くなっており、男性の評価が相対的に低くなっている。
○家族構成別の比較
家族構成別(「独身」、「既婚子どもなし」、「既婚子どもあり」)に国の取組についての評価を比較すると、子どものいる者の評価が相対的に高く、子どものいない既婚者の評価は低い傾向にある。
特に、子どものいない既婚者については、「妊娠・出産の支援体制、周産期医療体制を充実する取組」、「男性の子育て参加促進のための父親プログラム等の普及の取組」の評価が低くなっている。
○地域別の比較
地域別に国の取組についての評価を比較すると、全ての項目において、地方のほうが都市部よりも評価が高くなっている。
ク 少子化社会対策大綱の取組に関する要望
○全体(第1‐2‐32図)
現在行われている少子化社会対策大綱の取組のうち、国に最も実現して欲しい項目としては、
[1] | 小児医療体制を充実する取組(42.1%) |
[2] | 妊娠・出産の支援体制、周産期医療体制を充実する取組(36.0%) |
[3] | 児童手当の充実を図り、税制の在り方の検討を深める取組(32.1%) |
[4] | 労働時間短縮等、仕事と生活の調和のとれた働き方の実現に向けた環境整備の取組(27.1%) |
[5] | 妊娠・出産しても安心して働き続けられる職場環境の整備を進める取組(26.8%) |
となっている。
第1-2-32図 少子化社会対策大綱の取組に関する要望(全体)
少子化社会対策大綱の取組に関する要望(全体)(CSV形式:2KB)
○男女別の比較(第1‐2‐33図)
男女別に国への取組の要望を比較すると、以下の特徴がみられる。
第1-2-33図 少子化社会対策大綱の取組に関する要望(男女別)
少子化社会対策大綱の取組に関する要望(男女別)(CSV形式:2KB)
○家族構成別の比較
家族構成別(「独身」、「既婚子どもなし」、「既婚子どもあり」)に国への取組の要望をみると、子どもや配偶者の有無により異なる傾向を示している。
独身者や子どもがいない場合は、「妊娠・出産の支援体制、周産期医療体制を充実する取組」への要望が強くなっている。
また、子どもがいない場合には、「妊娠・出産しても安心して働き続けられる職場環境の整備を進める取組」や「不妊治療への支援等の取組」に関する要望が強くなっている。
子どもがいる場合には、「小児医療体制を充実する取組」や「児童手当の充実を図り、税制の在り方の検討を深める取組」の要望が強くなっている。
さらに、独身者では、「再就職等を促進する取組」や「若者の就労支援の取組」が既婚者と比べて要望が強くなっている。
○地域別の比較
地域別に国への取組の要望をみると、都市部と地方にかかわらず、「小児医療体制を充実する取組」、「妊娠・出産の支援体制、周産期医療体制を充実する取組」、「児童手当の充実を図り、税制の在り方の検討を深める取組」への要望が強くなっている。
なお、「就学前の児童の教育・保育を充実する取組」や「良質な住宅・居住環境の確保を図る取組」については、地方よりも都市部の要望が強くなっている。
○年齢別の比較
年齢別に国への取組の要望をみると、年齢が若いほど、「妊娠・出産しても安心して働き続けられる職場環境の整備を進める取組」や「妊娠・出産の支援体制、周産期医療体制を充実する取組」への要望が強くなっている。
●「子ども・子育て応援プラン」関連施策の主な取組状況
少子化社会対策大綱に盛り込まれた施策について、その効果的な推進を図るため、2004年12月、少子化社会対策会議において、「少子化社会対策大綱に基づく具体的実施計画(子ども・子育て応援プラン)」が決定されている。
この子ども・子育て応援プランは、2005年度から2009年度までの5年間に講ずる具体的な施策内容と目標を掲げ、施策の項目数は約130にも及ぶ総合的な計画であるが、この5か年計画の3年目である2007年度の主な実施状況を見ると、多くの施策について、目標達成に向け着実に進捗しつつある。
すでに目標を達成している主な施策としては、
○仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し
・女性の育児休業取得率 89.7%(今後10年間の目標は80%)
○児童相談所の夜間対応等の体制整備
・66都道府県・指定都市・児童相談所設置市(目標は、全都道府県・指定都市で実施)
○母子家庭等ひとり親家庭への支援の促進
・総合的な自立に向けた支援の推進 99か所(目標は、母子家庭等就業・自立支援センターを全都道府県・指定都市・中核市に設置)
○特定不妊治療費助成事業の推進
・99都道府県市(目標は、全都道府県・指定都市・中核市で実施)
○公共交通機関のバリアフリー化
・公共交通機関における車両等のバリアフリー化の割合
・ノンステップバス 20.3%(目標は、20~25%)
・航空機 59.9%(目標は、約40%)
○歩行空間のバリアフリー化の推進
・1日の平均利用者数が5,000人以上の旅客施設の周辺等の主な道路、信号機のバリアフリー化の割合
・道路 49%(目標は、約5割)
・信号機 約81%(目標は、約8割)
などとなっている。
目標達成に向け着実に進捗している主な施策としては、
○日本学生支援機構奨学金事業の充実
・貸与人数103.7万人(基準適格申請者に対する貸与率:96.6%)(目標は、基準を満たす希望者全員への貸与に向け努力)
○一般事業主行動計画の策定・実施の支援
・行動計画を策定し、次世代育成支援に取り組む企業の割合
大企業 届出企業数13,326社(99.4%)(目標は、大企業 100%)
○延長保育の推進 15,076か所(目標は、16,200か所)
などとなっている。
なお、「保育所の受入れ児童数の拡大」や「放課後児童クラブの推進」についても、「子ども・子育て応援プラン」の目標達成に向け着実に推進しているところであるが、さらに「新待機児童ゼロ作戦」(2008年2月)を展開することにより、保育サービスや放課後児童クラブを質・量とともに充実・強化し、「希望するすべての人が子どもを預けて働くことができるためのサービスの受け皿を確保し、待機児童をゼロにする」ことを目指している。
また、目標とかい離が大きく、更なる取組が必要な施策としては、
○仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し
・男性の育児休業取得率 1.56%(今後10年間の目標は10%)
○一般事業主行動計画の策定・実施の支援
・行動計画を策定し、次世代育成支援に取り組む企業の割合
中小企業 届出企業数(101人以上300人以下)2,184社(7.2%)[届出企業数(300人以下)11,449社(0.8%)](目標は、中小企業25%)
○ファミリー・フレンドリー企業の普及促進 表彰企業数 310企業(目標は、700企業)
○休日保育の推進 875か所(目標は、2,200か所)
○個別対応できる一時保護所の環境改善 27県・指定都市(目標は、全都道府県・指定都市で実施)
○公共交通機関のバリアフリー化
・公共交通機関における車両等のバリアフリー化の割合
・船舶 14.1%(目標は、50%)
などとなっている。
第1-2-34図 「子ども・子育て応援プラン」関連施策の主な取組状況
(2)これからの少子化対策に向けて
●ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム
少子化社会対策基本法(2003年9月施行)に基づいて策定された「少子化社会対策大綱」(2004年6月4日閣議決定)は、策定後5年を経過することから、2009年中に見直しを行い、新しい大綱を策定することとしている。
このため、「新しい少子化社会対策大綱の案の作成方針について」(2008年12月24日少子化社会対策会議決定)に基づき、新しい少子化社会大綱の案の作成に資するため、「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、少子化社会対策の推進に向けての議論を進めているところである。
「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」第1回会合(2009年2月10日)
第1-2-35図 ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム
コラム 企業参画型子育て支援事業(パスポート事業)子育て家庭に対する経済的支援の取組を進めるとともに、社会全体で子育て家庭を支援する機運の醸成のため、子育て家庭が各種割引等のサービス提供を受けられるように、地方公共団体が企業の協賛を得ながら実施している「企業参画型子育て支援事業(パスポート事業)」が、現在、40道府県で実施されている。 なお、内閣府において、自治体が実施している当事業について調査・分析を行い、その効果・影響などについて検証を行った(調査実施の2007年度中は38府県)。主な内容は以下のとおりである。 自治体における当事業の取組について大きく類型すると、「チェーン店や大型店とのパートナーシップ形成に特徴を有する取組」と「商店街など地域社会の活性化を重視する取組」になる。 事業運営については、都道府県が実施主体、都道府県と市町村が共同で実施、または民間企業や団体等に委託して事業を実施に分かれる。 それぞれの自治体においては、当事業を「地域で子育てを支える機運の醸成」を期待する効果として実施し、その他に、「子育て家庭への経済的負担の軽減」や「子育て支援をしている企業のPR、イメージアップ」なども期待する効果としている。 対象世帯の要件では、「18歳未満1人以上」が23自治体(61%)、「未就学児1人以上」が6自治体(16%)、「18歳未満3人以上」が4自治体(11%)、「中学生以下1人以上」が3自治体(8%)、「小学生以下1人以上」が2自治体(5%)となっている。 協賛店舗等が提供している特典サービスの内容としては、料金割引やポイントサービスなどの「金銭面の優遇」やプレゼント(粗品の提供)などの「物品の提供や貸出」が多くなっている。 また、ほとんどの自治体では、飲食店や食料品店、金融機関、旅行関連業、量販店・スーパーなどが協賛店舗となっているが、鉄道やバスなどの交通機関、電気・水道・ガスなどの業種では、協賛企業が少ないという状況が見られる。 住民への意識調査(石川、静岡、埼玉、福岡の4県)によると、どの県においても、回答した7割以上の人が、企業が子育て家庭の応援のための優待サービスを行うことによって子育てがしやすくなると回答している。 なお、この調査研究においては、すでに自治体において独自の取組が進んでいる中で国が統一的な基準による新たな制度を導入することは効果的でなく、今後の当事業の効果的推進に向けて、国に求められている役割は、全国の取組状況に関する情報の整理と提供、業界団体・全国チェーンへの働きかけ、複数の都道府県による連携の支援などとしている。 第1-2-36図 企業参画型子育て支援事業(パスポート事業) 第1-2-37図 取組事例 |