第2節 平成21年度における主な施策の動向

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(育児・介護休業法の改正)

仕事と子育ての両立支援を一層進め、男女ともに子育て等をしながら働き続けることができる環境を整備するため、2009(平成21)年6月、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の一部が改正された。主な内容は、<1>子育て期間中の働き方の見直し(3歳までの子を養育する労働者に対する所定外労働の免除の制度化、子の看護休暇制度の拡充(小学校就学前の子が、1人であれば年5日(現行どおり)、2人以上であれば年10日))、<2>父親も子育てができる働き方の実現(父母がともに育児休業を取得する場合、1歳2か月(現行1歳)までの間に、1年間育児休業を取得可能とする(パパ・ママ育休プラス))等となっている(改正法の施行日については、原則2010(平成22)年6月30日)。

(地方分権改革推進関係(保育所の最低基準))

2009年12月に閣議決定された地方分権改革推進計画においては、保育所の最低基準については、保育の質等に深刻な影響を及ぼす保育士の配置基準、居室の面積基準、保育の内容(保育所保育指針)、調理室などに限り、国の基準に「従うべき基準」とし、また、屋外遊戯場の設置、耐火上の基準などのその他の事項については、国の基準を「参酌すべき基準」として参考としつつ、都道府県等(都道府県、政令指定都市、中核市)が条例で定めることとした。なお、居室の面積基準については、東京等の一部の地域に限り、待機児童解消までの一時的措置として、合理的な理由がある範囲内で、国の基準と異なる内容を定めることができる「標準」とすることとした。

(保育所待機児童対策)

保育所待機児童数については2年連続で増加し、2万5,384人(対前年度5,834人増)となっている。

特に、都市部における保育所待機児童解消は喫緊の課題となっており、2008(平成20)年度第2次補正予算において都道府県に創設した「安心こども基金」を2009年度第1次・第2次補正予算において増額し、保育所整備の促進や保育サービスのより一層の充実を図っている。また、地域の余裕スペース(学校、公営住宅、公民館等)を活用した、認可保育所の分園等の設置促進や家庭的保育の拡充により、待機児童の大半を占める低年齢児の良質な保育サービスを拡充することとしている(安心こども基金合計2,700億円)。

第1-3-3図 「安心こども基金」による保育サービスの拡充策

(幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築に向けて)

「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(2009年12月閣議決定)、「新成長戦略(基本方針)」(同)、「子ども・子育てビジョン」(2010年1月閣議決定)で示された、新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築についての検討を進めるため、2010年1月の少子化社会対策会議において、「子ども・子育て新システム検討会議」の開催が決定され、同年6月を目途として基本的な方向性を固めるため、議論を行っているところである。

第1-3-4図 子ども・子育て新システム検討会議について

(子ども手当の創設)

次代の社会を担う子ども一人ひとりの育ちを社会全体で応援する観点から、中学校修了までの子どもたちを対象とした「子ども手当」を創設し、2010年度分の支給のための所要の法律案を2010年通常国会に提出し、同年3月に成立した。なお、2010年度においては、子ども一人につき月額1万3千円(年額15万6千円)を支給することとしている。

(高校の実質無償化)

高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、教育の機会均等に寄与するため、公立高等学校については授業料を不徴収とするとともに、公立高等学校以外の高等学校等の生徒等にその授業料に充てるための高等学校等就学支援金を支給するための所要の法律案を2010年通常国会に提出し、同年3月に成立した。

なお、私立高校生のいる世帯へは、公立高校の授業料相当額の就学支援金を助成(低所得世帯へは、所得(市町村民税所得割額により判断)に応じ、一定額(年額11万8,800円)を1.5~2倍した額を上限に助成)することとしている。

(父子家庭への児童扶養手当、生活保護の母子加算の継続支給)

児童扶養手当が支給されていない父子家庭の生活状況等に鑑み、当該家庭の生活の安定と自立の促進を図るため、母と生計を同じくしない児童を監護し、かつ、これと生計を同じくする父に児童扶養手当を支給することを目的とした所要の法律案を2010年通常国会に提出しているところである(父子家庭への支給は同年8月施行予定)。

また、生活保護の母子加算を2009年12月に復活したところであり、2010年度においても、引き続き、支給を継続することとしている。

(周産期医療体制の充実)

周産期医療体制については、国民が安心して子どもを産み育てることができる医療環境の実現に向け、一層の整備が求められている。2009年3月の「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会報告書」を受け、2010年1月、周産期医療体制事業の実施要綱に基づく周産期医療体制整備指針を見直したところである。

また、2010年度予算において、上記の報告書を踏まえ、総合周産期母子医療センター及び地域周産期母子医療センターのNICU(新生児集中治療室)やMFICU(母体・胎児集中治療室)等に対する財政支援を行うほか、新生児医療を担当する医師を確保するため、当該医師の手当に対する財政支援を行うこととしている。

(2010年度予算における主な子ども・子育て施策)

2010年度予算における子ども・子育て関係予算については、総額は3兆4,488億円(前年度は1兆6,562億円)となる。


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