1 小児医療体制を確保する
1)小児医療の充実
小児医療については、今後の我が国の社会を担う若い生命を守り育て、また、保護者の育児面における安心の確保を図る観点から、休日・夜間を含め、小児救急患者の受入ができる体制の整備が重要となっている。
このため、都道府県が定める医療計画を通じて、小児医療を担う医療機関の機能分担と連携を促進している。特に小児救急医療については、初期救急では、小児初期救急センター運営事業(2009(平成21)年度~)を、入院を要する救急(二次救急)では、二次医療圏単位で当番制等により小児救急対応が可能な病院を確保する小児救急医療支援事業や、複数の二次医療圏ごとに小児救急患者を受け入れる病院を確保する小児救急医療拠点病院事業を実施し、その充実を図っている。さらに、2010(平成22)年度予算において、小児の救命救急医療を担う小児救命救急センターや、急性期にある小児への集中的・専門的医療を行う小児集中治療室に対する財政支援を盛り込んだところである。
また、小児の急病時の保護者等の不安解消等のため、小児の保護者等に対し小児科医等が電話で助言等を行う小児救急電話相談事業(短縮ダイヤル「#8000」)を実施している。
さらに、小児医療については、近年の累次の診療報酬改定において重点的な評価が行われているところであり、2010年度診療報酬改定においても、例えば、新生児集中治療室(NICU)に入院した場合の評価を充実させるなどの措置を講じたところである。
また、国民健康保険の資格証明書の取扱について、2009年4月から資格証明書の交付世帯における中学生以下の被保険者については、資格証明書を交付せず、有効期間が6か月の被保険者証を交付しているほか、2010年2月には、有効期間が6か月の被保険者証の交付対象を高校生世代までに拡大する国民健康保険法の改正案を国会に提出した。
2)小児慢性特定疾患治療研究事業等
小児慢性疾患のうち、小児がん等特定の疾患については、その治療が長期間にわたり、医療費の負担も高額となることからその治療の確立と普及を図り、あわせて患者家庭の医療費の負担軽減にも資するため、医療費の自己負担分の一部を補助する小児慢性特定疾患治療研究事業を実施している。
給付の対象となる疾患は、<1>悪性新生物、<2>慢性腎疾患、<3>慢性呼吸器疾患、<4>慢性心疾患、<5>内分泌疾患、<6>膠原病、<7>糖尿病、<8>先天性代謝異常、<9>血友病等血液・免疫疾患、<10>神経・筋疾患、<11>慢性消化器疾患の11疾患群である。
また、養育のため病院又は診療所に入院することを必要とする未熟児に対しては、養育医療費の給付等を行っている。