1 妊娠・出産の支援体制、周産期医療体制を確保する

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1)妊婦健診や出産に係る経済的負担の軽減

妊婦の健康管理の充実と経済的負担の軽減を図るため、2008(平成20)年度第2次補正予算において、妊婦健診を必要な回数(14回程度)受けられるよう、それまで地方財政措置されていなかった9回分について、支援の拡充を図っており(全ての市区町村で14回以上の公費助成を実施(2010(平成22)年4月現在))、2010年度補正予算において、2011(平成23)年度についても、公費助成を継続することとしたところである。

また、妊娠の早期届出(それに伴う母子健康手帳の早期交付)及び妊婦健診の適正な受診について、政府広報、リーフレットの作成・配布等を通じて広く国民に周知を図っている。

さらに、2011年4月以降の出産育児一時金制度については、引き続き、支給額を原則42万円とするとともに、出産育児一時金等を医療保険者から医療機関等に直接支給する直接支払制度については、医療機関等への支払いの早期化や、医療機関等における事務手続きの簡素化などの改善を図ることとしている。

加えて、直接支払制度への対応が困難と考えられる小規模施設等については、受取代理の仕組みを制度化したところである。

2)周産期医療体制の整備・救急搬送受入体制の確保

(1) 周産期医療体制の充実

リスクの高い妊産婦や新生児などに高度な医療が適切に提供されるよう、周産期医療の中核となる総合周産期母子医療センター及び地域周産期母子医療センターを整備し、地域の分娩施設等との連携を確保する等により、周産期医療体制の充実を図っている。
成育医療分野では、国の医療政策として、独立行政法人国立成育医療研究センター及び独立行政法人国立病院機構の設置する医療機関等とが協力しつつ、医療の質の向上のための研究の推進や標準的医療等の普及に取り組んでいる。
特に、独立行政法人国立成育医療研究センターでは、生殖、妊娠、胎児期、周産期、新生児期、小児期、思春期、成人期に至る一連のサイクルに関わるすべての身体的、精神的疾患を対象として、治療に直結した臨床研究、それに密接に関連する高度先駆的医療、医療従事者への教育研修及び全国の中核的な医療機関等への医療情報の発信に取り組んでいる。

(2) 周産期救急搬送受入体制の確保

周産期救急医療については、総合周産期母子医療センターや地域周産期母子医療センターの整備等を進めてきたところであり、妊産婦死亡率や新生児死亡率の改善が図られてきた。また、総合周産期母子医療センターの機能として、自施設又は他施設の関係診療科と連携して産科合併症以外の合併症を有する母体に対応することを位置付けた。さらに、新生児集中治療室(NICU)について、2014(平成26)年度までに出生1万人当たりに25~30床を目標に更なる整備を進めることとしている。

3)産科医療補償制度

安心して産科医療が受けられる環境整備の一環として、2009(平成21)年1月から、産科医療補償制度が開始されている。産科医療補償制度は、分娩に係る医療事故により脳性麻痺となった児及びその保護者の経済的負担を速やかに補償するとともに、事故原因の分析を行い、将来の同種事故の防止に資する情報を提供すること等により、紛争の防止・早期解決及び産科医療の質の向上を図ることを目的としている。

4)マタニティマークの普及啓発

マタニティマークは、妊産婦に対する気遣いなど、妊産婦にやさしい環境づくりに関して広く国民の関心を喚起するために、21世紀における母子保健分野での国民運動計画である「健やか親子21」推進検討会において募集し、2006(平成18)年に発表された。普及啓発を推進するため、ホームページなど様々な機会を通して広く周知するとともに、交通機関、職場や飲食店などに取組への協力の依頼を行っている。

マタニティマークの普及に取り組む市区町村も着実に増加しており、マタニティマーク入り妊産婦個人用グッズを配付している市区町村数は、2009(平成21)年度1,457か所(83.3%)となっている。

第2-2-1図 マタニティマーク

5)相談支援体制の整備(妊娠・出産、人工妊娠中絶等)

生涯を通じた女性の健康支援(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)の視点も踏まえつつ、妊娠や出産、人工妊娠中絶等の適切な相談支援体制を整備することが求められている。

このため、妊娠や出産、人工妊娠中絶等の悩みを抱える方に対して、訪問指導等の母子保健事業を活用した相談支援のほか、「女性健康支援センター」等において、相談援助を行っている(女性健康支援センター:2010(平成22)年度40か所)。

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