第3節 子どもの健康と安全を守り、安心して医療にかかれるように

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1.小児医療体制を確保する

1)小児医療の充実

小児救急医療については、初期救急では、小児初期救急センター運営事業(2009(平成21)年度~)を、入院を要する救急(二次救急)では、二次医療圏単位で当番制等により小児救急対応が可能な病院を確保する小児救急医療支援事業や、複数の二次医療圏ごとに小児救急患者を受け入れる病院を確保する小児救急医療拠点病院事業を実施し、充実を図っている。

2)小児慢性特定疾患治療研究事業等

小児慢性疾患のうち、小児がん等特定の疾患については、治療が長期間にわたり、医療費の負担も高額となることからその治療の確立と普及を図り、あわせて患者家庭の医療費の負担軽減にも資するため、医療費の自己負担分の一部を補助する小児慢性特定疾患治療研究事業を実施している。

2.子どもの健康と安全を守る

1)予防接種

2009(平成21)年4月の新型インフルエンザ(A/H1N1)の発生とその対策を契機として、予防接種制度全般の見直しに関する国民の気運が高まり、それを受け同年12月に厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会を新たに設置した。現在、予防接種部会においては、同部会が2010(平成22)年2月に取りまとめた「第一次提言」を踏まえ、予防接種法の対象となる疾病・ワクチン(ヒブ、肺炎球菌、子宮頸がんなど)の在り方、接種費用の負担の在り方、予防接種に関する評価・検討組織の在り方などについて、議論を行っているところである。

2)こころの健康づくり

2008(平成20)年度から、経験豊かな退職した養護教諭を養護教諭未配置校等に派遣し、教職員に対する研修等を行い、児童・生徒が抱える現代的な健康問題に対処できる環境を整備するスクールヘルスリーダー事業を実施している。

また、児童思春期におけるこころの健康づくり対策として、児童思春期におけるこころのケアの専門家の養成研修を行い、精神保健福祉センター、児童相談所等で児童思春期の専門相談を実施している。

3)性に関する科学的な知識の普及と発達段階に応じた適切な教育

生涯を通じた女性の健康支援事業では、保健所、市町村保健センター等において、妊娠、避妊や性感染症を含めた女性の心身の健康に関する相談指導のほか、女性のライフステージに応じた健康教育等を実施しており、学習指導要領においては、学校における性に関する指導は、児童生徒が性に関して心身の発育・発達と健康、性感染症等の予防などに関する知識を確実に身に付け、生命の尊重や自己及び他者の個性を尊重し、相手を思いやり、望ましい人間関係を構築するなど、適切な行動を取れることを目的として実施されており、体育科、保健体育科、特別活動、道徳などを中心に学校教育活動全体を通じて指導することとしている。

また、学校において適切な性に関する指導が実施されるよう、効果的な指導方法について実践研究等を実施するとともに、各地域における指導者養成と普及を目的とした研修会を行ったところである。

4)「食育」の普及促進

2005(平成17)年に成立した食育基本法に基づき、2011(平成23)年3月に、2011年度から2015(平成27)年度の5年間を期間とする新たな食育推進基本計画が決定された。

(1) 国民運動としての食育の推進

食育推進基本計画においては、食育推進運動を重点的かつ効果的に実施し、食育の国民への浸透を図るため、毎年6月を「食育月間」として定めている。

(2) 家庭における食育の推進

乳幼児のいる家庭への食育を推進するため、2007(平成19)年3月に取りまとめた「授乳・離乳の支援ガイド」について普及啓発を図っている。

また、2010(平成22)年3月、子育て中の保護者を主たる対象とする「親子のための食育読本」を作成し、公表した。

(3) 学校等における食育の推進

2009(平成21)年4月には、改正学校給食法を施行し、栄養教諭が学校給食を活用した食に関する指導を行うことなどを規定した。

児童福祉施設における具体的な食事計画の作成や評価など栄養管理の手法について、専門家による検討を行い、「児童福祉施設における食事の提供ガイド」を取りまとめた。

保育所における食育の推進については、2009年4月に施行された新たな保育所保育指針に位置付けられている。

(4) 地域における食生活の改善等のための取組の推進

心身ともに健康で豊かな食生活の実現に向け、2000(平成12)年に策定された「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるため、「何を」「どれだけ」食べたらよいかをわかりやすく示した「食事バランスガイド」について普及・啓発を行っている。

5)子どもの事故防止

(1) 子どもの事故予防のための取組

「子ども安全メールfrom消費者庁」の配信など、子どもの事故防止について、国自らの取組を加速化・重点化するとともに、家庭、学校、サークル、消費者団体、事業者、地方自治体等の取組を促進する「子どもを事故から守る!プロジェクト」を展開している。

(2) 遊び場の安全対策の推進

社会資本整備総合交付金等により、都市公園の遊び場の安全・安心対策となる施設整備に対する支援を実施している。

(3) 建築物等の安全対策の推進

多数の者が利用する特定の特殊建築物等について、建築物等の所有者等による維持保全計画の作成、定期報告制度等を通じ、適切な維持保全及び必要な改修を促進している。

また、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会及び同審議会昇降機等事故調査部会において、建築物等に係る事故情報について継続的に分析・検討を行い、建築物等の事故防止を図っている。

6)犯罪等の被害の防止

(1) 子どもを犯罪等の被害から守るための取組の推進

子どもを対象とする犯罪の取締りや通学時間帯における通学路等のパトロール活動を強化するとともに、防犯ボランティアによるパトロール活動や「子ども110番の家」の活動に対する支援を推進している。

また、2010(平成22) 年度においては、より実効性のある地域ぐるみの学校安全体制の整備を推進するため、先導的な取組を集めた実践事例集「地域ぐるみの学校安全体制整備実践事例集」を作成した。

(2) 「安全・安心まちづくり」の推進

「防犯まちづくりにおける公共施設等の整備・管理に係る留意事項」(2003(平成15)年7月)の着実な実施を図ることなどにより、防犯に配慮した犯罪の発生しにくい公共施設等の整備・管理の普及を促進し、住宅についても犯罪防止に配慮した環境設計を行うことにより、犯罪被害に遭いにくい「安全・安心まちづくり」を推進している。また、子どもに対する犯罪の発生が懸念される学校周辺、通学路、公園、地下道、空き家等における危険箇所の把握・改善に努めている。

7)子どもの健康に影響を与える環境要因の解明

環境中の化学物質等が子どもの健康に与える影響を解明するため、2010(平成22)年度より、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を行っている。

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