第2節 「子ども・子育て新システム」の構築に向けた検討

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幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築について検討を行うため、2010(平成22)年1月に、「子ども・子育て新システム検討会議」と「作業グループ」が設置され、同年6月を目途に基本的な方向を固め、少子化社会対策会議等に報告することとされた。

「作業グループ」において行った、有識者、保育関係団体、幼稚園関係団体、NPO等の保育に関わる民間事業者、地方自治体、労使団体、保護者団体からのヒアリングを踏まえ、「子ども・子育て新システム検討会議」では、2010年4月に「子ども・子育て新システムの基本的方向」を取りまとめ、さらに議論を重ね、同年6月に「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」(以下「基本制度案要綱」という。)が少子化社会対策会議において決定された。

基本制度案要綱では、すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子どもを大切にする社会、出産・子育て・就労の希望がかなう社会、仕事と家庭の両立支援で、充実した生活ができる社会、新しい雇用の創出と、女性の就業促進で活力ある社会を実現することが目的として掲げられている。そして、社会全体による子ども・子育て支援、利用者(子どもと子育て家庭)本位を基本とした、すべての子ども・子育て家庭に必要な良質のサービスの提供、基礎自治体(市町村)中心を前提とした住民の多様なニーズに応えるサービスの実現と、政府の推進体制の一元化といった方針の下に、制度を構築することとされている。

この基本制度案要綱に基づき、2010年9月より「子ども・子育て新システム検討会議」の「作業グループ」の下で、有識者、保育・幼稚園関係者、地方団体、労使代表、子育て当事者などの関係者の参集を得て、「基本制度ワーキングチーム」、「幼保一体化ワーキングチーム」、「こども指針(仮称)ワーキングチーム」の3つのワーキングチームを開催し、制度の具体的内容について議論が進められている。

これまでのワーキングチームにおいては、次のような給付や事業を「子ども・子育て新システム」(以下「新システム」という。)の対象とする方向で議論が行われている。

・子ども手当(現金給付)

・地域子育て支援事業(仮称)(3歳未満児を中心に、保育所等を利用せず家庭で子育てを行っている方を支援する地域子育て支援拠点事業や一時預かり等の事業)

・こども園給付(仮称)(こども園(仮称)(総合施設(仮称)、幼稚園、保育所、それ以外の客観的な基準を満たした施設)の利用者に対する給付)

・地域型保育給付(仮称)(こども園(仮称)以外の小規模保育、家庭的保育(保育ママ)等の利用者に対する給付)

・放課後児童クラブ(就学後の児童に放課後の遊びと生活の場を提供する事業)

など

幼保一体化については、次のような仕組みにより、質の高い学校教育・保育の一体的提供、保育の量的拡大、家庭における養育支援の充実を図ることを検討している。

<1> 給付システムの一体化

・市町村が市町村新システム事業計画(仮称)を策定し地域における学校教育・保育の計画的整備を行う。

・多様な事業主体の保育事業への参入を促進する。

・学校教育・保育に係る給付を一体化したこども園給付(仮称)を創設する。

<2> 施設の一体化

・学校教育・保育及び家庭における養育支援を一体的に提供する総合施設(仮称)を創設する。

また、「社会保障改革の推進について」(2010年12月14日閣議決定)において、社会保障の安定・強化のための制度改革案と、必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革について一体的に検討を進めることが示され、その中で優先的に取り組むべき子ども子育て対策・若者支援対策として、子ども・子育て新システム法案(仮称)の早期提出に向け、検討を急ぐこととされた。

新システムの制度設計に関しては、社会保障改革の議論に合わせ、引き続きワーキングチームを開催し検討を進めることとされている。

第1-1-5図 子ども・子育て新システムについて

第1-1-6図 子ども・子育て新システム検討会議体制図

第1-1-7図 給付設計の全体像

第1-1-8図 幼保一体化の具体的な仕組みについて

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