第2部 少子化社会対策の具体的実施状況
第1章 重点課題
第4節 男女の働き方改革を進める。
<1>男性の意識・行動改革
(長時間労働の是正)
長時間労働の抑制及び年次有給休暇の取得促進
2014(平成26)年9月に厚生労働省に設置した「長時間労働削減推進本部」の下、労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進等の働き方の見直しに向けた企業への働きかけを行っている。また、都道府県労働局においても、「働き方改革推進本部」を設置し、企業経営者への働きかけや地域における働き方の見直しに向けた気運の醸成に取り組んでいる。
(人事評価制度の見直しなど経営者・管理職の意識改革)
企業経営者等の意識変革
企業において仕事と生活の調和を推進するためには、経営者及び管理職の意識改革と行動が不可欠である。そのため、経済団体との共催により、経営者及び管理職を対象にセミナーを開催し、働き方の見直しをはじめとしたワーク・ライフ・バランスの取組の重要性を啓発するとともに、具体的な取組を進めるためのノウハウや好事例を周知した。
また、ワーク・ライフ・バランスの取組を企業や職場に浸透・定着させるため、経営者及び管理職によるこうした取組の好事例を調査・研究して、「社内におけるワーク・ライフ・バランス浸透・定着に向けたポイント・好事例集」を作成し、仕事と生活の調和ポータルサイト等で広く周知した。
(出産直後からの男性の休暇取得の促進)
男性の育児休業の取得促進
2010(平成22)年6月に施行された改正育児・介護休業法においては、男性労働者の育児休業取得を促進するため、「パパ・ママ育休プラス」等が盛り込まれた。
これらの制度の周知・徹底を図るなど、男女ともに子育て等をしながら働き続けることのできる環境の整備を支援している。
父親の育児に関する意識改革、啓発普及
2010(平成22)年6月の改正育児・介護休業法の施行と合わせ、育児を積極的にする男性(「イクメン」)を広めるため「イクメンプロジェクト」を行っている。
男性の家事・育児の促進
学校教育においては、男女相互の理解と協力、職業生活や社会参加において男女が対等な構成員であること、男女が協力して、家族の一員としての役割を果たし家庭を築くことの重要性などについて、中学校の特別活動や高等学校の公民科、家庭科など関係の深い教科等を中心に学校教育全体を通じて指導が行われている。
<2>「ワーク・ライフ・バランス」・「女性の活躍」の推進
(ワーク・ライフ・バランスに向けた環境整備)
「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」等に基づく取組の推進
経済界、労働界、地方公共団体の代表者、有識者、関係閣僚により構成される「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」の下に開催された「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」では、関係者間の連携を図るとともに、「憲章」・「行動指針」に基づく仕事と生活の調和の推進に向けた取組状況の点検・評価を行っている。
両立支援制度を利用しやすい職場環境の整備
育児を行う労働者が働き続けやすい雇用環境の整備を行う事業主等を支援するため、両立支援等助成金の支給を行っている。
育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いの防止
妊娠・出産、産前産後休業及び育児休業等の取得等を理由とする解雇その他不利益取扱いに係る労働者からの相談には丁寧に対応し、法違反の疑いがある事案については迅速かつ厳正に指導するとともに、法違反を未然に防止するための周知徹底を行っている。
有期契約労働者など非正規雇用の労働者に対する支援
パートタイム労働法に基づき、事業主への行政指導や専門家による相談・援助、助成金の活用による支援等により、パートタイム労働者の雇用管理改善の取組等を推進している。
テレワークの推進
2014(平成26)年6月24日に閣議決定した「世界最先端IT国家創造宣言」においては、「就業継続が困難となる子育て期の女性や育児に参加する男性、介護を行っている労働者などを対象に、週一回以上、終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワークにおける、労働者にやさしいテレワーク推奨モデルを産業界と連携して支援し、2016(平成28)年までにその本格的な構築・普及を図り、女性の社会進出や、少子高齢化社会における労働力の確保、男性の育児参加、仕事と介護の両立などを促進する」こととされているなど、これまで以上にテレワークの普及促進に取り組むこととしている。
国の率先的取組
国家公務員については、2014(平成26)年10月、全府省の事務次官級で構成する「女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会」において、「働き方改革」、「育児・介護等と両立して活躍できるための改革」及び「女性の活躍推進のための改革」という3つの改革を柱とした「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」を決定した。各府省は、同指針を踏まえ、2020(平成32)年度末までを視野に入れた取組等を盛り込んだ取組計画を策定し、これに基づいて総合的かつ計画的な取組を進めている。
(女性の活躍の推進)
女性の職業生活における活躍の推進
男女雇用機会均等法に沿った男女均等取扱いが徹底されるよう周知啓発、指導等を行うとともに、男女労働者間に事実上生じている格差の解消を目指すための企業の自主的かつ積極的な取組(ポジティブ・アクション)の一層の促進を図っている。
さらに、働く場面で活躍したいという希望を持った女性が、その希望に応じて、仕事と家庭を両立し、個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するため、国・地方公共団体、民間事業者といった各主体が、女性の採用・登用などの状況を自ら把握すること、また、数値目標の設定を含めた行動計画を策定し、それらを情報開示すること等について定める「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」を2014(平成26)年10月17日に閣議決定し、第187回国会に提出した。その後、審議未了により廃案となったことから、2015(平成27)年2月20日に同法律案を再度閣議決定し、第189回国会に再提出した。
子育て女性等の再就職支援(マザーズハローワーク事業)
全国180か所(2015(平成27)年4月1日現在)のマザーズハローワーク・マザーズコーナーにおいて、子育てをしながら就職を希望する女性等に対して、子供連れで来所しやすい環境を整備するとともに、担当者制によるきめ細かな就職支援、求人情報や地方公共団体等との連携による保育サービス関連情報等の提供など、再就職に向けた総合的かつ一貫した支援を行っている。
農業経営体等における女性が働きやすい環境づくりの推進
農業経営において、福利厚生面の充実にもつながる法人化を進めるとともに、家族経営協定の締結の促進や、女性の活躍推進に積極的に取り組む経営体の認定等を通じ、子育て期の女性でも働きやすい環境づくりを推進している。
女性の幅広い活躍を推進する学び直し支援
女性の活躍の推進のためには、学び直しを通じて女性の就労や起業、地域における様々な活動への参画を後押しすることが重要であり、そのために地域や大学、専修学校等における取組の促進を図る。
2014(平成26)年度には、「成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進」事業により、ITや看護、保育、観光など、今後成長が見込まれる分野において、専修学校や大学等が企業や業界団体と連携して、中核的な役割を担う専門人材を養成するための標準的な教育プログラム等の開発・実証を行っており、各地域の専修学校や大学等が地元企業等と連携して、地域のニーズに即した人材養成を行うため、社会人や女性の学び直しにも対応した「地域版学び直し教育プログラム」の開発に取り組んだ。
地域における女性の活躍の推進
内閣府では、「地域女性活躍加速化交付金」や「地域における女性活躍推進モデル事業」により、地域における女性の活躍推進を図っている。また、独立行政法人国立女性教育会館は、我が国唯一の女性教育に関するナショナルセンターとして、地域において女性の活躍を推進する中心的機関となる女性関連施設等の機能の充実・強化のため、地方公共団体や施設等の職員を対象とした研修事業や教育・学習支援事業等を行った。