第1部 少子化対策の現状(第1章 4)
第1章 少子化をめぐる現状(4)
4 出産・子育てをめぐる意識等
出産に対する意識
国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2010年)によると、夫婦にたずねた理想的な子供の数(平均理想子供数)は、前回の第13回調査(2005年)に引き続き低下し、調査開始以降最も低い2.42人となった。また、夫婦が実際に持つつもりの子供の数(平均予定子供数)も、2.07人に低下している。(第1-1-17図)
予定子供数が理想子供数を下回る夫婦の理想の子供数を持たない理由として、最も多いのが、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(60.4%)であり、年代別にみると、若い世代ほどその割合が高くなる傾向がみられる。次に多いのが、「高年齢で生むのはいやだから」(35.1%)であり、年代別にみると、年代が高くなるほど、その割合が高くなる傾向がみられる。(第1-1-18図)
依然として厳しい女性の就業継続
女性の出産前後の就業をめぐる状況をみると、2005(平成17)年から2009(平成21)年に第1子を出産した既婚女性で、第1子の出産前に就業していた女性のうち、出産後に就業を継続した女性は約4割にとどまっている。(第1-1-19図)
また、第1子の出産前に「正規の職員」であった女性のうち出産後に就業を継続した割合は52.9%であるのに対し、「パート・派遣」であった女性のうち就業を継続した割合は18.0%である(国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2010年))。
妊娠・出産前後に退職した女性の約4分の1が、「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」としており、出産によって女性の就業継続が厳しくなることがうかがえる。(第1-1-20図)
しかしながら、子供を持つ夫妻の妻の就労意向については、パートや正社員など就労形態は異なるものの、何らかの形で働きたいという者の割合は86.0%となっている。(第1-1-21図)
子育て世代の男性の長時間労働
週60時間以上の長時間労働をしている男性は、どの年代においても、2005(平成17)年以降ほぼ減少傾向にある。しかしながら、子育て期にある30代、40代の男性については、2015(平成27)年で、それぞれ16.0%、16.6%が週60時間以上の就業となっており、ほかの年代に比べ高い水準となっている。(第1-1-22図)
男性の家事・育児
夫の休日の家事・育児時間と第2子以降の出生状況をみると、両者には正の関係性がみられる。(第1-1-23図)
男性が子育てや家事に費やす時間をみると、6歳未満の子供を持つ夫の家事関連時間は1日当たり67分となっており、先進国中最低の水準にとどまっている。(第1-1-24図)