第2節 仕事と家庭が両立できる職場環境の実現を
1.育児休業制度その他の両立支援制度の普及・定着及び継続就業の支援とともに、子育て女性等の再就職支援を図る
1)育児休業や短時間勤務等の両立支援制度の定着
2010(平成22)年6月30日から本格的に施行された改正育児・介護休業法の主な内容は、<1>3歳までの子を養育する労働者に対する短時間勤務制度の措置義務化及び所定外労働の免除の義務化、<2>男性の育児休業取得促進のための制度として、父母がともに育児休業を取得する場合の育児休業取得可能期間の延長(パパ・ママ育休プラス)、<3>介護のための短期の休暇制度の創設、などであり、制度の普及・定着に向けた行政指導を実施している。
2)両立支援制度を利用しやすい職場環境の整備
中小企業子育て支援助成金等の支給により、仕事と家庭を両立しやすい職場環境の整備に取り組む事業主等を支援するとともに、育児休業取得者等に対して独自に経済的支援を行った事業主を対象に育児休業取得促進等助成金を支給し、支援を行っている。
3)育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いの防止
妊娠・出産、産前産後休業及び育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いに係る労働者からの相談には丁寧に対応し、法違反の疑いがある事案については迅速かつ厳正に指導するとともに、法違反を未然に防止するため周知徹底を行っている。さらに、相談者のニーズに応じ、都道府県労働局長による紛争解決援助及び調停を実施し、円滑かつ迅速な解決を図っている。
4)妊娠中及び出産後の健康管理の推進
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下「男女雇用機会均等法」という。)に基づいた母性健康管理の措置及び労働基準法の母性保護規定について、事業主、女性労働者、医療関係者等に対し周知徹底を図るとともに、女性労働者に対して出された医師等の指導事項を的確に事業主に伝えるための「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用を促進している。
5)子育て女性等の再就職支援
子育て等のために離職した女性の再就職・起業等を支援するため「女性の再チャレンジ支援プラン」(2006(平成18)年12月改定)に基づき、関係府省が連携して支援策の推進に努めている。職業能力開発施設における土日・夜間等の時間帯を活用した訓練コースを設定し、マザーズハローワーク(12か所)、マザーズサロン(36か所)及びマザーズコーナー(115か所)において、子育てをしながら早期の就職を希望している人等に対してきめ細かな就職支援等を実施している。
6)男女雇用機会均等の確保による就業継続の支援
男女雇用機会均等法に沿った男女均等取扱いが徹底されるよう事業主に対し指導を行うとともに、労働者と事業主の間の紛争について都道府県労働局長による紛争解決援助及び機会均等調停会議による調停により円滑かつ迅速な解決を図っている。
また、ポジティブ・アクション(男女労働者間に事実上生じている格差を解消するための企業の自主的かつ積極的取組)の促進を図るため、経営者団体との連携による女性の活躍推進協議会を開催し、ポジティブ・アクション普及促進のためのシンボルマーク「きらら」の活用を促進し、「均等・両立推進企業表彰」を実施している。
さらに、「ポジティブ・アクションについての情報ポータルサイト」を構築し、個別企業の具体的取組事例を紹介すること等により、企業の取組を支援している。
2.企業等における取組の「見える化」によりもう一段の取組を推進する
1)企業経営者等の意識変革
2010(平成22)年9月には、仕事と生活の調和を実現するために必要となる仕事の進め方の効率化について、「企業トップからの強いメッセージの発信」などのノウハウをまとめた「ワーク・ライフ・バランスのための仕事の進め方の効率化に関する調査」の報告書を公表するとともに、企業向けの啓発パンフレット「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた3つの心構えと10の実践」を作成した。
2)一般事業主行動計画(次世代育成支援対策推進法)の策定・公表の促進
2008(平成20)年12月に成立した改正次世代育成支援対策推進法により、2011(平成23)年4月1日からは、労働者の仕事と子育ての両立支援に関する一般事業主行動計画(以下「行動計画」という。)の策定、都道府県労働局への届出、行動計画の公表及び従業員への周知が義務づけられる企業の範囲が、従業員301人以上の企業から、101人以上企業へ拡大されることになり、多くの企業において行動計画の策定・届出が行われるよう周知・啓発を強化した。
3)次世代認定マーク(くるみん)の周知・取組促進
次世代育成支援対策推進法では、行動計画を策定・実施し、その目標を達成するなど一定の要件を満たした企業は、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣(都道府県労働局長へ委任)の認定を受け、「くるみんマーク」を使用することができるとされており、改正法の周知・啓発とあわせ、同法に基づく認定の取得促進を図った。
4)顕彰制度等による積極的取組企業の社会的な評価の推進
企業における「仕事と家庭の両立のしやすさ」を示す両立指標を活用しつつ、仕事と育児・介護とが両立できる様々な制度を持ち、多様でかつ柔軟な働き方を労働者が選択できるような取組を行うファミリー・フレンドリー企業の普及を促進している。
5)入札手続等における対応
内閣府では2010(平成22)年度より、ワーク・ライフ・バランスや男女共同参画に関連する調査について、一般競争入札総合評価落札方式により入札を行う際に、ワーク・ライフ・バランス等に積極的に取り組む企業を評価できるような仕組みを導入した。