第1部 少子化対策の現状(第2章 第1節)
第2章 少子化対策の取組(第1節)
第1節 これまでの少子化対策
〈2015(平成27)年4月〉
子ども・子育て支援新制度の施行(2015年4月~)
2012(平成24)年に成立した子ども・子育て関連3法1に基づく「子ども・子育て支援新制度」について、2015年4月1日から本格施行された。
1 「子ども・子育て支援法」(平成24年法律第65号)、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律」(平成24年法律第66号)、「子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成24年法律第67号)をいう。
〈2015(平成27)年4月〉
子ども・子育て本部の設置(2015年4月~)
2015年4月の「子ども・子育て支援新制度」の施行に合わせて、内閣府に、内閣府特命担当大臣(少子化対策)を本部長とし、少子化対策及び子ども・子育て支援の企画立案・総合調整並びに「少子化社会対策大綱」の推進や子ども・子育て支援新制度の施行を行うための新たな組織である「子ども・子育て本部」を設置した。
〈2016(平成28)年4月〉
子ども・子育て支援法の改正(2016年4月~)
2016年通常国会において、子ども・子育て支援の提供体制の充実を図るため、事業所内保育業務を目的とする施設等の設置者に対する助成及び援助を行う事業を創設するとともに、一般事業主から徴収する拠出金の率の上限を引き上げる等の「子ども・子育て支援法」(平成24年法律第65号)の改正を行い、同年4月に施行された。
〈2016(平成28)年6月〉
ニッポン一億総活躍プランの策定(2016年6月~)
2015(平成27)年10月より、「夢をつむぐ子育て支援」などの「新・三本の矢」の実現を目的とする「一億総活躍社会」の実現に向けたプランの策定等に係る審議に資するため、内閣総理大臣を議長とする「一億総活躍国民会議」が開催された。2016年5月、同会議において「ニッポン一億総活躍プラン」(案)が取りまとめられ、同年6月2日に閣議決定された。(第1-2-1図、第1-2-2図、第1-2-3図)
同プランにおいては、経済成長の隘路である少子高齢化に正面から立ち向かうこととし、「希望出生率1.8」の実現に向け、若者の雇用安定・待遇改善、多様な保育サービスの充実、働き方改革の推進、希望する教育を受けることを阻む制約の克服等の対応策を掲げ、2016年度から2025(平成37)年度の10年間のロードマップを示している。
結婚支援の充実に関しては、2016年10月より、内閣府特命担当大臣(少子化対策)の下で「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」を開催し、地方公共団体と連携した企業・団体・大学等の取組について議論が行われた。同年12月にまとめられた提言においては、環境整備に当たってまずは働き方改革が重要であるとした上で、両立支援や多様な交流の機会の提供、結婚につながる活動に対する支援などの企業等における自主的な取組例や、働き方改革・子育て支援の推進、地方公共団体と連携した自主的取組に対する支援などの国・地方公共団体の支援の在り方とともに、特定の価値観や生き方を押し付けたり推奨したりしないことなど取り組むに当たっての留意点等が示された。
〈2017(平成29)年3月〉
「働き方改革実行計画」の策定(2017年3月~)
「ニッポン一億総活躍プラン」において、一億総活躍社会に向けた最大のチャレンジと位置付けられた働き方改革については、働き方改革の実現を目的とする実行計画の策定等に係る審議に資するため、2016(平成28)年9月より、内閣総理大臣を議長とする「働き方改革実現会議」が開催された。時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現などによる非正規雇用の処遇改善等をテーマに討議が行われ、2017年3月に「働き方改革実行計画」が取りまとめられた。
〈2017(平成29)年6月〉
「子育て安心プラン」の公表(2017年6月~)
25歳から44歳の女性就業率の上昇や、保育の利用希望の増加が見込まれることから、2017年6月に「子育て安心プラン」を公表し、2018(平成30)年度から2022(平成34)年度末までに女性就業率80%にも対応できる約32万人分の保育の受け皿を整備することとしており、2017年12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」では、これを前倒しし、2020(平成32)年度末までに整備することとしている。
〈2017(平成29)年12月〉
「新しい経済政策パッケージ」の策定(2017年12月~)
少子高齢化という最大の壁に立ち向かうため、政府は2017年12月8日、「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪とする「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定した。このうち、「人づくり革命」については、幼児教育の無償化、待機児童の解消、高等教育の無償化など、2兆円規模の政策を盛り込み、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入することで、社会保障制度を全世代型へと改革することとした。また、これらの施策の安定財源として、2019(平成31)年10月に予定されている消費税率10%への引上げによる財源を活用するとともに、子ども・子育て拠出金を0.3兆円増額することとした。