第2節 誰もが希望する幼児教育と保育サービスを受けられるように
1.待機児童の解消や幼児教育と保育の質の向上等を図る
1)保育所待機児童の解消
保育所待機児童数については3年連続で増加し、2010(平成22)年4月時点で2万6,275人(対前年比891人増)となっている。
2008(平成20)年度第2次補正予算において都道府県に創設した「安心こども基金」を、2010(平成22)年度補正予算において積み増しするとともに、2010年度末までとしていた事業実施期限を2011年度末まで延長し、保育所の整備や認定こども園への支援などを、集中重点的に進めている。
さらに、喫緊の課題である待機児童解消のため、内閣総理大臣指示により、内閣府特命担当大臣(少子化対策担当)を主査として「待機児童ゼロ特命チーム」を設置し、2010年11月29日に「国と自治体が一体的に取り組む待機児童解消『先取り』プロジェクト」を取りまとめた。
加えて、都市再生機構賃貸住宅では、地方公共団体と連携しつつ、団地再生事業等により生じた整備敷地や既存の空き店舗等の活用による、保育所の設置に努めている。
2)多様な保育サービスの提供
多様な保育ニーズに対応するため、延長保育、夜間保育、病児・病後児保育事業等について引き続き推進を図るとともに、地域の保育資源として認可外保育施設が認可保育所に移行するために必要な補助を行っている。
3)家庭的保育(保育ママ)の普及促進
家庭的保育事業(保育ママ。保育所等と連携しながら、保育者の居宅等において少人数の就学前児童を保育する)を実施する市区町村に対し、経費の補助を行っている。また、複数の家庭的保育者が同一の場所で実施する「グループ型小規模保育事業」を進めていくこととしている。
4)幼児教育と保育の質の向上
2010(平成22)年には、「幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議」において、子どもの発達と学びの連続性を踏まえた幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について検討を行い、同年11月に報告書が取りまとめられた。
保育所については、子どもの視点に立ったサービスの向上を目指し第三者評価事業を推進しており、保育所保育指針においても保育所及び保育士の自己評価について、努力義務を新たに定め、2009(平成21)年3月に「保育所における自己評価ガイドライン」を作成した。
5)幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築
幼保一体化を含め、新たな次世代育成支援のための制度・給付・財源の包括的・一元的な制度(以下「子ども・子育て新システム」という。)の構築を進めるため、2010(平成22)年1月に関係閣僚で構成する「子ども・子育て新システム検討会議」を立ち上げた。同会議の下で作業グループを開催し、関係者からのヒアリング等を行い、同年6月に「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」を同会議において取りまとめ、少子化社会対策会議に報告、決定された。
その後、より具体的な制度の検討を進めるため、同会議の下で有識者等の参画を得て3つのワーキングチームを開催し、関連法案の早期提出を目指し、議論を進めている。
2.放課後対策に取り組む
1)「放課後子どもプラン(放課後児童クラブ・放課後子ども教室)」の推進
文部科学省と厚生労働省が連携・協力して、地域社会の中で、放課後や夏休みなどの長期休暇時に子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを推進し、総合的な放課後児童対策として、「放課後子どもプラン」を実施している。
2)放課後児童クラブの充実
対象児童(小学校1~3年生)のうち、放課後児童クラブを利用する者の割合については、潜在需要を合わせると、2017(平成29)年度には40%に達すると見込まれており、2014(平成26)年度までに32%のサービス提供割合を目指すこととしている。
また、放課後児童クラブを生活の場としている子どもの健全育成を図るため、「放課後児童クラブガイドライン」を踏まえ、放課後児童クラブの質の向上を図ることとしている。