第2節 意欲を持って就業と自立に向かえるように

[目次]  [戻る]  [次へ]


1.若者の自立した生活と就労に向けた支援に取り組む

1)非正規雇用対策の推進

非正規労働者の集中する地域に「非正規労働者総合支援センター」を、全国の主要なハローワークに「非正規労働者総合支援コーナー」を設置し、求職者のニーズや能力等に応じて、担当者制によるきめ細かな職業相談・職業紹介、生活相談等を実施する。

また、派遣労働者の雇用の安定を図るため、登録型派遣、製造業務派遣の原則禁止等を盛り込んだ労働者派遣法改正案を2010(平成22)年4月に提出し、継続審議となっているところである。

2008(平成20)年に施行された改正短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「改正パートタイム労働法」という。)に基づく行政指導等を実施するとともに、パートタイム労働者の均衡待遇の確保等に取り組む事業主等に対する相談支援、短時間労働者均衡待遇推進助成金の支給等を行っている。なお、同助成金については、2011(平成23)年4月から、中小企業雇用安定化奨励金と整理・結合して、新たに均衡待遇・正社員化推進奨励金を創設し、有期契約労働者とパートタイム労働者の均衡待遇の確保、正社員への転換を一体的に推進している。

2)若者の就労支援

(1) 学校段階から職場定着に至るまでの総合的・継続的なキャリア形成・就職支援策

ア.初等中等教育段階におけるキャリア教育の推進

中央教育審議会答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(2011(平成23)年1月31日)を踏まえて、「キャリア教育における外部人材活用等に関する調査研究協力者会議」を開催している。同協力者会議においては、キャリア教育に関して外部人材を導入するに当たっての学校・教育委員会における態勢づくりや活用方策、職場体験・インターンシップの効果的な活用等、キャリア教育を推進するための教育委員会等における組織・態勢の在り方などについて検討を行っていくこととしている。

イ.高等教育段階におけるキャリア教育の推進

社会で共通して求められる基礎的な能力(社会人基礎力)の育成を推進する観点から、2010(平成22)年度は、過去3カ年に全国のモデル大学において開発された、ゼミ・研究室等の教育活動を通して体系的に社会人基礎力の育成・評価を実施するプログラムをより多くの大学に普及させるための「社会人基礎力育成事例研究セミナー」を全国7都市にて開催した。

ウ.今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方の検討

文部科学省では、2008(平成20)年12月、今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について、中央教育審議会に対して諮問し、2011年1月に「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」が取りまとめられた。

答申では、人々の生涯にわたるキャリア形成を支援する観点から、次の3つの基本的方向性に沿った具体的な方策が提言されている。

【基本的方向性】

・幼児期の教育から高等教育に至るまでの体系的なキャリア教育の推進

・実践的な職業教育の重視と職業教育の意義の再評価

・生涯学習の観点に立ったキャリア形成支援(生涯学習機会の充実、中途退学者などの支援)

(2) 就職経路の複線化に対応した多様な就職システムの整備

ア.フリーター等の就労支援の推進

(ア) ハローワークにおけるフリーター等正規雇用化支援

ハローワークにおいて、広くフリーター等に対し、支援対象者一人ひとりの課題に応じて、正規雇用化に向け、一貫したきめ細かな支援を実施している。

(イ) 若年者等トライアル雇用等の活用

職業経験、技能、知識の不足等により就職が困難な若年者等について、一定期間(原則3か月)試行的に雇用することにより、業務遂行に当たっての適性や能力などを見極めるとともに、求職者及び求人者の相互理解を促進し、その後の正規雇用を図る「若年者トライアル雇用事業」(1人4万円、最大3か月)等を実施している。

(ウ) ジョブ・カード制度の推進

ジョブ・カード制度は、フリーター等の正社員経験の少ない方を対象に、きめ細かなキャリア・コンサルティングや、企業実習と座学を組み合わせた実践的な職業訓練の機会を提供し、企業からの評価結果や職務経歴等をジョブ・カードとして取りまとめることにより、正社員としての就職へと導く制度であり、これまでの累計で、ジョブ・カード取得者数は約38.6万人(2010年12月末)、職業訓練受講者数は約12万人(2010年12月末)となっている。

イ.就労が困難な若者に対する職業的自立支援の推進

地方自治体との協働により地域の若者支援機関からなるネットワークを構築するとともに、その拠点となる地域若者サポートステーションを設置(2010年度:100か所)し、状況に応じた専門的な相談などの就労支援を行っている。

(3) 若年者に対する技能啓発の推進

公共職業能力開発施設、認定職業訓練施設及び工業高校等において技能を習得中の20歳以下の若者に対して技能レベルを競い合う場として若年者ものづくり競技大会を実施している。また、工業高校や職業訓練校等で技能を学ぶ学生や訓練生等を対象として、若年技能者の人材育成を目的とした3級技能検定を実施するなど、若年労働者の技能離れの防止や技能労働者の定着化に努めている。

(4) 若年者のためのワンストップサービスセンター(通称ジョブカフェ)の整備

地方公共団体と産業界、学校等の連携の下、若者に対するカウンセリングから研修等までの一連の就職支援サービスを提供する「若年者のためのワンストップサービスセンター(通称ジョブカフェ)」を都道府県が設置している。

全国46都道府県(90か所)(2010年4月現在)にジョブカフェが設置されており、うち40都道府県において、都道府県からの要望に応じてハローワークを併設している。

3)子ども・若者育成支援推進法に基づく支援

「子ども・若者育成支援推進法」が2009(平成21)年7月に成立し、2010(平成22)年4月1日より施行され、教育、福祉、雇用等各関連分野における施策の総合的推進とともに、ニート、ひきこもり等困難を抱える子ども・若者への支援を行うために地域の関係機関等が連携して支援するためのネットワークづくりを推進している。

[目次]  [戻る]  [次へ]