第2部 少子化社会対策の具体的実施状況
第1章 重点課題
第1節 子育て支援施策を一層充実させる。
2 待機児童の解消
「待機児童解消加速化プラン」の推進
2014(平成26)年4月には、保育所の定員が233万5,724人(対前年比4万6,905人増)となり、就学前児童の保育所利用児童割合(保育所利用児童数÷ 就学前児童数)も35.9%(対前年比0.9ポイント増)となったところである。保育所待機児童数については、4年連続で減少し2万1,371人(対前年比1,370人減)となっている。また、改正前の児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基づき、待機児童が50人以上おり、保育事業等の供給体制の確保に関する計画を策定することが義務付けられている特定市区町村は98となっており、対前年比3減(新たに特定市区町村になったもの18、特定市区町村から外れたもの21)という状況となっている。
都市部を中心に深刻な問題となっている待機児童の解消を図るため、これまで「国と自治体が一体的に取り組む待機児童解消『先取り』プロジェクト」を推進してきたところである。さらに、待機児童解消のための取組を加速化させるため、2013(平成25)年4月、新たに「待機児童解消加速化プラン」を策定し、2015(平成27)年度からの子ども・子育て支援新制度の施行を待たずに、待機児童解消に意欲的に取り組む地方自治体に対してはその取組を全面的に支援してきたところであり、2013、2014年度の「緊急集中取組期間」において、約20万人分の保育の受け皿を確保できる見込みである。今後、2015年度から2017(平成29)年度までを「取組加速期間」として位置付け、保育ニーズのピークを迎える2017年度末までに、潜在的な保育ニーズも含め、さらに約20万人の保育の受け皿確保を図り待機児童の解消を目指すこととしている。
こうした取組を踏まえ、2014年度補正予算及び2015年度予算において、保育所等の整備や小規模保育の設置促進などの多様な支援パッケージを継続し、2015年度において約8.2万人分の保育の受け皿を確保するとともに、2015年1月に策定した「保育士確保プラン」に基づき、受入児童数に対応した保育士の人材確保対策などの取組を推進していくこととしている。
(支援パッケージ~5本の柱~)
- <1>賃貸方式や国有地も活用した保育所整備(「ハコ」)
- <2>保育を支える保育士確保(「ヒト」)
- <3>小規模保育事業など運営費支援等
- <4>認可を目指す認可外保育施設への支援
- <5>事業所内保育施設への支援
また、2015年度に本格施行した子ども・子育て支援新制度では、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付を創設するほか、小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業など多様な事業の中から利用者が選択できる地域型の給付を創設し、待機児童解消への取組をより一層強力に支援していくとともに、放課後児童クラブの充実、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、ファミリー・サポート・センター事業、乳児家庭全戸訪問事業等に関する補助を行う。
加えて、都市再生機構賃貸住宅では、地方公共団体と連携しつつ、団地再生事業等により生じた整備敷地や既存の空き店舗等の活用による、保育所の設置に努めている。なお、2012(平成24)年度末現在で332件の実績がある。
「保育士確保プラン」の推進
「待機児童解消加速化プラン」の確実な実施のため、2015(平成27)年1月に「保育士確保プラン」を策定した。
保育士確保プランでは、2017(平成29)年度までに追加で必要となる6.9万人の保育士を確保するため、地域限定保育士試験など保育士試験の年2回実施の推進や消費税財源を活用し3%相当の処遇改善を行うなどの新たな取組のほか、離職の防止、潜在保育士の復帰支援、保育士養成といった取組についても、引き続き確実に実施していくなど、取組を強化することとしている。