第2節 東日本大震災の被災地等における子ども・子育てに関する対応

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1.福祉(心のケア含む)について

1)被災した子どもの現状の把握とケア

被災した子どもの現状の把握とケアのために、以下の対応を行っている。

・不明の子どもについては、被災地の児童相談所職員と他県の児童相談所職員がチームを組んで、各避難所を巡回し、現状の把握や、両親を亡くした子ども等の確認、子どもとの面談、養育や生活に関する親族との話し合いを実施。

・平成23年度1次補正予算、平成23年度第4次補正予算において、被災した子どもへの相談・援助を行う際に要する費用を計上(2012(平成24)年度も引き続き実施)。

・被災した幼児児童生徒等の心のケアの充実を図るため、平成23年度第1次補正予算及び平成23年度第3次補正予算において、学校等にスクールカウンセラー等を派遣するために必要な経費「緊急スクールカウンセラー等派遣事業」(約34億円、全額国庫負担)を措置した。

・保育所等の復旧について、子どもと子育てを身近な地域で支える観点から、認定こども園への転換、地域子育て支援拠点など必要に応じ複合化、多機能化を図りつつ基盤整備を進めるための経費を平成23年度第3次補正予算に計上。

2.学校・教育について

1)子どもの学び支援

子どもの学びを支援するため、以下の対応を行っている。

(1) 被災児童生徒等の学校への受入れ等 

・被災児童生徒等が域内の学校への受入れを希望してきた場合には、可能な限り弾力的に取り扱い、速やかに受け入れること等を、各教育委員会等に要請。

(2) 教科書の給与

・被災により転学した義務教育諸学校の児童生徒への教科書給与については、給与の際に必要となる教科書給与証明書がなくとも可能とするなど、弾力的な運用を実施。

(3) 就学援助等

ア 幼児児童生徒等の就学支援

・平成23年度第1次補正予算及び平成23年度第3次補正予算において「被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金」を措置(約147億円)し、被災した幼児児童生徒等の就学支援を実施するとともに、2012(平成24)年度以降当面3年間にわたり、必要な就学支援を行うことができるよう、所要の経費(約264億円)を措置。

イ 学生等への教学面での支援

・被災した学生等の単位の認定、学位及び卒業の認定等についての配慮を各大学等に依頼。

ウ 学生等への経済的支援

・平成23年度第1次補正予算及び平成23年度第3次補正予算において、緊急採用奨学金(無利子)や、被災した学生に対する授業料等減免の拡充について計上。

エ 学生等への就職活動の支援

・文部科学省と厚生労働省との連名で、内定取消を行わない等の配慮を主要経済団体に要請。

(4) 教職員の加配措置

・東日本大震災の対応のための教職員定数の加配措置については、各県からの要望を踏まえ、2011年度では合計1,080人(うち義務教育諸学校:986人、高等学校:94人)、2012年度においても合計1,031人(うち義務教育諸学校:970人、高等学校:61人)を措置。

(5) 学校施設・社会教育施設等の復旧

・学校施設・社会教育施設等の災害復旧事業に要する費用を平成23年度第1次補正予算から平成23年度第3次補正予算にといて、必要な予算を計上。

第2-5-1図 東日本大震災の被災学生等に対する奨学金等(2012年度以降)

(6) 学校等の放射線モニタリングの実施及び児童生徒等が学校において受ける線量低減のための取組

・福島県内(20km圏内の避難地域を除く)の小学校、中学校、幼稚園、保育所及び特別支援学校の校庭・園庭において、空間線量率の測定を実施し、公表。

・学校及び保育所等において児童生徒等が受ける線量について、原則年間1ミリシーベルト以下とするとともに、校庭・園庭の空間線量率については、これを達成するため、毎時1マイクロシーベルト未満を目安とすること、局所的に線量の高い場所の把握と除染を進めることなどを内容とする通知を、2011年8月26日に福島県等に発出。

(7) 被災地を支援するプログラム

・被災地ニーズと支援のマッチングを図るため、文部科学省ホームページ上にポータルサイト「東日本大震災・子どもの学び支援ポータルサイト」(http://manabishien.mext.go.jp/)を開設・運営

3.妊婦・乳幼児等について

1)妊婦等の受け入れ体制等

被災地における妊婦等の受け入れ体制等について、相談窓口を設置し、被災した地方自治体や医療機関から要請があったときには、適切に対応するよう都道府県に依頼を行った。

2)妊産婦、乳幼児への対応及び被災者に係る健康診査事業等の対応

母子健康手帳の交付及び妊産婦、乳幼児に対する健康診査等について、住民票の異動の有無にかかわらず、避難先の地方自治体において適切にサービスが受けられるよう配慮する旨都道府県等に依頼を行った。

3)市町村母子保健事業による支援

仮設住宅等に入居した乳幼児等に対して、市町村母子保健事業により支援を行うことを地方自治体に依頼している。

4)産休切り・育休切り等への対応

被災労働者等に係る産前産後休業や育児休業の取得等を理由とする解雇や性別を理由とする解雇などの相談について、被災地域等の雇用均等室においてきめ細かく対応するとともに、トラブルの未然防止に向けた指導を実施している。

5)出産育児一時金等についての対応

直接支払制度を導入している病院・診療所・助産所においては、東日本大震災による被災に伴い被保険者証を提示できない場合も、妊婦等の希望に応じて直接支払制度を利用することを可能とすることについて周知を行った。

4.その他

1)子ども手当の認定等についての対応

被災者等が子ども手当の認定請求をする場合にその手続きの簡素化や請求が遅れた場合の配慮について地方自治体に依頼を行った。

2)児童扶養手当等の取扱いについての対応

被災者に対する児童扶養手当等の取扱いについて、〈1〉児童扶養手当について、非常災害に際して必要があると認めるときの所得制限の特例措置や新規認定時の添付書類の省略、父又は母の生死が明らかでない場合等の取扱いの明確化による早期支給、〈2〉母子寡婦福祉貸付金について、償還期間の猶予、〈3〉ショートステイ事業について、被災した家庭を対象に含める等の弾力的な対応、等について都道府県等に周知を行った。

3)被災者に対する特別児童扶養手当等の取扱いについての対応

被災者に対する特別児童扶養手当等の取扱いについて、〈1〉特別児童扶養手当の支払いの時期、〈2〉非常災害に際して必要があると認めるときの添付書類の省略、〈3〉住宅・家財等の財産におおむね2分の1以上の損害を受けた被災者への所得制限の緩和、〈4〉災害に伴う事務手続きについて周知を行った。

4)女性や子育てに配慮した避難所の設計や安全な生活環境の整備についての対応

女性や子育てに配慮した避難所の設計や安全な生活環境の整備を推進するとともに、避難所運営への女性の参画や意向の反映を促進している。

5)住居の確保についての対応

被災し避難している乳幼児等について、優先的に住まいの確保に努めることを地方自治体に依頼している。

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