第2部 少子化社会対策の具体的実施状況
第1章 重点課題
第1節 子育て支援施策を一層充実させる。
3 「小1の壁」の打破
放課後子ども総合プランの推進
保育所と比べると放課後児童クラブの開所時間が短いため、子供が小学校に入学すると、これまで勤めてきた仕事を辞めざるを得ない状況となる、いわゆる「小1の壁」を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、全ての就学児童が放課後などを安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、文部科学省と厚生労働省が共同で、2014(平成26)年7月31日に「放課後子ども総合プラン」を策定し、学校施設(余裕教室や放課後等に一時的に使われていない教室等)を徹底活用して、放課後児童クラブ及び放課後子供教室の一体型を中心とした取組を推進することとした。同プランでは、2019(平成31)年度末までに、放課後児童クラブについて、約30万人分を新たに整備すること、全小学校区(約2万か所)で一体的に又は連携して実施し、うち1万か所以上を一体型で実施することを目指している。また、新たに放課後児童クラブ又は放課後子供教室を整備する場合には、学校施設を徹底的に活用することとし、新たに開設する放課後児童クラブの約80%を小学校内で実施することを目指している。
国は、市町村において計画的に放課後児童クラブ及び放課後子供教室の整備を進めていけるよう、次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画策定指針」(平成26年11月28日告示)に「放課後子ども総合プラン」に基づく取組等について記載し、市町村行動計画に一体型の放課後児童クラブ及び放課後子供教室の平成31年度に達成されるべき目標事業量等を盛り込むことや、都道府県行動計画に放課後児童クラブ及び放課後子供教室の実施について教育委員会と福祉部局の具体的な連携に関する方策等を盛り込むことを求めた。
全ての子供を対象に、地域の方々の参画を得て、学習やスポーツ・文化芸術活動、地域住民との交流活動などの機会を提供する「放課後子供教室」は、2014年12月現在、1,135の市町村で11,991教室が行われている。共働き家庭など保護者が仕事などで昼間家庭にいない小学生を対象に、授業の終了後などにおいて、学校の余裕教室や児童館などを利用して遊びや生活の場を提供する「放課後児童クラブ」は、2014年5月現在、1,598市町村で22,084か所実施され、936,452人の児童が登録されている。
放課後児童クラブの充実
「放課後児童クラブ」については、2015(平成27)年4月から、改正後の児童福祉法に基づき、対象となる児童の年齢を「おおむね10歳未満」から「小学校に就学している」児童とするとともに、質を確保する観点から、職員の資格、員数、施設、開所日数・開所時間、集団の規模や一般原則などを定めた「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(平成26年厚生労働省令第63号)を策定し、市町村はこれを踏まえて設備及び運営に関する基準を条例で定め、この条例に基づき放課後児童健全育成事業を実施することとした。特に、職員に関する基準については、保育士、社会福祉士等の資格や一定の実務経験を有する者等で都道府県知事が行う研修(認定資格研修)を修了した者を放課後児童支援員として認定し、支援の単位ごとに2名以上配置することなどを定めた。
また、放課後児童クラブの運営の多様性を踏まえつつ、放課後児童クラブにおいて集団の中で子供に保障すべき遊び及び生活の環境や運営内容の水準を明確化し、事業の安定性及び継続性の確保を図っていくため、2007(平成19)年に策定した「放課後児童クラブガイドライン」を見直して、「放課後児童クラブ運営指針」(2015年3月)を策定し、児童が安心して過ごせる生活の場としての一定水準の質の確保及び向上を図ることとした。
さらに、2014(平成26)年度予算では、消費税財源を活用した放課後児童クラブ開所時間延長支援事業により、保護者の利用意向を反映して開所時間の延長を行う放課後児童クラブに対して、追加的な財政支援を行うことで、保育所との開所時間の乖離の解消を図った。