第3節 社会生活に必要なことを学ぶ機会を

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1.生命の大切さ、家庭の役割等についての理解を深める

1)妊娠や家庭・家族の役割に関する教育・啓発普及

学校における性に関する指導は、児童生徒が性に関して心身の発育・発達と健康、性感染症等の予防、人口妊娠中絶などに関する知識を確実に身に付け、適切な行動を取れることを目的として実施されており、体育科、保健体育科、特別活動、道徳などを中心に学校教育活動全体を通じて指導することとしている。

また、小学校、中学校、高等学校において、発達の段階を踏まえ、関連の深い教科を中心に、家庭・家族の役割への理解を深める教育がなされている。

2)乳幼児とふれあう機会の提供

保育所、児童館や保健センターなどの公的施設等を活用して、主に、中学生及び高校生が乳幼児と出会い、ふれあう機会を広げるための取組を推進している。

3)学校・家庭・地域における取組の推進

小学校、中学校、高等学校の各学校段階で、関係教科、道徳、総合的な学習の時間及び特別活動において相互の連携を図りながら子育てへの理解を深める教育が実施されている。

家庭や地域における取組としては、夫婦で共同して子育てをすることの大切さや命の大切さなどについて、保護者が理解を深められるよう、地域が主体的に実施する家庭教育に関する取組を支援している。

4)「家族の日」「家族の週間」等を通じた理解促進

社会全体における理解と広がりをもった取組を促進するため、「家族の日」、「家族の週間」を中心として、啓発事業を実施し、生命を次代に伝え育んでいくことや、子育てを支える家族・地域の大切さの再認識を図っている。

5)家族形成に関する調査・研究等

2010(平成22)年度において、「少子化社会に関する国際意識調査」や「結婚・家族形成に関する調査」などを行った。後者の調査においては、20代・30代の未婚者と既婚者を対象にしたインターネットによる意識調査を行った。さらに、全国の地方自治体やNPO・団体で実施している結婚支援事業について、アンケート調査を行うとともに、地域おこしなどほかの団体の参考になるような先進的事例についてのヒアリング調査を行い事例集を取りまとめ、これらを広く情報提供し、結婚支援に着手しようとしている地方自治体等を支援することとしている。

2.学びや体験を通じ豊かな人間性を育成する

1)地域ぐるみで子どもの教育に取り組む環境の整備

(1) 地域の教育力の向上に向けた取組

ア 学校支援地域本部事業

地域住民がボランティアとして学校の教育活動を支援し、地域全体で子どもを育てる体制づくりを行う学校支援地域本部事業を実施している。

イ 放課後子ども教室推進事業

放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用して、子どもたちの活動拠点(居場所)を設け、地域の方々の参画を得て、学習活動やスポーツ・文化芸術活動等の体験活動、地域住民との交流活動等の機会を提供する「放課後子ども教室推進事業」を実施している。

(2) 家庭の教育力の向上に向けた取組

すべての親が安心して家庭教育を行うことができるよう、家庭教育支援チームの設置・活用や地域人材の養成、学校を始めとした多くの親が集まる様々な場を活用した学習機会の提供など、社会全体の協働による地域の主体的かつ持続可能な取組への支援を実施しており、地域住民、学校、行政、NPO、企業等との協働による、地域における家庭教育支援の活性化を図るため、地域や企業等が実践する効果的な取組事例等を活用した研究協議を行い、全国的な啓発を行った。

2)消費者教育等の推進

消費者庁と文部科学省が連携を図りながら、消費者教育を推進しており、消費者教育ポータルサイトによる、消費者教育用教材の提供、新学習指導要領を反映した消費者教育用教材等の作成・配布、効果的な教育手法についての調査研究等を行っており、今後も、新たな消費者基本計画(2010(平成22)年3月30日閣議決定)や新学習指導要領などを踏まえ、学校・家庭・地域における消費者教育を推進することとしている。

3)地域や学校における体験活動

(1) 地域における体験活動の推進

放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用して、子どもたちの活動拠点(居場所)を設け、地域の方々の参画を得て、学習活動やスポーツ・文化芸術活動等の体験活動、地域住民との交流活動等の機会を提供する「放課後子ども教室推進事業」を実施している。

また、「青少年体験活動総合プラン」を実施し、長期自然体験活動の指導者養成に取り組むとともに、青少年の様々な課題に対応した体験活動を推進している。

(2) 学校における体験活動の推進

小学校においては、「豊かな体験活動推進事業」を実施し、児童の豊かな人間性や社会性を育むため、学校教育において行われる自然の中での集団宿泊活動を推進する取組を支援している。

4)文化・芸術活動

(1) 学校における文化活動の推進

子どもたちが、学校において、文化芸術団体や芸術家による舞台芸術公演を鑑賞し、ワークショップ等を体験することを通じて、子どもたちの豊かな感性や発想力を育む取組を推進している(2010(平成22)年度実施公演数:1,582公演、講師派遣か所数:1,301か所)。

(2) 伝統文化こども教室

子どもたちに対し、土・日曜日などにおいて学校、文化施設等を拠点とし、民俗芸能、工芸技術、邦楽、日本舞踊、武道、茶道、華道などの伝統文化に関する活動を、計画的、継続的に体験・修得できる機会を提供した(2010年度採択事業数:4,870事業)。

5)自然とのふれあいの場

国立公園等において、子どもたちに自然保護官(レンジャー)やパークボランティアの指導・協力の下、自然の中でのマナーの習得、自然環境の復元維持活動などを行う機会を提供した。

また、地方公共団体や企業等との連携の下、子どもたちが環境保全活動・環境学習を行うことを支援する「こどもエコクラブ事業」を推進し、自然観察や水質調査などの環境学習やリサイクル活動などの環境保全活動に参加する機会を提供した。

6)農林水産業の体験や、都市と農山漁村との交流体験

総務省、文部科学省、農林水産省が連携し、小学生が農山漁村において、農林漁家への宿泊や農林漁業体験などの宿泊体験活動を行う「子ども農山漁村交流プロジェクト」を推進している。

7)子どもの遊び場の確保(公園、水辺、森林)

都市公園については、歩いていける範囲の公園の整備や、各種運動施設や遊戯施設等を有する総合的な公園などの整備を推進している。

身近な水辺等における環境学習・自然体験活動を推進するため市民団体や教育関係者、河川管理者等が一体となった取組体制の整備とともに、水辺での活動に必要な機材(ライフジャケット等)の貸出しや学習プログラムの紹介など、水辺での活動を総合的に支援する仕組みを構築し、必要に応じ、水辺に近づきやすい河岸整備等(水辺の楽校プロジェクト:2009 (平成21)年度末279か所登録)をはじめとする「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」(2009年度末285か所登録)を実施している。

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