第1節 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の現状

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現在の急速な少子化の進行の背景の一つに、働き方をめぐる様々な課題が存在している。共働き世帯が増加し人々の生き方が多様化する中、働き方の選択肢が十分に整っていないことや非正規労働者の増大、長時間労働など、国民一人ひとりにとって、自身の望む生き方が実現しにくく、一部では就労と出産・子育てが未だ二者択一となっている状況も存在している。出産前に仕事をしていた女性の約7割1が出産を機に退職しており、育児休業制度の利用は増えているものの、出産前後で就労継続している女性の割合は、この20年間ほとんど変化がない(第1‐3‐1図参照)。

第1-3-1図 就業と結婚・出産・子育ての「二者択一」

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このような状況を受け、官民が一体となってこれまでの働き方を抜本的に改革し、仕事と生活の調和を推進するため、2007(平成19)年12月に、関係閣僚、経済界、労働界、地方公共団体の代表等からなる「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」において、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」(以下「憲章」という。)及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(以下「行動指針」という。)が決定された(第1‐3‐2図)。

第1-3-2図 憲章及び行動指針

第1-3-3表 行動指針に掲げられた数値目標

行動指針に掲げられた数値目標(CSV形式:2KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

内閣府が実施した国民に対する意識調査からも、仕事と生活の調和をさらに推進する必要性がうかがえる。

個人の意識では、1年前と比べ、「仕事」を優先したいという人は減少し、「家庭生活」を優先したい、「家庭生活」と「地域・個人の生活」をともに優先したいという人の割合が増加している。(第1‐3‐4図参照)。

第1-3-4図 「仕事」、「家庭生活」、「地域・個人の生活」の関わり方(希望優先度)

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また、仕事と生活の調和については、希望と現実のかい離がみられる。「仕事」を優先したいと希望している人は2%にとどまるのに対して、現実に「仕事」を優先している人は5割近くにのぼる(第1‐3‐5図参照)。

第1-3-5図 生活の中での「仕事」、「家庭生活」、「地域・個人の生活」の優先度

生活の中での「仕事」、「家庭生活」、「地域・個人の生活」の優先度(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」という言葉の認知度をみると、「名前も内容も知っている」は約1割にとどまり、「名前も内容も知らない」が約6割となっている(第1‐3‐6図参照)。

第1-3-6図 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の認知度

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「日頃、ワーク・ライフ・バランスのために努力しているか」との質問に対しては、努力をしている人は約2割にとどまり、努力していない人の割合が約4割と、仕事と生活の実現に向けた個人の意識がまだまだ低いことがうかがえる(第1‐3‐7図参照)。

第1-3-7図 日頃、ワーク・ライフ・バランスのために努力しているか(全体)

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以上のように、仕事と生活の優先度についての希望と現実に大きなかい離がある一方で、仕事と生活の調和に関しての認知度は低く、ワーク・ライフ・バランスのために努力している人も一部にとどまっているのが現状である。

「ワーク・ライフ・バランスが実現された社会」に近づくために重要な政府の取組としては、「保育所など子育て支援の拡充」が約8割、「ワーク・ライフ・バランスの重要性についてのPR」、「先進的な企業例の紹介」、「ワーク・ライフ・バランスについての企業情報の公開」がいずれも約7割である(第1‐3‐8図参照)。

第1-3-8図 「ワーク・ライフ・バランスが実現された社会」に近づくため、政府の取組のうちもっとも重要なもの

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また、「ワーク・ライフ・バランスが実現された社会」に近づくために重要な企業による取組としては、「無駄な業務・作業をなくす」が必要と考えている割合が9割近くおり、全体としては、トップの責任に係る取組が必要であると考える割合が高い(第1‐3‐9図参照)。

第1-3-9図 「ワーク・ライフ・バランスが実現された社会」に近づくため、どのような企業の取組が必要か

「ワーク・ライフ・バランスが実現された社会」に近づくため、どのような企業の取組が必要か画像(CSV形式:2KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

 1  きょうだい数1人(本人のみ)の場合。


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