6 子ども・子育てビジョン[別添1]
施策の具体的内容
1.子どもの育ちを支え、若者が安心して成長できる社会へ
(1)子どもを社会全体で支えるとともに、教育機会の確保を
≪子育てを社会全体で支える≫
□子ども手当の創設
・ 次代の社会を担う子ども一人ひとりの育ちを社会全体で応援する観点から、中学校修了までの子どもたちを対象として「子ども手当」を創設します。
≪子どもの学びを支援する≫
□高校の実質無償化
・ 公立高校生については授業料を徴収しないものとするとともに、私立高校生等については高等学校等就学支援金を支給します。
□奨学金の充実等
・ 能力があるにもかかわらず、経済的な理由により修学が困難な者に対する奨学金や授業料の減免などの支援を行います。
□学校の教育環境の整備
・ 「生きる力」をより一層はぐくむことを目指すとともに、学校の教育環境の整備を推進します。
(2)意欲を持って就業と自立に向かえるように
≪若者の自立した生活と就労に向けた支援に取り組む≫
□非正規雇用対策の推進
・ 意欲と能力に応じ、非正規雇用から正規雇用へ移行できるようにするとともに、就業形態にかかわらず、公正な処遇や能力開発の機会が確保されるようにするなど、非正規雇用対策を推進します。
□若者の就労支援
・ 仕事と生活の調和の視点も含めた勤労観・職業観や社会的・職業的自立に必要な能力等をはぐくむキャリア教育・職業教育、ジョブカフェ、ジョブ・カード制度などによるフリーター等への就労支援など、包括的な若者支援に取り組みます。
□子ども・若者育成支援推進法に基づく支援
・ 子ども・若者育成支援推進法に基づき、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用等各関連分野における施策の総合的推進や、ニートやひきこもり等の困難を有する子ども・若者への支援を行うための子ども・若者支援地域協議会の設置促進を図ります。
(3)社会生活に必要なことを学ぶ機会を
≪生命の大切さ、家庭の役割等についての理解を深める≫
□妊娠や家庭・家族の役割に関する教育・啓発普及
・ 妊娠や不妊治療、家庭・家族の役割について早くから情報提供が行われるように啓発普及を図ります。特に、妊娠や家庭・家族の役割については、発達の段階を踏まえ、学校段階からの教育の推進を図ります。
□乳幼児とふれあう機会の提供
・ 保育所、児童館、保健センターなどの公的施設等を活用して、中・高校生等が乳幼児と出会いふれあう機会を広げるための取組を推進します。
□学校・家庭・地域における取組の推進
・ 学校・家庭・地域において、生命の大切さや家庭・家族の役割、保育体験を含む子育て理解等に関する教育を推進します。
□「家族の日」「家族の週間」等を通じた理解促進
・ 多様な家庭や家族の形態があることを踏まえつつ、「家族の日」(11月第3日曜日)や「家族の週間」(家族の日の前後1週間)における啓発や、地域や企業の取組等の表彰を通じて、家族や地域の大切さ等について理解の促進を図ります。
□家族形成に関する調査・研究等
・ 家族形成に関する調査・研究及び事例収集・分析を通じて、政策的対応に向けた検討を行います。
≪学びや体験を通じ豊かな人間性を育成する≫
□地域ぐるみで子どもの教育に取り組む環境の整備
・ 学校支援地域本部や放課後子ども教室等の実施により、地域ぐるみで学校を支援し子どもたちを健やかにはぐくむ活動を推進するとともに、家庭教育に関する地域人材を養成し、相談対応や学習機会の提供など、家庭の教育力の向上に向けた取組を推進します。
□消費者教育等の推進
・ 学校・家庭・地域において、消費者教育・金融経済教育を推進します。
□地域や学校における体験活動
・ 子どもたちと地域社会との関わりを深め、豊かな人間関係を形成できるよう、全国の小・中・高等学校において、自然体験活動や集団宿泊体験、奉仕体験活動などの様々な体験活動を行う機会を提供します。
□文化・芸術活動
・ 優れた舞台芸術の鑑賞や文化芸術活動への参加を促進します。また、民俗芸能や茶道、華道などの伝統文化を体験できる機会の提供を支援します。
□自然とのふれあいの場
・ 国立公園等の豊かな自然の中で自然や環境の大切さを学ぶ機会の提供や、こどもエコクラブ事業による環境保全活動や環境学習を行うことへの支援を通じて、自然とのふれあい施策を推進します。
□農林水産業の体験や、都市と農山漁村との交流体験
・ 森林等の豊かな自然環境、地域の資源を活用した農林漁業体験や自然体験などの多様な体験活動の取組を推進します。
□子どもの遊び場の確保(公園、水辺、森林)
・ 都市公園、河川や海辺、森林などで、子どもが身近な自然に安心してふれあうことができ、安全で自由に遊べるよう、環境整備を推進します。
2.妊娠、出産、子育ての希望が実現できる社会へ
(4)安心して妊娠・出産できるように
≪妊娠・出産の支援体制、周産期医療体制を確保する≫
□妊婦健診や出産に係る経済的負担の軽減
・ 出産に係る経済的負担の軽減を図るとともに、市町村による妊婦等に対する早期の妊娠届出の勧奨や妊婦健診の公費負担などにより、妊娠の健康管理の充実及び経済的負担の軽減を図ります。
□周産期医療体制の整備・救急搬送受入体制の確保
・ 地域における周産期医療の中核となる総合周産期母子医療センター及びそれを支える地域周産期母子医療センター等への支援(新生児集中治療管理室(NICU)の整備等)、周産期医療に携わる医師・助産師等の確保、救急搬送受入体制の確保を図ります。
□産科医療補償制度
・ すべての分娩機関が産科医療補償制度に加入し、分娩に関する紛争の防止・早期解決を図るとともに、原因分析による将来の同種事例の防止に役立つ情報の提供などにより、産科医療の質の向上を図ります。
□マタニティマークの普及啓発
・ 妊婦健診の適正な受診や妊娠の届出について周知を図るとともに、社会全体で妊産婦に対するやさしい環境をはぐくんでいく「マタニティマーク」の普及を図ります。
□相談支援体制の整備(妊娠・出産、人工妊娠中絶等)
・ 生涯を通じた女性の健康支援(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)の視点から、妊娠・出産や人工妊娠中絶等の悩みを抱える者に対して、訪問指導等の母子保健事業を活用した相談支援のほか、「女性健康支援センター」等での相談援助体制の整備を図ります。
≪不妊治療への支援に取り組む≫
□不妊専門相談センター
・ 男女を問わず、不妊治療に関する情報提供や相談体制を強化するため、不妊に関する医学的な相談や不妊による心の悩みの相談等を行う不妊専門相談センターの整備を図ります。
□不妊治療に係る経済的負担の軽減等
・ 不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額の医療費がかかる不妊治療(体外受精、顕微授精)に要する費用に対する助成を行うとともに、適応症と効果が明らかな治療には医療保険の適用を検討し、支援を拡充します。
また、不妊治療における安全管理のための体制の確保が図られるようにします。
(5)誰もが希望する幼児教育と保育サービスを受けられるように
≪待機児童の解消や幼児教育と保育の質の向上等を図る≫
□保育所待機児童の解消
・ 就労希望者の潜在的な保育ニーズに対応し、就労しながら子育てしたい家庭を支えるため、保育所待機児童の解消を図ります。
とりわけ、待機児童の8割を占める3歳未満児の公的保育サービスの利用割合については、平成21年度末には対象児童の24%、潜在的な保育需要を合わせると、平成29年度には44%に達すると見込まれています。
このため、女性の就業率が段階的に上昇することを勘案し、平成26年度までに35%の保育サービス提供割合を目指し、潜在需要にも対応した待機児童の解消を図ります。
その際、保育所の整備に加えて、小中学校の余裕教室や幼稚園等の既存の社会資源の活用、賃貸物件を活用した保育所分園の整備、家庭的保育の拡充などを推進し、計画的に公的保育サービスの受入児童数の拡大を図ります。
□多様な保育サービスの提供
・ 働き方の多様化などによる保育ニーズに対応するため、延長保育、休日保育、夜間保育、病児・病後児保育、複数企業間での共同設置を含む事業所内保育等の多様な保育サービスの拡大を図ります。
□家庭的保育(保育ママ)の普及促進
・ 家庭的保育(保育ママ)の担い手の育成や環境整備についての支援を充実し、その普及促進を図ります。
□幼児教育と保育の質の向上
・ 教育基本法等に基づき改訂された「幼稚園教育要領」の円滑な実施を図るとともに、教員研修や学校評価等の充実を図ります。
また、「保育所保育指針」及び「保育所における保育の質の向上のためのアクションプログラム」に基づき、保育実践の改善・向上、子どもの健康及び安全の確保、保育士等の資質・専門性の向上を図ります。
□幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築
・ 保育制度改革を含む新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築については、すべての子どもの健やかな育ちを基本に置きつつ、社会全体で費用を負担する仕組みにより財源確保を図りながら、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(平成21年12月閣議決定)及び「新成長戦略(基本方針)」(平成21年12月閣議決定)に基づき検討し、平成23年通常国会までに所要の法案を提出します。その検討にあたっては、地域主権を進める観点から地方が主体的に実施するサービス給付等に係る国と地方の役割分担等の検討を併せて行います。
・ 新たな次世代育成支援のための制度体系の検討等とあわせて、認定こども園制度の在り方など、幼児教育、保育の総合的な提供(幼保一体化)の在り方についても検討し、結論を得ます。
【新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築に向けての検討事項】
・ 育児休業~保育~放課後対策への切れ目のないサービス保障
・ 市町村の責務の下、利用者への例外ないサービス保障等による利用者本位の仕組み
・ 多様なサービスメニューと客観的基準による指定制の導入等による潜在需要に対応した事業者の参入促進
・ サービスの質の向上
・ 基礎自治体(市町村)が実施主体
・ 社会全体(国・地方・事業主・本人)による費用負担
※例えば、フランスでは、「全国家族手当金庫」により、子育て支援に係る財源を一元的に管理する仕組みとなっています。
≪放課後対策に取り組む≫
□「放課後子どもプラン(放課後児童クラブ・放課後子ども教室)」の推進
・ 「放課後子どもプラン」などの取組について、全小学校区での実施を図るため、放課後児童クラブと放課後子ども教室を連携して実施する総合的な放課後児童対策を推進します。
□放課後児童クラブの充実
・ 就労希望者の潜在的なニーズに対応し、放課後児童クラブを利用したい人が必要なサービスを受けられるよう、受入児童数の拡充を図ります。
対象児童(小学校1~3年)のうち、放課後児童クラブを利用する者の割合については、潜在需要を合わせると、平成29年度には40%に達すると見込まれていますが、平成26年度までに32%のサービス提供割合を目指します。
また、放課後児童クラブを生活の場としている子どもの健全育成を図るため、「放課後児童クラブガイドライン」を踏まえ、放課後児童クラブの質の向上を図ります。
(6)子どもの健康と安全を守り、安心して医療にかかれるように
≪小児医療体制を確保する≫
□小児医療の充実
・ 休日・夜間も含め、小児救急患者の受入ができる体制を整備します。
また、子どもについては、親の保険料の滞納状況にかかわらず、一定の窓口負担で医療にかかれるようにします。
□小児慢性特定疾患治療研究事業等
・ 小児期における小児がんなど特定の疾患の治療について確立と普及を図るため、小児慢性特定疾患治療研究事業を推進するほか、未熟児の養育医療費の給付等を行います。
≪子どもの健康と安全を守る≫
□予防接種
・ 定期の予防接種を円滑に受けられるような環境の確保に努め、伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延の予防を図ります。
□こころの健康づくり
・ 児童思春期における心の問題に対応できる小児神経科、児童精神科等の医師の養成を図るとともに、精神保健福祉センター、児童相談所などにおける専門相談の充実を図ります。
また、児童生徒の心身の健康相談や健康教育の充実を図ります。
□性に関する科学的な知識の普及と発達段階に応じた適切な教育
・ 思春期の人工妊娠中絶やHIV感染症を含む性感染症問題に対応するため、学校や保健所等において、健康教育や電話相談等を行うことにより、人間としてそれぞれの性を尊重すること等正しい理解の推進と性に関する科学的な知識の普及を図ります。
□「食育」の普及促進
・ 子どもたちが、食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付け、豊かな人間性をはぐくめるよう、家庭・学校・保育所・地域等が連携した「食育」の取組を推進します。
□子どもの事故防止
・ 家庭内における子どもの事故防止について、母子保健事業等の機会を活用し保護者に周知・指導を行うほか、建築物、公園等の施設や製品などに関する子どもの事故情報の収集・調査や情報提供により、事故の未然・再発防止及び安全性の向上を図ります。
さらに、子どもの事故防止について、国自らの取組を加速化・重点化するとともに、家庭、学校、サークル、消費者団体、事業者、自治体等の取組を促進する「子どもを事故から守る!プロジェクト」を展開します。
□犯罪等の被害の防止
・ 学校、家庭やPTA等の団体、地域住民、関係各機関等が連携し、地域ぐるみで子どもの安全を守る環境の整備を推進します。
また、子ども自らが安全な行動をとれるようにするための安全教育の取組を推進します。
□子どもの健康に影響を与える環境要因の解明
・ 子どもの成長・発達に影響を及ぼす環境要因(環境中の化学物質の曝露、生活環境等)を解明し、子どもが健やかに育つ環境の実現を目指すため、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を実施します。
(7)ひとり親家庭の子どもが困らないように
≪ひとり親家庭への支援を推進する≫
□子育て・生活支援
・ 保育所の優先入所やヘルパーの派遣などによる子育てや家事支援などを推進します。
□就業支援
・ 母子家庭等就業・自立支援センターやハローワーク等による就業支援、職業訓練などによる資格・技能の取得支援、在宅就業等を推進します。
□経済的支援の充実
・ 児童扶養手当について、母子家庭だけでなく父子家庭にも支給することとするとともに、母子家庭の自立を支援する観点から、母子寡婦福祉貸付金の貸付け等の充実を図ります。
また、平成21年12月に復活した生活保護の母子加算を引き続き支給します。
□養育費の確保
・ 養育費相談支援センターや母子家庭等就業・自立支援センター等において、養育費に関する専門知識を有する相談員が、養育費の取り決め等について相談・情報提供を行うとともに、養育費相談支援センターにおいて相談員の研修等を実施します。
(8)特に支援が必要な子どもが健やかに育つように
≪障害のある子どもへの支援に取り組む≫
□障がい者制度改革推進本部における取組
・ 障がい者制度改革推進会議の議論を踏まえて、障害のある子どもの支援を含む障害者制度の改革を推進します。
□ライフステージに応じた一貫した支援の強化
・ 地域において障害のある子どもとその家族を支えていく体制を整備するとともに、乳児期、就学前、学齢期、青年期、成年期などライフステージに応じて、保健・医療・福祉・教育・就労などの連携した支援を行います。
□障害のある子どもの保育
・ 障害のある子どもの専門機関である障害児通園施設や児童デイサービスについて、地域への支援を強化する観点から支援を行うとともに、子どもの育ちに必要な集団的な養育のため、保育所や幼稚園等における障害のある子どもの受入れ体制の整備促進を図ります。
□発達障害のある子どもへの支援の充実
・ 発達障害のある子どもの早期発見、早期の発達支援、ライフステージに対応する一貫した支援や家族への支援など、地域における支援体制の充実を図ります。
□特別支援教育の推進
・ インクルーシブ教育システムの構築という障害者権利条約の理念を踏まえ、発達障害を含む障害のある子ども一人ひとりのニーズに応じた一貫した支援を行うために、関係機関等の連携により学校現場における特別支援教育の体制整備を進めるとともに、教員の特別支援教育に関わる専門性の向上等により、特別支援教育の推進を図ります。
≪児童虐待を防止するとともに、社会的養護を充実する≫
□児童虐待防止に向けた普及啓発(オレンジリボン・キャンペーン)
・ 児童虐待の現状を広く国民に周知するとともに、オレンジリボン・キャンペーン等の啓発活動により、社会全体として児童虐待を防止する機運を高めます。
□児童虐待の早期発見・早期対応
・ 市町村における「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」の機能強化を図るとともに、相談、支援を行う児童福祉司等の確保などにより児童相談所の体制強化を図ります。
また、保育所や幼稚園、小・中学校等の関係機関における職員等の対応スキルの向上により、児童虐待の早期発見・早期対応体制の充実を図ります。
□家庭的養護の推進
・ 児童養護施設等の施設のケア単位の小規模化の推進、里親や小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)の拡充など家庭的養護を推進します。
□年長児の自立支援策の拡充
・ 児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)などの拡充、施設を退所した者等に対する支援の充実を図ります。
□社会的養護に関する施設機能の充実
・ 専門的なケアや自立支援に向けた取組、継続的・安定的な環境での支援の確保等、子どもの状態や年齢に応じた適切なケアを実施できるよう、現行の施設機能の在り方の見直しや体制の充実について検討します。
□施設内虐待の防止
・ 改正児童福祉法(平成21年4月施行)を踏まえ、児童養護施設等に入所する児童の権利擁護の強化や、基幹的職員(スーパーバイザー)の養成研修などケアの質の確保のための取組の推進などにより、施設内虐待(被措置児童等虐待)の防止の徹底を図ります。
≪定住外国人の子どもなど特に配慮が必要な子どもたちへの支援を推進する≫
□定住外国人の子どもに対する就学支援
・ 「定住外国人支援に関する対策の推進について」(平成21年4月)に基づき、経済上の問題から就学が困難となっている定住外国人の子どもたちに対する就学支援を引き続き推進します。
□自死遺児への支援
・ 自殺により家族等を失った遺児への支援を充実するため、自死遺児支援に携わる民間団体等に対する研修の充実を図ります。
≪子どもの貧困率への取組を行う≫
□子どもの貧困率について
・ 子どもの貧困率について、継続的に調査を行いその状況を把握するなど、必要な対応を進めます。
3.多様なネットワークで子育て力のある地域社会へ
(9)子育て支援の拠点やネットワークの充実が図られるように
≪地域における子育て支援の拠点等の整備及び機能の充実を図る≫
□乳児の全戸訪問等(こんにちは赤ちゃん事業等)
・ 乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)を実施するとともに、保護者の養育を支援することが特に必要な家庭に対しては、養育支援訪問事業等の適切なサービスの提供を行うなど、切れ目のない支援体制を確立します。
また、出産前において支援を行うことが必要な妊婦に対し、訪問等の支援を行います。
□地域子育て支援拠点の設置促進
・ 子育て家庭等の育児不安に対する相談・指導や、親子が気軽に集うことのできる場を提供するなどの地域の子育て支援拠点(ひろば型、センター型、児童館型)の設置を促進します。
□ファミリー・サポート・センターの普及促進
・ 乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として、送迎や放課後の預かり等の相互援助活動を行うファミリー・サポート・センターの普及促進を図ります。
また、病児・病後児の預かりや送迎等の取組についても普及を図ります。
□一時預かり、幼稚園の預かり保育
・ 就労形態の多様化に対応する一時的な保育や、専業主婦家庭等の一時的に子育てが困難となる際の保育等に対応する一時預かりサービスを拡充するとともに、幼稚園の預かり保育を推進します。
□商店街の空き店舗や小中学校の余裕教室や幼稚園等の活用
・ 商店街の空き店舗や小中学校の余裕教室や幼稚園等を活用し、地域における子育て支援や親子交流等の機能を担う場の設置を促進します。
□子育て総合支援コーディネーター
・ 子育て家庭が適切なサービスを選択し利用できるように、市町村における子育て支援総合コーディネート機能の充実を図ります。
≪地域住民の力の活用、民間団体の支援、世代間交流を促進します≫
□NPO活動等の地域子育て活動の支援
・ 地域子育て創生プロジェクト(安心こども基金)の活用等により、子育て支援活動を行うNPOや育児・子育てサークル等の設立支援や養成、ボランティアの育成などを行い、子育て支援活動に対する地域の多様な活動を支援します。
□地域の退職者や高齢者等の人材活用・世代間交流
・ 退職者や高齢者等が地域における子育ての担い手として活躍できるよう支援するとともに、世代間交流の促進を図ります。
□企業参加型の子育て支援
・ 商店街や企業の協賛を得ながら実施しているパスポート等事業を普及させるなど、企業参加型の子育て支援の取組を促進します。
□官民連携子育て人材育成
・ 子育て支援に関するNPOの活動に従事する者の連携の推進を図るとともに、自治体、経済界、労働界、企業等における仕事と生活の調和や子育て支援を推進するリーダーを育成します。
(10)子どもが住まいやまちの中で安全・安心にくらせるように
≪子育てに適した住宅・居住環境の確保を図る≫
□融資、税制を通じた住宅の取得等の支援
・ 子育て世帯が子育てに適した住宅を取得し、又は子どもの成長に応じ、増改築や改修をしやすくできるよう、融資や税制等を活用し、子育てに適したゆとりある住宅の確保を図ります。
□良質なファミリー向け賃貸住宅の供給促進
・ 地域優良賃貸住宅制度や民間供給支援型賃貸住宅制度等により、子育て世帯等を対象とした優良な賃貸住宅の供給を支援します。
□公的賃貸住宅ストックの有効活用等による居住の安定の確保
・ 公的賃貸住宅において、事業主体による子育て世帯等に対する当選倍率優遇等の対応を推進します。
□公的賃貸住宅と子育て支援施設との一体的整備等の推進
・ 公的賃貸住宅・団地の建替え等に際し、保育所等との合築・併設を推進します。
また、子育て世帯等の居住安定確保に資する先導的取組に係る提案を募集し、その実現・普及を支援します。
□街なか居住等の推進
・ 職住近接で子育てしやすい都心居住、街なか居住を実現するため、住宅の供給や良好な住宅市街地などの環境整備を行います。
≪安全に安心して暮らせるよう、子育てバリアフリーなどを推進する≫
□子育てバリアフリーの推進
・ ユニバーサル・デザインの考え方を踏まえ、都市公園や公共性の高い建築物、公共交通機関における旅客施設や車両等において、段差の解消や子育て世帯にやさしいトイレの整備等のバリアフリー化を推進します。
□道路交通環境の整備
・ 歩行空間のバリアフリー化及び通学路における安全・安心な歩行空間の確保を図るとともに、あんしん歩行エリアにおける面的な交通事故対策を推進します。
□交通安全教育等の推進
・ 子どもの発達段階に応じた交通安全教育を推進するとともに、チャイルドシートの正しい使用の徹底や、幼児二人同乗用自転車の安全利用の普及などを図ります。
□子ども目線のものづくりの推進(キッズデザインの推進)
・ 子どもの安全・安心と健やかな成長発達につながる生活環境の創出を目指すため、子どもの目線でのものづくりを推進します。
4.男性も女性も仕事と生活が調和する社会へ(ワーク・ライフ・バランスの実現)
(11)働き方の見直しを
≪長時間労働の抑制、テレワークの活用等、働き方の見直しに向けた環境整備を図る≫
□「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」・「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に基づく取組の推進
・ 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に基づき、政労使、地方公共団体等が密接に連携しながら、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の実現に向け、総合的な取組を推進します。
□長時間労働の抑制及び年次有給休暇の取得促進
・ 長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等、労働者の健康と生活に配慮し、多様な働き方に対応できるような労使の自主的な取組(労働時間等の設定の改善)について、事業主等が適切に対処するために必要な事項を定めた「労働時間等見直しガイドライン」(労働時間等設定改善指針)を周知します。
また、長時間労働の抑制のための重点的な監督指導等を実施します。
□労働時間等の設定の改善に取り組む中小企業に対する支援・助成
・ 中小企業における労働時間等の設定改善を促進するため、助成金の支給などの支援を行います。
□ライフスタイルに応じた多様な働き方の選択肢の確保
・ 育児・介護休業、短時間勤務、短時間正社員制度等の企業への制度導入・定着により多様な働き方を推進するとともに、パート労働者の均等・均衡待遇の推進、働く意欲と能力のある女性の再就職や就業継続の支援の促進など、多様な働き方を選択できる条件を整備します。
□テレワークの推進
・ 子育てや仕事と生活の調和等の観点から、情報通信技術を活用した、時間と場所にとらわれない柔軟な働き方であるテレワークについて普及促進を図ります。
□農業経営体等における女性が働きやすい環境づくりの推進
・ 農山漁村において、仕事と子育ての両立が図られるよう、実態調査や普及啓発等を通じ、子育て期の女性が働きやすい環境づくりを推進します。
≪男性の子育てへの関わりを促進する≫
□男性の育児休業の取得促進(パパ・ママ育休プラス)
・ 父親も子育てができる働き方の実現に向けて、父母がともに育児休業を取得する場合に育児休業取得可能期間を延長する「パパ・ママ育休プラス」(日本版「パパ・クオータ」)などの制度の周知と定着を推進し、男性の育児休業の取得促進を図ります。
□父親の育児に関する意識改革、啓発普及
・ 父親の育児休業に関する啓発資料や育児休業体験記による周知等により、男性の育児に関する意識改革や啓発普及を促進します。
□男性の家事・育児に関する意識形成
・ 男女が協力して家事・育児に参画することの重要性について、若い頃からの教育・啓発を通じて意識形成を図ります。
(12)仕事と家庭が両立できる職場環境の実現を
≪育児休業制度その他の両立支援制度の普及・定着及び継続就業の支援とともに、子育て女性等の再就職支援を図る≫
□育児休業や短時間勤務等の両立支援制度の定着
・ 育児休業、子育て中の短時間勤務・所定外労働の免除、子の看護休暇等の育児・介護休業法に基づく制度について、有期契約労働者を含め周知を図るとともに、企業の制度として定着するよう、指導を徹底します。
また、育児休業給付により、育児休業中の経済的支援を行います。
□両立支援制度を利用しやすい職場環境の整備
・ 両立支援制度を利用しやすい職場環境を整えるとともに、法に定める最低基準を上回る制度の導入を促進するため、事業主に対する助言や助成等の支援を進めます。
□育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いの防止
・ 妊娠・出産、育児休業等の取得などを理由とする解雇その他の不利益な取扱いの防止に向け、周知や相談を充実するとともに、企業への指導を徹底します。
また、育児休業申出書及び育児休業取扱通知書を普及し、一層の改善を図ります。
□妊娠中及び出産後の健康管理の推進
・ 企業における妊娠中及び出産後の健康管理の整備を進めるとともに、医師等の指導事項を的確に伝達するための母性健康管理指導事項連絡カードの活用等により、妊娠中及び出産後の女性労働者に対する適切な健康管理の推進を図ります。
□子育て女性等の再就職支援(マザーズハローワーク事業)
・ 子育て等のために離職した者の再就職を総合的かつ一貫して支援するため、マザーズハローワーク事業による再就職支援の充実を図ります。
□男女雇用機会均等の確保による就業継続の支援
・ 男女が職場で十分に能力を発揮しながら、出産・子育てができる環境整備の観点から、公正公平な人事評価・処遇を含む企業におけるポジティブ・アクションの普及促進を図ります。
≪企業等における取組の「見える化」によりもう一段の取組を推進する≫
□企業経営者等の意識変革
・ 企業とそこで働く者が、協調して生産性の向上に努めつつ、職場の意識や職場風土の改革とあわせ働き方の改革に自主的に取り組めるよう、企業経営者等の意識変革を図るための研修や周知啓発等を図ります。
□一般事業主行動計画(次世代育成支援対策推進法)の策定・公表の促進
・ 企業における次世代育成支援に関する取組が推進されるよう、中小企業を含め、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定を促進します。また、一般事業主行動計画及び企業の次世代育成支援の取組全体の公表を促進します。
□次世代認定マーク(くるみん)の周知・取組促進
・ 次世代認定制度及び次世代認定マーク(くるみん)の広報・周知に努め、企業が認定の取得を目指して、次世代育成支援対策の取組に着手するようインセンティブを高めます。
また、認定企業の取組の好事例について、幅広く発信し、更なる企業の次世代育成支援の取組を促進します。
□顕彰制度等による積極的取組企業の社会的な評価の推進
・ 「均等・両立推進企業表彰」(ファミリー・フレンドリー企業部門表彰など)の顕彰制度等により、積極的取組企業の社会的な評価を推進します。
□入札手続等における対応
・ 仕事と生活の調和等の企業の取組を促進するため、入札手続時において競争制限的とならないよう留意しつつ企業努力を反映するなど、インセンティブを付与することについて、検討します。