第2節 仕事と家庭が両立できる職場環境の実現を
1 育児休業制度その他の両立支援制度の普及・定着及び継続就業の支援とともに、子育て女性等の再就職支援を図る
1)育児休業や短時間勤務等の両立支援制度の定着
仕事と子育ての両立支援を一層進めるとともに、男女ともに子育て等をしながら働き続けることができる環境を整備することを目的に、2009(平成21)年6月に育児・介護休業法の一部が改正され、3歳までの子を養育する労働者について短時間勤務制度を設けることを事業主の義務とすること等が定められた。
2)両立支援制度を利用しやすい職場環境の整備
中小企業子育て支援助成金等の支給により、仕事と家庭を両立しやすい職場環境の整備に取り組む事業主等を支援するとともに、育児休業取得者等に対して独自に経済的支援を行った事業主を対象に育児休業取得促進等助成金を支給し支援を行っている。
3)育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いの防止
2009(平成21)年6月の育児・介護休業法改正にともない、労働者から育児休業の申出があった場合には、事業主は、当該労働者に対し、育児休業の開始予定日・終了予定日等を書面等により通知することとされた。
4)妊娠中及び出産後の健康管理の推進
男女雇用機会均等法に基づいた母性健康管理の措置及び労働基準法(平成22年法律第49号)の母性保護規定について、事業主、女性労働者、医療関係者等に対し周知徹底を図るとともに、女性労働者に対して出された医師等の指導事項を的確に事業主に伝えるための「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用を促進している。
5)子育て女性等の再就職支援
子育て等のために離職した女性の再就職・起業等を支援するため「女性の再チャレンジ支援プラン」(2006(平成18)年12月改定)に基づき、関係府省が連携して支援策の推進に努めている。職業能力開発施設における土日・夜間等の時間帯を活用した訓練コースを設定し、マザーズハローワーク(12か所)、マザーズサロン(36か所)及びマザーズコーナー(100か所)において、子育てをしながら早期の就職を希望している者等に対してきめ細かな就職支援等を実施している。
6)男女雇用機会均等の確保による就業継続の支援
男女雇用機会均等法に沿った男女均等取扱いが徹底されるよう事業主に対し指導を行うとともに、労働者と事業主の間の紛争について都道府県労働局長による紛争解決援助及び機会均等調停会議による調停により円滑かつ迅速な解決を図っている。
また、男女労働者間に事実上生じている格差を解消するための自主的かつ積極的取組(ポジティブ・アクション)を推進している企業に対し、公募により「均等・両立推進企業表彰」を実施しているほか、各企業のポジティブ・アクションの実施状況を掲載する「ポジティブ・アクション応援サイト」を設け、個別企業の具体的取組を紹介することにより、事業主がポジティブ・アクションの実施状況を開示する際の支援を行っている。
2 企業等における取組の「見える化」によりもう一段の取組を推進する
1)企業経営者等の意識変革
企業における仕事と生活の調和を推進するために少子化対策・男女共同参画担当大臣自らが業界団体等を訪問し、経営幹部層に「憲章」・「行動指針」の理念を伝えるとともに、仕事と生活の調和と密接な関係にある、男女共同参画、少子化対策についても、相互連携の下に取り組んでもらうことを要請している。
2)一般事業主行動計画(次世代育成支援対策推進法)の策定・公表の促進
2008(平成20)年12月次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)が改正され常時雇用する労働者数が301人以上の企業が、2009(平成21)年4月1日以降に労働者の仕事と子育ての両立支援に関する一般事業主行動計画を策定又は変更した場合に、同計画の公表及び労働者への周知が義務づけられた。
また、2011(平成23)年4月1日から、行動計画の策定・届出等の義務が、常時雇用する労働者が301人以上の企業から101人以上の企業へ拡大することとなった。
3)次世代認定マーク(くるみん)の周知・取組促進
次世代育成支援対策推進法では、常時雇用する労働者が301人以上の企業に対し、労働者の仕事と子育ての両立支援に関する取組を記載した一般事業主行動計画を策定し、その旨を厚生労働大臣に届け出ることが義務づけられており、一定の要件を満たした企業は厚生労働大臣の認定を受け、「くるみんマーク」を使用することができる。
4)顕彰制度等による積極的取組企業の社会的な評価の推進
企業における「仕事と家庭の両立のしやすさ」を示す両立指標を活用しつつ、仕事と育児・介護とが両立できる様々な制度を持ち、多様でかつ柔軟な働き方を労働者が選択できるような取組を行うファミリー・フレンドリー企業の普及を促進している。
5)入札手続等における対応
内閣府では2010(平成22)年度より、ワーク・ライフ・バランスや男女共同参画に関連する調査について、一般競争入札総合評価落札方式により入札を行う際に、ワーク・ライフ・バランス等に積極的に取り組む企業を評価できるような仕組みを導入した。