第2部 少子化社会対策の具体的実施状況
第1章 重点課題
第1節 子育て支援施策を一層充実させる。
<1>子ども・子育て支援新制度の円滑な実施
地域の実情に応じた幼児教育・保育・子育て支援の質・量の充実
2012(平成24)年に成立した子ども・子育て関連3法に基づく子ども・子育て支援新制度について、2014(平成26)年度において新たな制度への円滑な移行を図るため、市町村の行う保育緊急確保事業への支援を実施するとともに、2015(平成27)年度から当初予定通り実施した。
地域のニーズに対応した多様な子育て支援の充実
1)利用者支援事業
子育て家庭や妊産婦が、教育・保育施設や地域子ども・子育て支援事業、保健・医療・福祉等の関係機関を円滑に利用できるよう、身近な場所での相談や情報提供、助言等必要な支援(利用者支援)をするとともに、関係機関との連絡調整、連携・協働の体制づくり等(地域連携)を行う「利用者支援事業」を子ども・子育て支援新制度施行にあわせて創設した(2014(平成26)年度は、保育緊急確保事業として実施)。
2)地域子育て支援拠点の設置促進
子育て家庭等の負担感・不安感を軽減するため、育児不安に対する相談・援助や、親子が気軽に集うことのできる場の提供等を行う「地域子育て支援拠点事業」を促進している。
また、幼稚園が、地域の実態や保護者の要請などを踏まえ、地域における幼児期の教育のセンターとしての役割を果たすため、子育て相談の実施、子育てに関する情報の提供、未就園児の親子登園の実施、などの子育て支援活動を実施する際に支援を行っている。このような活動を実施している幼稚園の割合は、2011(平成23)年度時点で約87%になっている。
3)一時預かり、幼稚園の預かり保育
(1)一時預かり事業の推進
就労形態の多様化に対応する一時的な保育や、専業主婦家庭等の緊急時における保育等の一時預かりサービスに対する需要に対応するため、一時預かり事業を実施している。
(2)幼稚園における預かり保育の推進
幼稚園の通常の教育時間(標準4時間)の前後や長期休業期間中などに、地域の実態や保護者の要請に応じて、希望する人を対象に行われる「預かり保育」を実施する幼稚園に対して支援を行っている。
4)多様な保育サービスの提供
多様な保育ニーズに対応するため、延長保育、夜間保育、病児保育等についても、引き続き推進を図っている。なお、子ども・子育て支援新制度においては、延長保育、病児保育については、「地域子ども・子育て支援事業」に位置付けられた。また、家庭的保育及び事業所内保育については、新たに市町村の認可事業(地域型保育事業)として地域型保育給付の対象となるとともに、夜間保育及び特定保育については、新たに施設型給付費により対応することとなった。
5)ファミリー・サポート・センターの普及促進
乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦などを会員として、送迎や放課後の預かりなどの相互援助活動を行うファミリー・サポート・センターの設置促進を行っている。
<2>待機児童の解消
待機児童解消の取組を加速化させるため、2013(平成25)年4月に「待機児童解消加速化プラン」を策定し、2015(平成27)年4月からの子ども・子育て支援新制度の施行を待たずに、待機児童解消に意欲的に取り組む地方自治体の取組を支援してきたところであり、その結果、待機児童解消に向けた「緊急集中取組期間」である2013年度、2014(平成26)年度において、約20万人分の保育の受け皿を確保できる見込みである。今後、2015年度から2017(平成29)年度までを「取組加速期間」として位置付け、潜在的なニーズも含め、さらに約20万人分の保育の受け皿確保を図り、待機児童の解消を目指すこととしている。
「保育士確保プラン」の推進
「待機児童解消加速化プラン」の確実な実施のため、2015年(平成27)年1月に「保育士確保プラン」を策定し、保育士試験の年2回実施の推進や3%相当の処遇改善を行うなどの新たな取組のほか、離職の防止、潜在保育士の復帰支援、保育士養成などの取組を引き続き実施し、取組を強化することとしている。
<3>「小1の壁」の打破
放課後子ども総合プランの推進
「小一の壁」を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、全ての就学児童が放課後などを安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、文部科学省と厚生労働省が共同で、2014(平成26)年7月31日に「放課後子ども総合プラン」を策定した。同プランでは、2019(平成31)年度末までに、放課後児童クラブについて、約30万人分を新たに整備すること、全小学校区(約2万か所)で放課後児童クラブ及び放課後子供教室を一体的に又は連携して実施し、うち1万か所以上を一体型で実施することを目指している。
放課後児童クラブの充実
「放課後児童クラブ」については、2015(平成27)年4月から、対象となる児童の年齢を「おおむね10歳未満」から「小学校に就学している」児童とするとともに、職員の資格、員数等の具体的な基準を定めた「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(平成26年厚生労働省令第63号)や児童の生活の場としての質の向上を図っている「放課後児童クラブ運営指針」(2015年3月)を策定した。