コラム
コラム:結婚・家族形成に関する意識調査について
これまでの各種調査によると、多くの若者が将来家庭を持つことを望み、希望する子供の数は平均2人以上となっているものの、晩婚化が進むとともに、生涯未婚率が上昇しており、結婚や妊娠・出産に対する国民の希望をかなえることができていない。
本調査においては、20代から30代の未・既婚者の結婚、妊娠・出産、子育てについての意識を深堀りし、結婚等に対する不安要因や社会的背景の問題を抽出・分析した。
〈恋人が欲しいですか〉(図1、図2)
全体の60.8%が「恋人が欲しい」と回答している。また、男女ともに、コミュニケーション力が高い方が、「恋人が欲しい」の割合が高い。
〈交際への不安〉(図3)
全体では、「そもそも出会いの場所がない」(55.5%)が最も高く、次いで「自分は魅力がないのではないかと思う」(34.2%)、「自分が恋愛感情を抱くことができるのか不安だ」(20.5%)が続く。
〈結婚観〉(図4)
全体では、「結婚したほうが良い・計」(「必ずしたほうが良い」、「できればしたほうが良い」の合計)は68.1%であり、男性のほうが、女性よりも「結婚したほうが良い・計」の割合が高い。
これに対し、「結婚しなくて良い・計」(「無理してしなくても良い」、「しなくて良い」の合計)が30.9%と約3割である。
〈結婚意向に関する周囲からの影響〉(図5)
全体では、「周りの友人・知人が次々と結婚や出産をする」(62.7%)、次いで「友人の幸せな結婚や家庭の様子を感じる」(50.5%)、「周囲から幸せな結婚の話を聞く」(41.3%)が高く、周囲の友人・知人の影響が強い。
〈女性の理想の働き方〉(図6)
女性の回答を見ると、
- A)結婚して子供がいない時では、「急な残業もあるフルタイムの仕事」が44.7%で最も多く、次いで「フルタイムだが残業のない仕事」が32.3%となっている。
- B)末子が3歳以下の時では、「仕事は持たず、家事・育児に専念する」が44.8%で最も多いが、一方で、働きたい方(フルタイム、短時間勤務制パート・アルバイト、家でできる仕事)が合計で53.9%と前者を上回る。
- C)末子が4歳以上小学校入学前の時では、「短時間勤務制 パート・アルバイト」が38.9%で最も多く、次いで「フルタイムだが時間の融通がきく仕事」が24.6%となっている。
- D)末子が小学生の時では、最も多いのが「短時間勤務制 パート・アルバイト」の38.4%であり、「フルタイムだが時間の融通がきく仕事」が33.5%と続いている。
- E)末子が中学生の時では「フルタイムだが残業のない仕事」が33.8%、「フルタイムだが時間の融通がきく仕事」が33.7%となっている。
〈子育ての不安要素〉(図7)
全体では、「経済的にやっていけるか」が63.9%と最も多く、次いで「仕事をしながら子育てすることが難しそう」(51.1%)、「きちんとした子供に育てられる自信がない」(40.7%)、「子育てするのが大変そう」(37.0%)と続く。
〈妊娠・出産の医学的情報について知っておくべきと考える時期〉(図8)
全体では、「中学生・高校生の頃」が38.6%と最も高く、次いで「大学生の頃(18~22歳頃)」が35.5%であり、学生の頃に知るべきとする回答が7割強に上る。
※この調査における「妊娠・出産の医学的情報」とは、女性の妊娠する力は35歳前後からだんだんと下がり始め、40歳を過ぎると妊娠はかなり難しくなる((公社)日本産科婦人科学会調べ)という情報である。
※コミュニケーション力について
調査票の「あなたご自身のことについて」の回答結果をもとに因子分析を行い、「社交性」(対人関係への積極性)と「自己効力感」(自分が必要とされる行動をとれるかどうかについての評価)の2因子(特性)を抽出し、点数化した。
その上で、各回答者における「社交性」と「自己効力感」の平均値を高・中・低の3群にレベル分けし(各群に属する人は約3分の1ずつ)、高・低の2群の結果を示している。