2 国の取組

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(1)国民の取組気運の醸成

ア 仕事と生活の調和推進のための国民運動「カエル!ジャパン」キャンペーン

2008(平成20)年6月から、「カエル!ジャパン」をキーワードに、国民参加型のキャンペーンを開始し、「ひとつ、働き方を変えてみよう」とのキャッチフレーズの下、広く国民に「働き方を変えること」を呼びかけている。同年7月からは、具体的な国民参加の仕組みとして、キャンペーン趣旨に賛同し、具体的な取組を開始する企業、労働団体、地方公共団体、個人等がシンボルマークをWEB上でダウンロードでき、自身の取組に活用できるシステムを内閣府仕事と生活の調和ポータルサイト上に構築した。2009(平成21)年5月現在、企業、団体登録件数181件、地方公共団体登録件数96件、個人登録件数633件がこのキャンペーンに賛同しており、これらの企業・団体等の名称や具体的な取組事例をポータルサイト上で公表した。

「カエル!ジャパン」について

イ 「『カエル!ジャパン』通信」(メールマガジン)の発行

2009年10月から、メールマガジン「『カエル!ジャパン』通信」の配信(月1回程度)を開始した。各職場においてワーク・ライフ・バランスの推進に取り組む際に参考となる情報等を適時広く提供するため、「カエル!ジャパン」通信では、ワーク・ライフ・バランスに関する各種施策、具体的な取組事例、有識者の話、各種データ等の情報を紹介している。

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ウ ワーク・ライフ・バランスに関する調査等の実施

地方公共団体の取組状況に関する調査、ワーク・ライフ・バランスに関する文献・論文、統計・調査のリスト及びダイジェストのアーカイブ化に向けた調査、ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査等を実施している。これらの調査結果については、内閣府仕事と生活の調和ポータルサイト上で公表するほか、「カエル!ジャパン通信」などにより広く提供している。

エ 各種勉強会、セミナー、シンポジウム等への講師派遣

「憲章」及び「行動指針」の策定以後、企業や業界団体、労働者団体が主催する勉強会や、地方公共団体が主催するセミナー、シンポジウムにおいて、仕事と生活の調和がテーマとして扱われることが増加している。内閣府ではこれらに対して積極的に講師を派遣し、仕事と生活の調和の必要性、憲章・行動指針の理念、企業や自治体のロールモデル等について、講演・解説を行っている。

(2)企業への働きかけ

企業における仕事と生活の調和を推進するためには、経営幹部のリーダーシップによる取組が必要である。このため、少子化対策・男女共同参画担当大臣自らが業界団体等を訪問し、経営幹部層に憲章・指針の理念を伝えるとともに、仕事と生活の調和と密接な関係にある、男女共同参画、子ども・子育て支援策についても、相互連携の下に取り組んでもらうことを要請している。

(3)男性の働き方の見直し

仕事と生活の調和を実現するためには、人生の各ステージに応じて、特に子育て期において多様で柔軟な働き方を選択できることが重要である。また、女性が仕事と育児を両立していくためには、意識改革を含めた男性の働き方の見直しや育児・家事への積極的な参加が必要である。

しかし、現実には、育児休業を取得したいと希望する男性は3割を超えているにもかかわらず、男性の育児休業取得率は1.23%(2008年)に留まり、男性の育児・家事の時間も、欧米諸国と比較しても突出して低い水準に留まっている。

このような状況を踏まえ、育児休業取得から復帰までの実践のロールモデルの普及に役立てるために作成した「パパの育児休業体験記」を、病院や助産院に配布したり、「父親の育児休業シンポジウム」の開催などにより父親の育児休業について周知した。

また、男女ともに仕事と子育てを両立できるような雇用環境の整備を目指して、子育て期の短時間勤務制度の義務化や「パパ・ママ育休プラス」の導入などを盛り込んだ改正育児・介護休業法が2009年6月に成立し、2010(平成22)年6月30日に施行される(一部の規定は、100人以下企業については、2012(平成24)年7月1日施行)。

(4)長時間労働の見直し

これまでの働き方の問題点のひとつとして、仕事優先の働き方による長時間労働や休暇のとりづらさが挙げられる。特に長時間労働は健康を害する可能性が高いだけでなく、家事や育児の時間を十分に確保できないという問題がある。「憲章」及び「行動指針」で謳われている「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」及び「多様な働き方・生き方が選択できる社会」を実現させるためには、長時間労働の抑制が不可欠である。

長時間労働を防止するとともに、生活時間を確保しながら働くことができるようにすることを目的として、2008年12月に労働基準法が改正され、2010年4月に施行されている。

主な改正内容は、

<1>時間外労働の法定割増賃金率について、現行は25%以上であるところを、1か月について60時間を超えた時間については50%以上とする(※中小企業は当分の間適用が猶予され法の施行3年経過後に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じることとされている。中小企業に該当するか否かは、「資本金の額または出資の総額」又は「常時使用する労働者の数」で判断される)、

<2>年休取得について、現行は日単位であるところを、労使協定を締結した場合は、労働者の希望に応じて5日分を限度として時間単位での年休取得を可能とする、などである。


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